梅若実玄祥、藤舎名生、大倉源次郎という3人の人間国宝による共演で、「除災招福 疫病鎮静 災害復興 国土平安平穏 祈念」との冠詞がついている。
横笛の藤舎名生による独奏「竹林の詩」「鞍馬」
古典作品ではない自作らしく、竹林をそよぐ風や鳥のさえずりなどを感じさせる曲。
一調一管「葛城」は実の謡に源次郎の小鼓、竹市学の能管。
実は葛桶に腰かけての謡だが、声の力を感じさせる。立ち上がるときに介添えが必要そうなのが気がかりだ。
トークは3人にプロデューサーの西尾智子の司会。
3月末を最後にコロナ禍でことごとく公演がなくなり、「舞いたいという気にさえならなくなった」という実が、どんな形でもいいから会をやってと念願して実現したのがこの公演だそう。「これだけ能が好きな僕が能を好きでなくなったら死んだ方がまし」と言ったのはちょっと心配だ。
最後は創作舞「祈り」
カッチーニの「アヴェ・マリア」に横笛、小鼓、能舞が加わる。
横長の家型の作り物(白い布で囲われている)に入って登場した実は装束付き。老けた女の面に白い頭巾、装束、手には百合の花?をあしらった杖を持っている。前半は造り物の中の葛桶に座ったまま、扇を持った手を動かして舞い、後半は立ち上がったものの、移動には杖や作り物の柱をすがる様子。手を伸ばして探る様子が痛々しかったが、ラスト近くで、シオル仕草が美しく、はっとした。造り物を再び覆って退場。
テノール歌唱にLE VELVETSの佐賀龍彦。紋付き袴だったので、はじめ誰かと思った。静かな歌唱。
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