2020年12月14日月曜日

12月13日 當る丑歳 吉例顔見世興行 第三部 

「末広がり」
狂言が元で同じ題だが大分違う。主人の代わりに米吉の女大名。時節柄、疫病が流行って恋しい男に会えないから、扇に文を認めるため太郎冠者を使いに出したと。
太郎冠者は右近。すっぱに騙されるくだりはばっさりカットし、酔っ払って帰参するところから。(けど、何で酔態?)右近は傘の上で鞠を回す曲芸を披露し、これを見せるための演目のよう。

「廓文章」
店先では竹本(二枚二挺)だが、部屋に入ってからは清元。右近=栄寿太夫がシンの三枚三梃。右近は声がいいので、専念すればいい太夫になりそう。高音部が鳥の首を絞めたように聞き苦しくなることが時折あるのは、経験不足とみた。 

幸四郎の伊左衛門は、江戸風らしいが、嫌味ったらしいワガママなボンボンという感じで可愛げにかける。伊左衛門って、頼りないけどほっとけないという可愛らしさがないと、観客の共感を得られないと思うのだが。
壱太郎の夕霧は綺麗だけど、滲み出る風情は薄い。姿も声もいいのだから、上方のこってりした匂いが加わったら。
店先の餅つきはなく、若い衆は千次郎1人だけ。喜左衛門は出て来ず、女房のおきさ(千寿)が伊左衛門とのやりとりを引き受ける。抜擢だし、期待値が高すぎたのか、やや物足りなかった。若い衆とおきさのシーンは、晴の会みたい。時短のため色々カットされていて、部屋に通してからのやり取りはなく、転換後はコタツでふて寝してる伊左衛門のが1人。最後は感動が解けて夕霧の見受けが決まり、おきさが音頭をとって大阪締めで幕。


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