「二人三番叟」
国立劇場と同じような、能舞台仕立て。
床は後方に横並びで、藤、津国、希に清志郎、友之助、清公、清方の顔ぶれ。
舞台後方だからか、音量が今一つで、清志郎らしからぬ切れのなさ。藤は口を開くときに顎を右にずらす癖が目に付いた。悪い癖でなければいいのだが。
お囃子は下手舞台袖にいたらしく、小鼓を立って打っているのが垣間見えた。何だか急いているようで、お囃子に三味線の演奏が追い立てられているように聞こえた。
人形は玉誉の代役で玉翔と簑太郎。玉翔は人形の目線がしっかり決まっていて、上手いなあと思った。
「摂州合邦辻 合邦住家の段」
中は亘・清馗。結構長くて25分くらい?
前は呂勢・清治。隙のない三味線に豊かな語り。玉手の「惚れてもらう、気」の「気」の言い方がかわいらしく、色気があった。合邦の詞など、低音は少し物足りない。
後は呂・清介。人差し指と親指で筆の尻をつまんで文字を書いているような、さらさらとした語りで、聞かせどころのはずの合邦の嘆きもあれ?という感じ。だが、終演後に話しかけられた、文楽初めてというご婦人は「最後の太夫が凄かった」と仰せだったので、波長が合う人には響くのだろう。
清介の三味線が、語りを補うように力強くて驚く。
人形は勘十郎の玉手に玉志の合邦。浅香姫(清五郎)を蹴り倒すところは案外おとなしめだった。
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