「絵本合邦辻」
仁左衛門の一世一代はやはり悪が格好いい。
大学之助の第一声の低音の響き、卑怯な手立ても厭わない悪逆非道ぶりにゾクゾクする。序幕のラストで扇の陰で舌を出すのはしてやったりという感じ。
太平次は軽妙な悪党。うんざりお松も利用するだけ利用して、邪魔になったらあっさり殺してしまう。お松がけなげに見えるほど。お米の梅丸は、体格がしっかりしてきたのが惜しいが、まだまだ可憐。お米らを手にかけてたのち、頰に止まった蚊を潰して死体の上につまみ落と仕草で、悪人ぶりが浮き上がる。花道の決まりなど、絵面のような美しさ。最後の立ち回りで息切れしているように見えた。
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