2017年1月29日日曜日

0121 寿初春大歌舞伎 昼の部

「将軍江戸を去る」 門前での押し問答、歌昇や種之助の衣装が身体に合ってなくて借り物のよう。 山岡鉄太郎の愛之助は声がやや辛そうだが、この座組のなかでは聞かせるほうか。いつもより朗々とした響きはなかったが、話の内容が一番伝わった。これまで観た鉄太郎はどれもわあわあ騒ぐばっかりで、何を言っているのかさっぱりだったが、初めて理解できた。 伊勢守は又五郎。貫禄があって説得力があるのだが、伊勢守の長台詞のところで真後ろの席のご婦人が奇声を発して具合が悪くなったらしく、何やらごそごそしていて舞台に集中できなかった。 染五郎の慶喜は慣れた感じ。台詞を歌ってた。 「大津絵道成寺」 愛之助が五役を早替わり。すっぽんから登場した藤娘が予想外に綺麗だった。時折、玉三郎ににて見えてびっくり。目線のやり方が色っぽかったのと、笠の紐で輪郭が細く見えたせいかも。踊りはしなやかさが増していて、それらしくなっていた。早替わりは、常磐津の見台から登場したり、黒御簾に飛び込んで捌けたりと工夫して楽しませたが、壁がスムースに回らなかったり、引き抜く前に着物の前身頃がはだけていたり、昆布巻きでもたついたりと色々課題あり。大歌舞伎と銘打ってるからにはもっと洗練されたものを観たい。 「沼津」 何より歌六の平作が良かった。年齢が相応になったせいもあろうが、重いはずの荷物が軽そうだったほかは、これまで観たどの平作よりもそれらしかった。惜しむらくは吉右衛門の十兵衛があまりキリリとした二枚目に見えないことか。清々しさが感じられないのだよ。お米を見初めるところなんかも、好色そうで。 お米は雀右衛門。しっとりと美しく、ただの村娘でない、吉原の過去を感じさせる色気があった。

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