2016年10月31日月曜日

1031 スカーレット・ピンパーネル

石丸幹二のパーシーに安蘭けいのマルグリット、石井和孝のショーヴランと、歌上手がそろって聴きごたえ十分。ピンパーネル団の面々もキャラが立っていて面白かった。

1030 劇団クラルテ「冥土の飛脚」

味のある木彫りの人形は雰囲気があって、独特の世界観を作っている。が、3頭身のような頭に比べて小さい手足はバランスが悪く、子供向けの童話はともかく、近松のような大人の話には似合わないのでは。 八右衛門がええ人で、廓での忠告は忠兵衛のためを思っての行動。忠兵衛は廓に駆け込んだときから為替に手をつけるつもりでいたのを、八右衛門が諭し、それすら振り切って封印を破るという展開。近松の原作には近いのだろうが、忠兵衛に同情はしにくい。

2016年10月30日日曜日

1029 ピッコロ劇団「砂壁の部屋」

健全なイメージのピッコロらしくない、社会の最下層を描いたアダルトな話。脇役たちがニワトリになって話し出す演出がユニークで、設定の悲惨さを緩和していたような。 主人公のユカミは金髪のベリーショートヘアで少年のよう。女性らしい役だと思うのだが、どうしてこういうビジュアルにしたのだろう。

1029 三喬三昧

「道具屋」「崇徳院」「らくだ」の3本のなかでは、崇徳院が一番面白かった。松喬襲名を控えて挑んだ「らくだ」は、下戸なのに酔っ払いの様子が上手く、見ていてお酒が飲みたくなったほど。だが、長いせいかちょっとダレたように感じた。

2016年10月29日土曜日

1028 極東退屈道場「百式サクセション」

青空カラオケを追われた老婆が街を彷徨う。リア王をモチーフにしたそうだか、やや大げさか。カラオケで歌う「異邦人」やコンテンポラリー風のダンスが印象的だった。

1028 宝塚月組「アーサー王伝説」

珠城りょうの新トップお披露目。堂々とした様はトップらしい風格を感じさせ、愛希れいかとも似合いのコンビだ。 ただ、脚本家のせいか、役者の力量なのかはともかく、アーサー王の異父姉モーガンの美弥るりかや、妃の浮気相手ランスロットの朝美絢のほうが存在感があったような。 愛希れいかの妃は尻軽すぎて、共感できないどころか嫌な女にしか見えないのはヒロインとしていかがなものか。

2016年10月28日金曜日

1027 仮名手本忠臣蔵 第一部

口上人形による配役紹介からスタート。 大序は義太夫に名前が呼ばれると、ややうつむいて静止していた役者が人形のように動き出す。 梅玉の判官は清廉な様子が役らしいが、卵色の装束はちっとキツイのでは。若狭之助の錦之助が浅黄色でより若々しく見えるので、並ぶとどうしても年齢を感じてしまう。 顔世御前は秀太郎。品のある様子は役らしいが、立ったり座ったりがしんどそう。 由良之助は幸四郎。隈取が濃くて悪人みたいだった。

2016年10月27日木曜日

1026 Kバレエカンパニー「シンデレラ」

衣装が洒落ていて、舞台装置も美しく、目に楽しい2時間だった。結構芝居っ気の多い演出で、継母や姉たちの意地悪ぶりが楽しい。中村祥子のシンデレラは、健気な少女を好演。踊りの見せ場はそれほどでもなかったようだが。王子の遅沢はやや華が足りない。

2016年10月24日月曜日

1024 劇団☆新感線「Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!~」

かぐや姫の愛を求めて不老不死のヴァンパイアになった青年貴族に生田斗真。平安装束も、現代のヴィジュアル系バンドの格好もよく似合い、生田斗真の美しさを存分に楽しめる。「一千年前から愛してる」とかキャッチャーなセリフや歌詞も効いている。かぐや姫が地球侵略を企むエイリアンだとか、次から次へ吸血鬼になってしまうとか、なんでもありの破茶滅茶ぶりは面白いが3時間はちょっと長い。2時間くらいだったらよかった。

2016年10月23日日曜日

1023 劇団Patch「磯部磯兵衛物語」

若い男の子たちが、ひたすら元気に跳ねまわる。ギャグ漫画が原作だから、筋は大層なものではないし、大げさなキャラクターも漫画らしい。深みや重さは全くないけれど、元気さはいっぱい。

2016年10月22日土曜日

1022 第三回雀林遊会

第一部は落語、第二部は弟勘十郎と清元と文楽の共演。 「たちぎれ線香」はかつて米朝に勧められたという演目。女性が演じる面白さを期待したのだろうか。三林こと桂すずめの噺はぶっきらぼうなくらいサバサバとした話しぶりで、変な色気はないけれど、深みもないような。 清元の「月」で文楽の人形が踊る第二部は、舞台の背景に大きな月。幻想的な明かりとともに美しい舞台だった。

2016年10月21日金曜日

1021 清流劇場「アルトゥル・ウイ」

ヒトラーをモデルにしたというシカゴのギャングがのし上がっていく様を描く。猿のやうな身振りで落ち着きがなく、大物のようには見えないウイが、側近たちの力で次第に支配力を強めていく不気味さ。利用したつもりで飲み込まれていくカルテルのメンバー、気づいたらペストに侵されたいた人々。どこで止められたのか、答えは見出せなかった。 登場人物が多く、関係が複雑なので、背後の壁に役名を出すのは理解の助けになった。が、膨大なセリフを聞き漏らすまいとしすぎて、全体の流れを見失ってしまったかも。もっと構えずに見る方が、カギとなるセリフが耳に残ったのかも。

1021 劇団伽羅倶梨「ペチカ珈琲」

高齢者の集うコーヒーショップが実はグループホームの施設で、客は入居者、店員は介護スタッフという設定。認知症の高齢者の様子がリアルだが、シリアスになりすぎずに笑いになっていたのはさすが。暖炉の妖精の造形がアフリカ風味というか、いまひとつ合ってなかったのが残念。

2016年10月20日木曜日

1020 第9回酒屋万来文楽

「日高川入相花王」 頻繁に上演されるので食傷気味と思っていたら、出だしの「安珍様いのう~」でやられてしまった。 床は呂勢・芳穂に藤蔵・清志郎の組み合わせもよく、アグレッシブな三味線が盛り上げる。 人形は和生が清姫。あの狭い舞台での早変わりはさぞや大変だろうが、鮮やかに見せた。 「定之進切腹の段」 「恋女房染分手綱」の一場面を小鼓の久田舜一郎との共演で。人形が能を舞う趣向は興味深くはあったけど、やはり人間のようにはいかない。 「関寺小町」 文雀追悼で、当たり役を和生が。床も呂勢・藤蔵と若いので、老女の枯れた感じよりも、若々しさを感じた。

2016年10月19日水曜日

1019 秋の特別講演 古典への誘い

能の「安宅」と歌舞伎の「勧進帳」を見比べるという企画は面白いのだが…。 能楽は舞囃子「安宅」。シテは片山九郎衛門で、抑制された滑らかな動きが美しい。だいぶ短くカットされていたのは致し方ない。 一方の「勧進帳」は海老蔵の弁慶に獅童の富樫。山伏問答で笑いがおきるのはいかがなものか。

2016年10月15日土曜日

1014 宝塚雪組「私立探偵ケイレブ・ハント」 ショーグルーブ「Greatest HITS!」

久しぶりの完全オリジナルという探偵ものはいろんな意味で薄っぺらく感じた。まず、ストーリー。冒頭のエキストラ女優の謎の死の真相を解くのかと思っていると、ヤクザの情婦で金にまつわる揉め事から始末されたという背景は分かったものの、犯行の手口などは不明。ケイレブとイヴォンヌの関係も大人かと思いきや、互いの仕事への無理解ぶりがステレオタイプ。何より、いくら戦後間もないとはいえ、ヤクザの一味を狙撃して一件落着ってどうなんだろう。主人公が会話しているバックで入れ代わり立ち代わり踊っているのは、何かの比喩なのだろうか。踊りのシーンがやたら多いのだが、いまいちさえない振り付け。 ショーは、東京公演の時期に合わせたクリスマスソングメドレーはやはり時期尚早で違和感が強い。「ハロウィンも終わってないのに」と自ら突っ込んではいたけれど、それだけではどうしようもなく。マドンナやフィルコリンズなどのヒット曲は耳なじみがあっていいのだが、終盤、唐突に戦闘シーンが始まり、倒れた人々の間でのデュエットダンス。世界を一つにするのは歌の力という、肩に力の入りすぎたメッセージは宝塚には不釣り合いだと思う。

1013 維新派「アマハラ」

ゲネプロを所見。奈良・平城宮跡に作った巨大な野外ステージ。廃船をイメージしたという舞台の後方にはススキが茂る野原越しに生駒山が望める。所見日はあいにくの曇り空で夕日は見られなかったけれど、暮れていく空に彩られる舞台は神秘的だ。 明るいうちは、近くで草刈りをしているらしい音が耳障りだったのが残念。だが、音楽が非常に効果的で、白い衣服に白塗り姿の役者たちの、芝居というよりダンスのような統制のとれた動きが美しい。物語は山形県天童市と熊本県天草市で生まれた男が島に渡り、一旗あげるものの戦争に翻弄される様子を描く。露骨な言葉ではないけれど、いろいろな感情を揺さぶられる気がした。最後、整然と並んだ役者たちが「忘れない」と言うのは、松本氏への追悼なのか。

2016年10月12日水曜日

1011 ヨーロッパ企画「来てけつかるべき新世界」

退屈はしなかったが、ゲラゲラ笑うほど面白いかなあ。テンポよく進むし、ありそうな近未来をうまいこと描いていると思う。自動制御なのか、リモコン操作なのか、ロボットの動きも良く合っていた。ディストピアとか、聞きなれない横文字が急に出てくるのに違和感。串カツ屋の娘、藤谷理子が可愛かったのが大分好印象になってる気がする。

2016年10月11日火曜日

1010 劇団ジャブジャブサーキット「猿川方程式の誤算あるいは死亡フラグの正しい折り方」

行方不明になった猿川教授だけでなく、なんだか訳あり風な彼女も行方をくらまし、ミステリータッチで物語が進む。箱を動かすことで場面転換する演出がテンポよく、どうなるんだろうと興味をそそられるので、2時間という長時間もダレることがなかった。どんでん返しのように意外な関係が明らかになる、 歌舞伎のような展開が爽快。伏線を広げすぎて回収しきれないきらいはあったけれども。 それぞれのシーンでがらりと印象が変わるのも面白い。物書きのセンセイ役の教仙拓未が妙に二枚目。京香役のまどかリンダがアニメの戦う少女キャラよう。慈音役のなかさこあきこも印象に残った。

2016年10月10日月曜日

1009 松竹大歌舞伎「獨道中五十三驛」

猿之助と巳之助がダブルキャストで宙乗りと早変わりを務める演出。昼夜で所見。 Bプロは巳之助の宙乗り、猿之助の早変わり。 4時間超の芝居を休憩入れて2時間半に圧縮していて、作品として物足りないなあと思っていたら、プログラムには見取り狂言として上演すると。宙乗りと早変わりを見せるだけと思えばこれもありか。 2幕、巳之助の化け猫は頑張ってはいるのだが、いっぱいいっぱいのせいかばたばたした印象。妖しさとか怖さが足りないか。 3幕の早変わりは猿之助鮮やか。基本、舞台裏に引っ込んで花道や下手から出てくるオーソドックスな演出なのだが、とにかく速い。1回だけ、昆布巻きがあったのだが、入れ替わってからしばらく、頭巾を取るために傘の陰に隠れている間があった。昆布巻きはさっと変わっておお!というのが楽しいので、この間はちょっと興ざめ。 最後、調之助で出てきた巳之助が役にあってよかった。 Aプロは猿之助の化け猫が怪しく迫力があった。 巳之助も早変わりは上手くこなしていたが、女形がどこかおかまっぽくて女に見えない。女形を主にやってきた役者さんではないので仕方ない面もあろうが…。 最後の調之助で出てきた猿之助。若侍にしては老けた印象。この人は女形がいいと再認識。

2016年10月9日日曜日

1008 大川興業 暗闇演劇「The Light of Darkness」

今回はハーフブラックシアターとのことで、照明のなかでの芝居も結構あり。暗くなったときも、蛍光素材を身に着けているので、ぼんやりと位置はわかるので、暗闇演劇の本質は分からなかったかも。 お笑い集団だと思っていたが、意外にシリアスな芝居。いじめ問題なんかも取り上げていて。脚本は悪くなさそうだが、役者の力不足かあまり面白くない。 ゲスト出演の小椋あずきの声がよく、彼女の出ていたスキー場で出会った男女のくだりは悪くなかった。

1007 法村友井バレエ団「バヤデルカ」

ニキヤの法村珠里はピルエットでぐらつくなどテクニックにあれっと思うところがたびたび。出番の多いタフな役に果敢に挑戦したといったところか。 ガムザッティの今井沙耶は1幕の終わり、ニキヤと対決するシーンの激しさがよかった。 サロルのミハイル・シヴァコフはミハイロスキー劇場からの客演。ほか、男性ダンサーの多くは客演だったらしく、セットや衣装の豪華さも含めてお金かかってるなあと。 女性ダンサーは団員なのだが、群舞に難あり。3幕の冒頭の印象的な場面で、バランスを崩してぐらぐらする人が続出。がっかりだった。

2016年10月7日金曜日

1002 荒野のリア

リア王なのだが、なぜかヘルメットをかぶった人が出てくる…と思ったら、火星?なのだそう。なぜ? 麿赤児は迫力あるし、途中なぜかスカート姿でかわいらしく踊るのもキモかわいいのだが、ほかのキャストが今一つ?セリフがちっとも頭に入ってこなくて、リア王ってこんな話だっけ?と思うばかり。なぜか娘たちが映像で、口元のアップなのもよくわからん。

1001 文楽巡業公演 夜の部「近頃河原達引」

「四条河原の段」 文字久&団吾。 肩の力が入りすぎずにのびのびと語っていたような。 「堀川猿回の段」 藤蔵の三味線が唸る。手数が多くて面白いよね。 クドキで勘弥のおしゅんが色っぽくてよかった。お猿は誰だか分からなかったけど可愛かった。

1001 文楽巡業公演 昼の部「妹背山婦女庭訓」

巡業初日の河内長野ラブリーホールで。 「杉酒屋の段」 呂勢&清介。 期待値が高すぎたせいか、ひと味足りないような。語りが単調というか、語り分け(人物だけでなく場面も)がはっきりしない気がした。 「道行恋苧環」 呂勢・文字久・芳穂&清治・清志郎・寛太郎・清公。 よくかかる段なので目新しさもないのだが、清治のソロでハッと目が覚めた気分。 「姫戻りの段」 芳穂&清志郎。 声がよく、語り分けがくっきりして良かった。 「金殿の段」 英&団七・団吾 語りに力がないというか、盛り上がり切らない。声が三味線や鳴り物、足音などに負けて言葉がききとりづらいので、物語にはいりきれない。 勘十郎のお三輪は少女らしくなく大人びた印象。

2016年10月1日土曜日

0930 宝塚星組「桜華に舞え」「ロマンス」

北翔海莉のサヨナラ公演は男の友情物語。 北翔は幕末の薩摩の剣豪、桐野利秋。紅ゆずる演じる衣波隼太郎とは幼馴染だが、維新後は政府との距離感や考え方の違いから袂を分かち、西南戦争では敵味方となって戦う。宝塚における2人の立場とダブらせる演出で、サヨナラにふさわしい出し物。衣波が桐野の亡骸を抱えて号泣するシーンは目頭が熱くなった。 西郷隆盛(美城れん)とは同期だそうで、信頼関係にある様子が役柄とも重なっていい雰囲気だった。 ロマンティックレビュー「ロマンス」。 妃海風がローズ色のロマンティックなドレスで登場、甲高い声で「ロマンス!私の大好きな言葉です!!」という冒頭から宝塚らしいというか、レビューの王道らしい。 歌よりもダンスに重点を置いたのか、北翔の歌を聴くとう意味では物足りない気もしたが、ムードのあるデュエットダンスや、男役を引き連れての群舞など踊りには見応えがあった。…が、北翔の衣装がいまいちなのか、終始もっさりしていたのが残念。