2016年5月24日火曜日
0523 劇団伽羅倶梨「LaLaフレンズ」
過去と現在を行ったり来たりするのだが、話の盛り上がりがないまま場面転換が続くのが退屈。
中学時代と、中年になった現在と、それぞれ別の役者が演じていて、大して似てないのに同一人物に見せたのには感心した。
0523 「1789-バスティーユの恋人たち―」
フレンチロックがいかなるものか初めて聞いたが、何だかちょっとダサい?歌詞のせいかもしれないが、王宮のシーンにはそぐわない安っぽい感じ。「俺たちは友達だ」とか、歌詞も鳥肌モノでがっかり感が。踊りは振りが格好いいし、ダンサーのレベルも高くて見応えあり。群舞から、クライマックスの高揚感には心揺さぶられた。
花總まりのアントワネットは気品があって美しく、母の情愛や王妃の威厳も感じさせた。
2016年5月23日月曜日
0522 こぐれ塾「広島に原爆を落とす日」
つか作品に近づけるべく、後の加筆部を除いての上演だというのに、2時間15分くらいあった。途中、山崎の着替えのためと思しきダンスシーンがあったけど、せいぜい5分ほど。どこが長くなったのだろうか。
ディープ山崎の田谷野亮は滑舌が悪いのが惜しい。芝居が進むにつれて持ち直してはいたが、センテンスの終わりが不安定だった。とはいえ、あれだけのセリフを澱みなく、緩急つけて語り切ったのは立派。自信と不安を揺れる人物描写もよく、最後の長ゼリフは揺さぶられた。
夏枝の永池南津子は清廉な雰囲気で、彼女がいたから上演を決めたというのがうなづける。
土人のくだりなど、差別発言は酷いのだが、この場面があることで、原爆投下の実験の地にドイツではなく日本が選ばれた理由を考えてしまう。
敗北を悟ったヒトラーが原爆を引き受けようとする様が何だか格好よく見えたのは、脚本がそうなのか、役者のせいか。兵隊役の役者も皆良くて、充実した舞台だった。
2016年5月20日金曜日
0520 がっかりアバター「THE KING OF THEATER」
下ネタの連発が不快で、あまり楽しめなかった。排泄物を食べるとか、勃起したペニスを露出させている男とか、どういう意図でやっているのか知らないが、嫌悪感しか感じられないし、その嫌悪感が何かの効果を生んでいるとは思えない。レイプされる少女が缶コーヒーをもらったくらいで心を許すとか、ステレオタイプな描写も不愉快。中二か。
宙乗りしたり、最後にセットを崩したりといろいろ頑張っているのはよくわかった。ただし、ラストがカタルシスだったかというと、私には伝わらなかった。
2016年5月19日木曜日
5月18日 文楽公演「絵本太功記」
本能寺の段
口を小住太夫と清公、奥を咲甫太夫と宗助。
小住太夫は今日が初日のはずなのに、安定感がある。
咲甫太夫は前半の酒宴の場面は歌うように華やかに、謀反が明らかになるときっと正面を見据えてキリッと、語り分けがはっきりしてた。
妙心寺の段
口を芳穂太夫と清丈、奥を呂勢太夫と錦糸。
今一つ楽しめなかったのは、迷い揺れる光秀に共感できないからかも。今回は上演されなかったが、春長の人物像も光秀を試すにしてはやりすぎだし、そりゃ逆ギレされて殺されるよと思わなくもない。逃げられないと観念するのま早すぎ。というわけで、呂勢太夫は丁寧に語っていたと思うのだけれど、浸れなかった。錦糸が掛け声を結構入れて、派手な演奏。
夕顔棚の段
睦太夫と清友。
ちょっと声がかすれてたようで、女性の声がちょっとキツかった。
尼ヶ崎の段
前を文字久太夫と藤蔵、後を津駒太夫と清介。
藤蔵の三味線は掛け声もしきりと、アグレッシブ。
津駒太夫&清介は前半盛り上がりに欠けたが、後半は音楽的に盛り上がり聞き応えがあった。
2016年5月14日土曜日
0513 ブロードウェイミュージカル「スウィーニー・トッド」
大竹しのぶのミセス・ラヴェットはしたたかでキュートでとてもはまっているのだが、キャラクターを優先するためか地声で歌うところが多く、音程が外れているように聞こえた。
市村正親はさすがの存在感だが、やや軽さに欠けるか。
武田真治のトバイアスは子役だったのね。ちょっと足りない青年に見えてしまった。
全体的に陰惨で重苦しい雰囲気のなか、アンソニーとジョアンナの恋が一服の清涼感。なんであんなに簡単に恋に落ちちゃうのか不明だけど。
0513 松竹新喜劇
藤山寛美二十七回忌追善ということで、冒頭に寛美のVTR上映と出演者一同のご挨拶。
「夜明けのスモッグ」
扇治郎が寛美の当たり役だったというスモッグ。浮浪者でとらえどころのない人物だそうだが、育ちの良さが邪魔をしてそんな風に見えないのが惜しい。表情など寛美に似ているなあと思うところはたびたびあったけれど、残念ながら面白さとはまた別。客席は大いに受けていたけれど、私はちっとも笑えなかった。
「大当たり神津の富くじ」
天外が大店の息子、伊之助なのだが、つっころばしが似合わない。薄く白塗りにして目じりに紅を入れたりしているのだけど、仮装みたい。
2016年5月13日金曜日
0512 THE CONVOY SHOW「1960」
50歳代の男性6人によるダンスかと思ったら、意外と芝居のパートが多かった。あと歌。ハモったりもしているが、やはり本職ではないので聴かせる域にはない。ダンスと歌ならまだしも、歌だけのパートは正直退屈だった。
キレのいい踊りはよくそろっていて、振り付けも格好いいので、踊りをもっと見たい。
年の割にこんなにできる、というのをやたらアピールしているので期待しすぎてしまったのか。物足りなく感じた。
2016年5月10日火曜日
0509 はなしか宝塚ファン倶楽部「ME AND MY GIRL」
宝塚にちなんだ落語3席ののち、落語家によるミュージカル。
落語は松五「動物園」(これはオリジナルのまま)、生喬「書割」、春雨「ん廻し」。
ミュージカルは正直、本家宝塚より笑ったし楽しかった。生寿のサリーが愛嬌があってかわいいし、生喬のマリアも威厳があって美しい。ダンスと歌はまあ…なのだが、これもご愛敬。一生懸命なのに笑えてしまう。1時間45分ほどに凝縮されて、テンポよくまとまっていたのもいい。脳内のミーマイが噺家版に書き換えられてしまいそう。
0509 宝塚花組「ME AND MY GIRL」
二枚目というのも損なものだ。主人公の2人ともが伯爵/淑女になってからのほうがしっくりくるので、物語の大部分が似合わない服を着ているよう。明日海りおのビルは前半の下町っ子が無理をしている感じで、ちっともおかしくない。これはサリーの花乃まりあも同じ。精一杯下品に振る舞っているのだが、蓮っ葉な感じというか子供っぽくてチャーミングさに欠ける。何でビルがサリーにぞっこんなのかさっぱり分からん。楽しそうに演じていたのはとてもよく伝わってきたけれど。
ジャッキーの柚香光は女っぽく品を作ってみたりするのだが、足さばきが雑なのが惜しい。
0506 ミュージカル「グランドホテル」
GREEN版を所見。
男爵の宮原浩暢、歌が上手いと思ったらクラシックの出身だそう。
エリザベータの安寿ミラはピークを過ぎたプリマの悲哀や焦りはよく出ていたが、体つきがバレエダンサーらしくない。ジゼルの衣装がやせぎすの体に似合わなくて辛かった。
フレムシェンの昆夏美は溌剌としたかわいらしさはいいのだが、小柄なせいか子どものようで、社長に手籠めにされそうになるところが児童虐待のように見えてしまった。オットーと並んだときのバランスでキャスティングされたのだろうか。
オットーは中川晃教。上手いのだが、主役にしては地味な役だ。男爵のほうが格好いいし、見せ場もあった。
スペシャルダンサーという触れ込みの湖月わたるの踊りはうーん。死神なのですか。
最後、オットーとフレムシェンがパリに行くことになり、ちょっと希望が見えたと思いきや、スーツケースを奪われ打倒されるのでなんで??と思っていたら、戦争の脅威が近づきつつあることを示すラストなのだそう。
0506 OSKレビュー春のおどり
「花の夢 恋は満開」
和物なのだが、歌謡曲のような音楽が使われ、日舞らしさがあまりない。
廓の物語なのに、なぜか火消しが出てきて??
扇を使った早い群舞がきれいにそろっていたのは凄かった。
「Take the beat !」
様々な種類の音楽で、踊り踊り踊り!を魅せる。高世麻央のソロもよかった。
2016年5月5日木曜日
0504 地点アンダースロー「かもめ」
チェーホフ作品をバラバラにして再構成した感じで、絵画に例えるならキュビスムのようなイメージ。
音節をイレギュラーに区切ったり、言葉のイントネーションが突飛だったり、突然叫び出したりするのがこの劇団のスタイルらしいが、ざわざわするというか、不快で、落ち着かない。喜劇というのにちっとも笑えない。
コンテンポラリーダンスのような、オフバランスの動きやポーズ、独特の台詞回しをこなすのは役者に力量がいるのだろうが、個性は不要になるように思った。
2016年5月3日火曜日
0503 宝塚宙組「ヴァンパイアサクセション」
現代を生きる吸血鬼の話なのだが、吸血鬼というより不老不死の苦悩なのか。本気で人を愛し、愛されれば人間になれるという設定がご都合主義的だし、700年も生きてきて初めて恋に落ちる相手にしては、女子大生のルーシーには魅力がないというか、それだけのエピソードが描かれていなかったように思う。
真風涼帆のちょっと苦みのある二枚目ぶりは堪能できたが、二枚目がちょっと外したことをやるだけで笑えると思うのは大間違いだ。コメディタッチという割にちっとも可笑しくない。冒頭、南北戦争や第二次世界大戦の写真に同じ人物が映っているといって、変な合成写真が映し出されたときの笑いは面白いからではなくて失笑だ。
テーマ曲のデュエットは、特別歌が上手いわけではなかったが、声の相性がよいのか悪くなかった。
0430 大蔵流五家狂言会
同じ流派ながら、家ごとの芸風の違いが観られて興味深かった。
善竹家の人々は朗々とした声が私は好きだ。分かりやすくサービス精神にあふれているのが茂山千五郎家か。
小学生でも知っている「附子」というコミカルな演目を、一番硬い芸風の山本家が演じたのだが、なんだか余計に面白く感じた。
0429 唐組「秘密の花園」
初の紅テント体験は季節外れの寒波で寒かった。
サラリーマンのアキヨシは日暮里の安アパートで暮らすいちよとプラトニックな恋愛関係にある。いちよの夫もアキヨシの金を当てにして公認している関係。
一線を踏み越えるのかの危うさや、生と死、プラトニックと肉欲が混然として不思議な感覚に襲われる。アキヨシの姉もろはといちよ(1人2役)で、どちらがどちらかもあやふやになってくる。本水を使う演出もあり、休憩をはさんで2時間あまりの芝居は長いと感じなかった。
最後、舞台の後ろの壁が開き、去ってゆくいちよ。木の陰で見えなくなるまで歩いていく姿から目が離せなかった。
0428 鄭義信 三部作「たとえば野に咲く花のように」
舞台は九州らしく、方言がキュートだ。
ともさかりえ演じる満喜は戦争から帰ってこない婚約者を忘れられないまま、ダンスホールで働く。凛としたたたずまいで存在感が抜群。
満喜に言い寄るライバル店のオーナー康雄は戦争で顔に傷を負い、後に心にもトラウマを抱えていることがのちに明らかになる。山口馬木也はそういう屈託のある男のぎりぎりした感じが上手い。
ただ、あれだけ言い寄っていたくせに康雄が逃げてしまうのが解せない。戦地での非道な行いがばれてしまったとはいえせっかく満喜は受け入れる気持ちになったのに。
最後、ダンスホールの女たち3人とも妊娠して、強く生きていくというラストがやや強引に感じた。
あと、康雄の婚約者あかね(村川絵梨)はわがままなお嬢さんぶりがすごくよかったのだが、アル中という設定は必要だったろうか。
海上保安官?といい仲になる珠代(池谷のぶえ)が逞しさとかわいらしさのある女で魅力的だった。
4月25日 こんぴら歌舞伎 昼の部
「毛谷村」
愛之助の六助に壱太郎のお園。巡業と同じ顔触れで慣れているのか、板についた様子。
子役がかわいい。いつもながら松嶋屋の芝居は子役がいいなあ。
「口上」
鴈治郎をはじめ、総勢7人の口上は慌ただしくなくアットホームな雰囲気。
藤十郎が披露口上を述べ、「では中車さん」と名指しで振ってしまうおおらかさ。千秋楽だからといって特に変わったことは言わなかったようだが、琴平のボランティアやスタッフへの感謝を口々に述べていたのが印象的だった。
「幸助餅」
松竹新喜劇から取り入れたという人情話。あまり笑いはなかったように思うが、最後にほろりとさせるいい話。鴈治郎の良さが出る作品だ。
中車の雷が歌舞伎らしい関取で立派。
亀鶴が女房と、毛谷村の敵役とはがらりと変わった役どころで芸達者ぶりを見せた。
4月24日 こんぴら歌舞伎 夜の部
「あんまと泥棒」
中車のあんまに愛之助の泥棒。小悪党は愛之助のニンかと思いきや、それほどでもなく。猿之助とやった時よりもあっさりした印象。泥棒を上方出身にして関西弁にしたのがまずかったのか。
「鷺娘」
扇雀の鷺娘は骨太で繊細さに欠ける。薄暗い金丸座の空間で舞う様は幻想的でよかった。
「封印切」
鴈治郎の忠兵衛、壱太郎の梅川、愛之助の八右衛門。
花道からの忠兵衛の出で、「がんじろは~ん」という掛け声がいいなあ。頼りない、運に見放された色男の風情があり、期待以上。一方、梅川は情が薄い感じで泣けず。八右衛門も突っ込みが足りず物足りなかった。
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