2016年3月11日金曜日
0310 清流劇場「賢者ナータン」
人物関係が複雑なのだが、パンフレットの相関図が助けになった。アラブ服のような白地のだぼっとした衣装に、宗教ごとにマークが描かれ、顔は丸い白塗りに女性のみ頬紅と口紅を施す。3つの宗教が交錯し、主人公のナータンを女優の林英世が演じるなど、役と役者の性別がバラバラで、誰が誰だか分からなくなりそうなところ、衣装とメイクの工夫のおかげでよく分かった。
物語の舞台は12世紀のイスラエルだが、舞台の後ろには現在のパレスチナらしき風景が映し出され、今と共通する問題であることが示される。ドイツ人の作者がキリスト教徒を最も独善的で融通の利かない存在として描いているのが興味深い。
宗教の対立を寛容さで乗り越える。宗教のまえに一人の人間であり、そのことによって許し合えるでは。生まれによって決められる宗教が実はあやふやなものだということが分かるラスト。けれど、レヒャと神殿騎士は恋仲になったのに、兄妹と分かってがっかりしないのか。
ナータン役の林英世は膨大なセリフをこなして、説得力のある語り。レヒャの泉希衣子は純真な少女の風情を出して好感が持てた。
初日だったためか、台詞を噛むところが散見されたのが惜しい。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿