2026年2月28日土曜日

2月28日 清流劇場「曽根崎心中」

曽根崎心中を現代に翻案し、一人芝居で描く。現代の心中は何かと考え、介護疲れや生活苦から死を選ぶことにしたそう。 老老介護の男の日常を描きつつ、ラジオ?で古典の曽根崎心中の語り(現代語訳)を流したり、一人芝居で一場面を演じたりするシーンが挟み込まれる。岸本は九平次は凄みのある声色だったり、徳兵衛の狼狽えた様子、お初の健気さなどを達者に演じ分けるが、一人芝居は落語のようにも見えた。現代パートはほとんどセリフがなく、慎ましい食事や通帳の残高を確認する様子で生活苦を想像させる。「もう迷惑かけられへん」というセリフを繰り返し、心中へ至るのだが、淡々とした様子で、最後に妻の首を締め、自らも包丁で首を切った表情はうっとりしているようにも見えた。ミニマルな舞台で、妻の姿はなく、テーブルに置いた浴衣?で表現するのは、能のようでもある。

2026年2月23日月曜日

3月23日 三月大歌舞伎 昼の部 Aプロ

「加賀見山再岩藤」

巳之助が又助と岩藤、時蔵が尾上を演じるAプロを所見。

巳之助の又助は硬派な感じで、時代物らしさというか、武士らしい。その分、情は薄いかも。岩藤は幽霊のおどろおどろしさ、怖さがたっぷり。フワフワは蝶と戯れたり、余裕があって楽しそう。城内で尾上と対決するところは、幽霊でなく生きた人(ただし、すごく嫌味で意地悪)に見えたが、仏像をかざされてからの代わりようは化け物じみていて良かった。
時蔵の尾上は凛とした姿勢の良さ、落ち着いた話ぶりと中臈の威厳がある。最後の対決シーンがないのは物足りない。

2026年2月22日日曜日

2月22日 文楽公演第3部

「勧進帳」 花道を設置し、弁慶の引っ込みが眼目。弁慶は3人出遣いで、玉助の主遣いに玉勢が右、足は前半は玉征、後半は玉路だったか。大きさがあり立派な弁慶だった。 床は錣の弁慶、藤の富樫、小住の義経、聖、薫、織栄、文字栄に藤蔵、清志郎、清馗、清丈、清公、錦吾、藤之亮。 錣は弁慶に似合わないのでは。藤蔵以下の三味線が鮮やか。

2月22日 文楽公演第2部

妙心寺の口を南都・団吾。 奥は織・燕三。 織はいつもの自信に溢れた語り。鮮やかに情景を描く燕三の三味線とのケミストリーを感じたかった。 瓜献上は睦・勝平。 百姓に扮した田島頭が策を労するもちょっと浅はかでは。 夕顔棚は希・団七。 尼ヶ崎の前を呂勢・清治。 清治は力が入りきらないように感じるところもあったが、細かいニュアンスの描出はさすが。 切は若・清介。 「現れ出でたる武智光秀」はまあまあの声量だったので、上村氏の評論が効いたかと思ったが、その後はいつもの低速運転。「こは母人か、しなしたり」を淡々と語るので、感情と表現が食い違って違和感がすごい。床を諦めて人形に集中しようと思うのに、気を削がれること。 人形は玉男の光秀に勘十郎の久吉、和生のさつきが揃って充実。

2月22日 文楽公演 第1部

「絵本太功記」の半通し。 大序は御簾内で薫→織栄→聖→碩、清允→清方→藤之亮→燕二郎のリレー(順番は多分) 人形は頭巾を被っていて、本役とは違う人が遣っていた。 二条城配膳は三輪の光秀、津国の春長、咲寿の蘭丸、亘の中納言・十次郎に清友。 本能寺の口は碩・寛太郎。 蘭丸と腰元しのぶの恋人同士のやり取りがいい節で聞かせた。 奥は芳穂・錦糸。 局注進の口は亘・友之助。 弾き出しのテンポが速かったような。前段までで2分ほど押していたから? 奥は靖・宗助。 まだ 顔を真っ赤にして声を張り上げるのは、聞いていて辛そう。 長左衛門切腹は千歳・富介。 堂々とした語りは切り語りの貫禄。 人形は簑二郎の春長に大物感が足りず、玉男の光秀に位負けして見えた。 一輔の阿野の局は本能寺の段での舞、局注進では薙刀を振り回しての立ち回りと、硬軟の大奮闘。

2026年2月21日土曜日

2月21日 猿若祭二月大歌舞伎 夜の部

「一谷嫩軍記」

あまり上演されない陣門・組討は初めて。
勘太郎の小次郎・敦盛は声変わりもあってセリフに難ありだが、凛とした立姿は無冠の太夫の気品があった。勘九郎の熊谷は太い役が似合う。敦盛の身代わりとなった小次郎と一騎討ちとなってからが長く、我が子を手にかける父親の苦悩を存分に体現した。 遠見の熊谷と敦盛に種太郎と秀乃助。ちっちゃい子が頑張っている様子が微笑ましい。 玉織姫に新悟。勘太郎の敦盛の許嫁には大きすぎな気もする。平山に切り捨てられ、そのまま死んだと思っていたら、最後に瀕死の状態で現れて、敦盛の偽首と対面するのにびっくり。

「雨乞狐」

休演の鶴松に代わり、勘九郎と七之助が踊り分け。踊り上手の2人で見られて存外の眼福。のっけから飛び回る女狐・七之助は普段にない弾けぶりだが、素早い動きはあまり得意ではない? 最後、セリから飛び上がって現れた勘九郎の狐の躍動感たるや。MJのポップアップみたい、というか、高さはもっとあったかも。

「梅ごよみ」

七之助と時蔵の芸者2人の鞘当てが絶品。七之助の仇吉は文句なく美しく、時蔵の米八は深川芸者の粋と意地が鮮やか。仇吉の方が美人という設定なのだが、ちゃんと美人じゃない感じがするのがさすが(色より芸を売ってる感じがする)。吉弥の政次が意地悪そうでよき。莟玉のお蝶は善良なお嬢さんだが案外強かそう。3人の女に思いを寄せられる丹次郎に隼人。女の諍いを適当にやり過ごす優男がよく似合う。すったもんだのあげく、丹次郎は許嫁の元へ。芸者2人が「しらけるねぇ」と終わるのも、のんだかスカッとして、後味のよい芝居だった。

2月21日 猿若祭二月大歌舞伎 昼の部


「お江戸土産」

結城からの行商人、お辻とおゆうを鴈治郎と芝翫。コメディなのだが、鴈治郎の田舎女が滑稽というより痛々しい。人のいい田舎女という設定なのだが、くどくどしく、最後、役者の手を握っただけで13両でもいいと笑うところはもっとカラリとしてくれないと笑えない。芝翫は気のいいおばちゃんという感じ。
役者の栄紫を巳之助。女方だから、整った綺麗どころという設定はなんかムズムズする。栄紫と恋仲のお紺は種之助。遠目もあって最後まで誰かわからんかった。 お紺の養母文字辰を孝太郎。意地悪な年増がよく似合う。

「鳶奴」

松緑らしい舞踊だが、花道のくだりが長く、3階席からだとよく見えない。カツオを鳶に攫われて、追いかけるだけといえばそれだけなので、ちょっと退屈。

「弥栄芝居賑」

中村屋兄弟が猿若座の座本夫婦、芝翫と福助が猿若町の名主夫婦、男伊達に歌昇、萬太郎、橋之助、虎之助、歌之助、女伊達に新悟、種之助、男寅、莟玉、玉太郎、京の呉服商に仁左衛門、孝太郎と格別豪華な配役が、今月休演の鶴松のために集められたのかと思うとつくづくがっかり。
仁左衛門が「私の目の黒いうちに19代目勘三郎の襲名を」とエール。観客も一緒に手締めで賑々しく。

「積恋雪関扉」

勘九郎の関兵衛、七之助の小町姫・墨染、⑧菊五郎の宗忠と、この上ない好配役なのに、途中で意識が途切れた…。後半のぶっかえってからはテンポもよく、集中して観られた。