2023年6月11日日曜日

6月11日 大人のための文楽入門

 解説は亘、清公、簑太郎。亘は裏門の台詞を使って語り分けを実演して見せたのだが、客席の反応は今ひとつ。いきなり「勘平さん、話はすっかり聞きました」とか言われても何のことやら分からないだろうし、子ども→町娘→姫→婆→侍という順も悪かったと思う。地声に近い侍から始めて違いを見せる方がわかりやすいと思った。

「仮名手本忠臣蔵」

殿中刃傷の段は小住・錦糸。悪くはないのだが、師直はもっと意地悪でないと。ねちっこくいじめないと判官がキレる理由がわからなくなってしまう。刃傷に及んでからのドタバタももっと畳み掛けるようなスピード感が欲しかった。やはり若手には難しいのかな。錦糸の三味線はいつもの安定感だったけど、フォローしきれず。

判官切腹の段は呂勢・藤蔵。これこれ、浄瑠璃らしい浄瑠璃。判官が息も絶え絶えのところは、声をコントロールしきれないようなちょっと不規則な音が混じってリアリテイあった。藤蔵の三味線は、さすがに唸り声が控えめで、緊迫感のある場面を描出。ただ、静かな場面で糸を繰る音が少し耳に触った。

人形は玉佳の若狭之助が爽やか。簑二郎の判官はちょっと地味。由良助の玉也は短い出番ながら抜群の安定感で場を引き締めた。茶道珍才は休演の簑之に代わって簑悠。

城明け渡しは御簾内で碩・燕二郎。声がよくでていた。


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