2023年6月25日日曜日
6月25日 文楽若手会
すしやの段の前を芳穂・友之助。開演時間を間違えて(痛恨!)5分ほどしか聴けなかった。維盛と御台、六君を落とすところまでで、最後は気合の入った演奏だった。
後は希・清丈。権太が登場するところからのスタートで、気迫のこもった語り。懸命に語っていたし、語り分けもできていたが、全体的に平板な感じがするのは何故だろう。清丈は安定感がある。
人形は、お里の簑太朗。身を震わせて泣くところで人形が小刻みに震えていないのだが、意図して?(鑑賞教室の時も思った)。権太は玉翔。身代わりの女房子どもを見送るところで、上を向いて瞼を閉じるところに工夫を感じる。瀕死のはずなのに、動きが大きくて元気そうなのはどうかと思うが。つい先日、仁左衛門の歌舞伎を観たばかりなので、違いが目につく。弥左衛門は簑紫郎で、若手の中にいると上手さが際立つ。
「新口村」
口は薫・清方。よく声が出ていてよいが、チャリっぽいところは少しふざけているよう。後半のフシは、調子外れで、客席から笑いが漏れて気の毒だった。
次は亘・清公。悪くなかったと思うが、あまり印象に残らず。
奥は靖・寛太郎。この日のメンツでは一番の聞き応え。靖は老人が上手く、孫右衛門がいい。梅川も健気だった。寛太郎は柔らかな音色。
人形は勘次郎の忠兵衛。端正な色男って感じ。「今じゃない」で笑いが起きるの、どうにかならないものか。梅川は紋吉、孫右衛門は玉勢。
「釣女」
小住の太郎冠者、碩の大名、聖の美女、咲寿の醜女は好配役。薫は謡調のところに苦戦してた。
人形は勘介の太郎冠者、玉路の大名、美女の簑悠、醜女の和馬。 頑張ってた。
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2023年6月20日火曜日
6月20日 文楽鑑賞教室 Dプロ
芳穂の義経は甲高い声にもう少し気品が欲しい。小住の弁慶はいい人そう。
清志郎の三味線は切先鋭いが、この場には柔らかみも欲しい気がする。
「仮名手本忠臣蔵」
刃傷の段は靖・清馗。
師直はもっと意地悪さが欲しいが、大笑いは立派。そこから上を下への騒動は、畳み掛けるような語りがテンポよく、聞き応えがあった。
判官切腹は睦・勝平。
出だしの一言から品がある語りで引き込まれた。最近では出色の出来では? 瀕死の切れ切れの声も良かったし、由良之助の実直な家老らしさも十分。石堂馬右氶は切腹の使者にはしては軽いのが気になった。勝平は、切腹の段取りでのテンの音が明るすぎるように感じた。もっと緊迫感のある、抑えた音がこの場面には合うと思う。
人形は一輔の判官に気品がある。玉佳の由良之助は、登場時の息急き切った様子がいい。
2023年6月19日月曜日
6月19日 文楽鑑賞教室 Cプロ
咲寿の牛若丸、亘の弁慶、碩、薫に清丈、友之助、錦吾、清方。
咲寿がシンかぁ…と思いつつ、悪くはなかったが、義太夫らしさとはなど考える。亘は弁慶ならもう少し重厚感が欲しい。声の大きさだけでなく。
人形は玉誉の牛若丸に簑太朗の弁慶。
「仮名手本忠臣蔵」
刃傷の段は希・団吾。師直の意地悪さが足りないので面白さが半減。もっとねちっこく虐めないと。あまりの物足りなさに聞きながら自分でも語りそうになったのは初めてだ。大笑いは途中までは良かったが、息切れしてしまったよう。三味線は調弦が甘いのか、オクリの音が気持ち悪かった。
判官切腹は藤・宗介。こうやって聞くと上手いなぁ。薬師寺はねちっこくイヤミだったけど、もう少しカラリとする方がいいのでは。この人は権力を笠に着るタイプだ。宗介之は抜群の安定感。
城明渡しは聖・清允。朗々と響く声がよかった。
人形は玉勢の若狭之助がきっぱりとしてよい。師直は文司。視線でイヤミっぷりを現していて、語りが足りない分、人形の表情が補ったよう。力弥の和馬は若々しさがある。由良之助は玉助。ドヤ顔がなんかなぁ。
2023年6月18日日曜日
6月18日 新国立劇場バレエ団「白鳥の湖」
いやもう、素晴らしい。前回より人物描写の深みが増したようで、物語に入り込めたし、テクニック面も文句なし。特に2幕が素晴らしく、王子とオデットが少しずつ心を通わせていく様が丁寧に描かれた。パドドゥはあまりの美しさにただただため息。
小野は指先、つま先まで行き届いた繊細さ。オデットはたおやかで柔らかく、オディールは強かで挑発的と、演じ分けも巧み。グランフェッテはシングルのみだったが綺麗にまとめた。
奥村は王子の心情の変化が手にとるようで、表情がくるくる変わるのがチャーミング。パートナーワークの安定感は相変わらずで、ソロのジャンプや回転も危なげなく決めた。
今日はオケも素晴らしく、踊りとの一体感があった。指揮のポール。マーフィーはメチャクチャ振っているよう(失礼!)に見え、ちょっと走り過ぎ?と思うようなところもピタリとまとめるので、とても高揚感があった。
2023年6月17日土曜日
6月17日 新国立劇場バレエ団「白鳥の湖」
ロールデビューの速水は1幕で王子の気品が足りず困惑した少年のよう見え、演技がいま一つと感じたが、踊りのテクニックは十分。特に、3幕のパドドゥではジャンプの大技も決まり、キレのいい回転に思わず声が出た。
米沢は2幕はあれ、と言う感じだったが、3幕の黒鳥は圧巻。挑発的な眼差しがよく、テクニックも存分に見せつけた。グランフェッテではトリプルを連発。騙されたことを知った王子を嘲笑する様が小気味いい。
クルティザンヌは池田理沙子と飯野萌子。飯野は眼差しで王子を誘惑しているのがよかった。
オケがイマイチで、一部が走っているようなチグハグな感じ。そのせいか、踊りとも一体感が感じられなかったのは残念な限り。富田の指揮は躍動感があるのだが、今日はそれが悪い方向に晴れてしまったのか。3幕のファンファーレでトランペットが音を外してたし…。
2023年6月16日金曜日
6月16日 イキウメ「人魂を届けに」
2023年6月14日水曜日
6月14日 六月大歌舞伎 夜の部
木の実からすし屋まで。仁左衛門の権太は何度も見ているしいいかなと思ったのだけど、やはり観てよかった。木の実で小せん、倅善太郎との家族愛が描かれるから、その後の悲劇がより深まる。子どもにせがまれて渋々家に帰ることにし、遊んでやったり、おぶってやったりする権太の子煩悩ぶりがほのぼの。吉弥の小せんもいい女房ぶり。子どもの笛の袋を権太が帯に挟むところでなぜか手間取ると(「今日に限ってうまくいかない」とぼやきあり)、自然に手伝ってあげて、息のあった様子。花道を引っ込むところの「瑞々しいなあ」のやり取りもいい。善太郎は歌昇次男の秀乃助。小柄でとても可愛く、サイコロを振るのを2回続けて失敗してしまうのも愛らしかった。
おかげで、すし屋で妻子を身代わりに引き連れてきてからの権太の表情から目が離せない。後ろを向いて涙を拭ったり、煙が目に染みたふりをしたり、何より最後の別れは言葉がないのに視線がとても雄弁。寄る年波で足取りがしんどそうに感じるところもあったけど、こんなに充実した舞台を見せてくれる人は他にない。
小金吾の千之助は、2回目のはずだが今ひとつ。若武者らしく見えないのは何故だろうと考え、緊張感が薄いからではないかと思った。
お里の壱太郎は、おとくと打って変わって若々しく華やいだ娘ぶり。セリフもいつものクセが薄く、可愛らしいお里だった。維盛は錦之助。おっとりとした優男ぶりがよく似合うが、弥助からの切り替えはそれほどでもなかった。弥左衛門の歌六はさすが。婆の梅花は上方の役者に比べるとあっさりめ。
川連法眼館は松緑の忠信。初めの真の忠信はいい感じで力が抜けてよかったが、狐忠信はいろいろと物足りない。動きが重たいし、セリフも地声(=高くない)でゆっくり話すので、狐らしい軽快さがないのだ。
義経は時蔵。気品あるいい義経だが、静が入って来るところで一瞥だにしないのなぜ⁇ 静は魁春で、なぜか秀太郎を思い出した。
最後はなぜか荒法師が3人だけで、ちょっと寂しい。
6月14日 六月大歌舞伎 昼の部(幕見)
評判なので幕見で。
中車の又平は正直まだまだ。セリフや所作は型をなぞっているようで、気持ちが入っていないように感じた。あまり表情に感情が出ておらず、どもりのもどかしさや、弟弟子に出世の先を越された悔しさが薄いというか、表面的な感じ。
一方、壱太郎之おとくはこってりと情に溢れ、夫をフォローする役さながら、義太夫狂言の世界を醸し出していた。こちの人のどもりと私の喋りで…のあたりで、猿之助のおとくを思い出した。習ったと言っていたけど、藤十郎から猿之助に教えたものだから、一つ飛んで成駒家の芸なんだよね。
団子の修理之介は颯爽とした好青年だが、セリフや所作はまだぎこちない。追い縋る又平を振り切るところは、峰打ちのようにダメージを与えないと。軽く当てただけでは無理でしょう。
歌六の将監に不足はないが、「片端のくせに」とか、指導者としてどうなの?と思う。将監女房でなく女中に寿猿。意外な配役だが、元気そうで嬉しい。
虎退治のところで、修理之介と共に又平も名乗り出て、2人で競うのを将監が修理之介に任せたり、出世の先を越された又平のことを農民たちが噂したり、というのはこれまで観たのと違うような…。澤瀉屋の型なのだろうか。
後段の又平住家は初めて観た。大津絵が描かれた襖?から絵の人物が出てきて立ち回り。笑也や猿弥ら澤瀉屋の役者がたくさん出てきて嬉しい限り。大向こうの1人が下の名前で声かけていたので、誰だかすぐにわかった。澤瀉屋だと誰やら分からないものね。
最後は出演者がずらりと並んで、口上。何を言うかと思ったら、この後の演目をお楽しみにみたいな感じで拍子抜け。
2023年6月11日日曜日
6月11日 The ABC of BUNRAKU
解説はフリーアナウンサーの八木早希と勘次郎ほか。流暢な英語でポイントを押さえた説明が分かりやすかった。会場から3人募って人形体験も。
「仮名手本忠臣蔵」
刃傷の段は芳穂・清志郎。小住と比べると意地悪さがあって、ちゃんと憎たらしい師直だった。清志郎は緊迫感のある演奏。
判官切腹は織・燕三。うーん。重々しい語りだが、何かが違う気がしてしまう。腹を切ってからも声が力強いのだな。燕三の三味線は的確。
城明け渡しは亘・錦吾。
人形は玉助の師直がオーバーアクション。大笑いの後半、口を開けていなかったのはなぜだろう。太夫は後半に向けて盛り上げているのに、合っていないのでは。判官は休演の清十郎に代わって勘彌。黒紋付を脱いで白装束になったところで、着物のしわを伸ばしているのがいいなと。しわくちゃだと緊張感がないと思う。
6月11日 大人のための文楽入門
解説は亘、清公、簑太郎。亘は裏門の台詞を使って語り分けを実演して見せたのだが、客席の反応は今ひとつ。いきなり「勘平さん、話はすっかり聞きました」とか言われても何のことやら分からないだろうし、子ども→町娘→姫→婆→侍という順も悪かったと思う。地声に近い侍から始めて違いを見せる方がわかりやすいと思った。
「仮名手本忠臣蔵」
殿中刃傷の段は小住・錦糸。悪くはないのだが、師直はもっと意地悪でないと。ねちっこくいじめないと判官がキレる理由がわからなくなってしまう。刃傷に及んでからのドタバタももっと畳み掛けるようなスピード感が欲しかった。やはり若手には難しいのかな。錦糸の三味線はいつもの安定感だったけど、フォローしきれず。
判官切腹の段は呂勢・藤蔵。これこれ、浄瑠璃らしい浄瑠璃。判官が息も絶え絶えのところは、声をコントロールしきれないようなちょっと不規則な音が混じってリアリテイあった。藤蔵の三味線は、さすがに唸り声が控えめで、緊迫感のある場面を描出。ただ、静かな場面で糸を繰る音が少し耳に触った。
人形は玉佳の若狭之助が爽やか。簑二郎の判官はちょっと地味。由良助の玉也は短い出番ながら抜群の安定感で場を引き締めた。茶道珍才は休演の簑之に代わって簑悠。
城明け渡しは御簾内で碩・燕二郎。声がよくでていた。
2023年6月8日木曜日
6月8日 ジャンポール・ゴルチエ「ファッション・フリーク・ショー」
2023年6月3日土曜日
6月3日 六月博多座大歌舞伎 夜の部
愛之助の団七はやはりいい。当代一と言ってもいいのでは(とはいえ、上方の団七をする人は他にあまりいないのだけれど)。
徳兵衛は菊之助。スッキリとした男前で、上方らしさはあまり感じなかったが、違和感がないのが大事。 三婦は鴈治郎。ちょっと三の線入ってる感じだけど、上方のいいおっちゃんという風情。
雀右衛門のお辰もよい。「こちの人が…」はさらりとしつつも、懐の大きさが感じられた。吉太朗の琴浦はぼんじゃりとして可愛らしく、歌女之丞のおつぎもよく似合っていた。
義平次は橘三郎。枯れた感じの憎らしいジジイ。泥場の立ち回りは少しあっさりした感じ。前の客席に泥水よけのビニールが配られたが、全く不要だった。団七の髷の捌きがうまくいかず、ゆるいポニーテールみたいなまま最後まで行ってしまった。殺しの型がいまいち締まらず残念。
菊之助が全く異なる二役を早変わりで。2列目センターという良席だったので、目が合うようでドキドキ、坊主姿のとき、薄手の羽織から褌のみの生尻が透けて見えて目のやり場に困った。
「三人吉三」
梅枝のお嬢は鳥屋口から数メートル出たところで立ち止まり、夜鷹に狙いを定めたことを示す演出。あまり客が見ていないところでも、細かく演じているのに感心した。女→男→女の変わり身も鮮やかで惚れ惚れ。お坊は萬太郎。口跡の良さはらしいけど、たっぱがもう少しあったらな。和尚の彦三郎はイケボで場をまとめた。