2020年12月30日水曜日

12月29日 第四十九回圓菊一門会

菊龍「三井の大黒」

 16時からの夜の部のみ、と思って行ったら押していて、昼の部のトリから聞けた。ひょうひょうとした芸風で年の功を感じさせる洒脱さがある。

菊太楼「紙入れ」

サバサバとした感じのおかみさん。新吉のうろたえぶりが笑いを誘うが、紙入れを忘れたことに気づいたときに「おかみさんが隠しておいてくれないか」と言ってしまっては先がつまらないのでは。

北見寿代 踊りと玉すだれ

なんだかぎこちない玉すだれ。素人のように、つっかえつっかえ。踊りのほうはなんぼかましだった。

菊丸「天狗裁き」

江戸の落語家らしい、からっとしたしゃべり。

文菊「そば清」

ひたすらそばを食べ続ける面白さ。先輩たちに囲まれているせいか、おとなしめだったような。


駒子「幸せの黄色い干し芋」

出身地群馬を舞台にした新作らしいが、あまり好みではなかった。


バラクーダ岡本圭司

「日本全国酒飲み音頭」と「血液ガッタガタ」で強引に引っ張った。


志ん弥「三枚起請」

ベテランらしい安定感で、マクラで高杉晋作の都都逸に触れ、オチで納めるまで隙がなく鮮やか。

終演後、緞帳を下げずに楽屋にいる弟弟子らを集めて三本締め。私服の噺家が観られてちょっと得した気分。

2020年12月29日火曜日

12月28日 古今亭文菊新宿落語ナイト「乱れ咲き」第54夜

「鹿政談」
奈良の話なので関西弁でないと雰囲気が出ないものの、東京の人の関西弁は違和感があることが多いのでどうなるか思ったが、関西の雰囲気を出す程度に留めて、やりすぎないのがよかった。あまり不自然さはなかった。関西弁でしゃべるのは豆腐屋のみで、それも控えめだった。 
奉行にやり込められる役人の追い詰められる顔で笑わせたが、全体的には大人しめというか、ためになる教訓話を聞いているようだった。 

「二番煎じ」
こちらも上方噺。 師走の寒い時期に似合いだ。
火の用心の掛け声や、宴会と化した番小屋での都々逸など、美声を聞かせる。

道楽亭という小屋はライブハウスのような雰囲気。パイプ椅子の客席の間を通って噺家が登場し、かなり距離が近い。

2020年12月28日月曜日

12月27日 第四十回テアトル・ノウ東京公演

 天下泰平 国土安穏―コロナ終息祈願―というタイトルが追加されていた。が、「道成寺」だったはずが、いつの間にかプログラムが変わっていた。会場に行って初めて知ったのだが、どこかで告知があったのだろうか。ちょっと裏切られた気分……。

「神歌」

片山九郎衛門と観世淳夫。後半ちょっと音程が不安定になるところがあった。

「羽衣」

味方玄のシテ、ワキは宝生欣哉。和合之舞の小書き。

「樋の酒」

野村萬斎、石田幸雄、高野和憲。

仕舞「邯鄲」 浅見真州

仕舞「鍾馗」 観世善正

半能「石橋」

味方玄、味方團、武田祥照、小早川泰輝。ワキは宝生欣哉。

白獅子1人に赤獅子(と子獅子)3人という豪華版だが、動きがずれていたというか、白獅子より先に赤獅子が動くのはあれ?という感じ。


2020年12月24日木曜日

12月23日 古今亭文菊独演会

入船亭扇ぽう「道具屋」
ハキハキとした喋りで聞きやすい。後半、運びがちょっとぎこちないところも。木刀を抜こうとした客に「抜けるの物はないのか」と問われ、首の抜ける雛人形でオチ。

文菊「安兵衛狐」
一旦袖に引っ込んだ扇ぽうが湯呑みを持って出てきたのを間違えて拍手がチラホラ。坊主同士で似てるからね。

供養した幽霊に訪ねられ、はじめは怖がっていたのに「いい女だなあ〜」と相好を崩す様子、女(少女?)に化けた小狐が斜め上を向いて「コン」というのがかわいい。

文菊「笠碁」
強情を張り合うお爺たちの表情で笑わせる。笠を被って、濡れないように袖をすぽめるけど仕種、様子見にチラチラ首を曲げる様など、芸が細かい。

文菊「富久」
これまたタイプの違う富久。太鼓持ちの調子のいい様子はありながら、喧しくはないというか。
酒を飲むのは、旦那から許すのではなく、自分から強引にという感じ。懲りてない様子であまり同情できないかも。

2020年12月21日月曜日

1220 三人の国宝「祈り」

梅若実玄祥、藤舎名生、大倉源次郎という3人の人間国宝による共演で、「除災招福 疫病鎮静 災害復興 国土平安平穏 祈念」との冠詞がついている。

横笛の藤舎名生による独奏「竹林の詩」「鞍馬」

古典作品ではない自作らしく、竹林をそよぐ風や鳥のさえずりなどを感じさせる曲。

一調一管「葛城」は実の謡に源次郎の小鼓、竹市学の能管。

実は葛桶に腰かけての謡だが、声の力を感じさせる。立ち上がるときに介添えが必要そうなのが気がかりだ。

トークは3人にプロデューサーの西尾智子の司会。

3月末を最後にコロナ禍でことごとく公演がなくなり、「舞いたいという気にさえならなくなった」という実が、どんな形でもいいから会をやってと念願して実現したのがこの公演だそう。「これだけ能が好きな僕が能を好きでなくなったら死んだ方がまし」と言ったのはちょっと心配だ。

最後は創作舞「祈り」

カッチーニの「アヴェ・マリア」に横笛、小鼓、能舞が加わる。

横長の家型の作り物(白い布で囲われている)に入って登場した実は装束付き。老けた女の面に白い頭巾、装束、手には百合の花?をあしらった杖を持っている。前半は造り物の中の葛桶に座ったまま、扇を持った手を動かして舞い、後半は立ち上がったものの、移動には杖や作り物の柱をすがる様子。手を伸ばして探る様子が痛々しかったが、ラスト近くで、シオル仕草が美しく、はっとした。造り物を再び覆って退場。

テノール歌唱にLE VELVETSの佐賀龍彦。紋付き袴だったので、はじめ誰かと思った。静かな歌唱。

2020年12月17日木曜日

12月16日 第二回ことのは会

会場(国立能楽堂)の都合で21時に終わらないといけないとかで、オープニングトークは短め。橋がかりから登場するのが、ストロークが長く、思った以上に時間をとってしまったらしい。

1席目の落語は吉坊「ツメ人情」。右手だけしか動かせないツメ人形たちがかわいい。たこ助(?)の襲名披露公演の幕が開こうか、というところでおさめ、余韻の残るラスト。

続いて芳穂・友之助の素浄瑠璃「赤頭巾孝行剪刀」は真っ赤な衣装に時節柄赤いマスクが追加。床に座っておもむろにマスクを外して一笑いとっていた。

休憩をはさんで合作「梅川忠兵衛」。木ノ下裕一の解説から、素浄瑠璃「新口村」、落語「後の梅川」。

木ノ下の解説は基本的に前回と同じだが、備忘録に記しておくと、近松の「冥途の飛脚」と菅専助の「けいせい恋飛脚」の違いは八右衛門のキャラクターと新口村の天候。歌舞伎の「恋飛脚大和往来」になると、役者によって型が変わり、封印「切れ」の成駒屋、封印「切り」の松島屋、折衷型の實川延若型(図らずも封印が切れた後は、火箸を使って切ってしまう)。

芳穂・友之助の「新口村」は再演のためか、安定感が増したよう。能楽堂の音響のよさもプラスだったか。

「後の梅川」は大正時代に歌舞伎で作られたものを落語化したそうだが、それにしては八右衛門がいい人では?20時59分に終演とはお見事!

コロナ禍で客席を間引いていたせいもあるが、正面席も後ろの方は空いていて、ワキ少雨面はまばら、中正面はすべてつぶして…と、広い国立能楽堂の客席が寂しかったのがもったいない。

2020年12月15日火曜日

12月14日 Discover BUNRAKU

 解説のステュウット・ヴァ―ナム・アットキンが的確。床の亘、寛太郎や玉誉ほかの人形遣いとやりとりしながら、簡潔に必要な情報が盛り込まれていた。日本語でもこういう解説をしてほしい。太夫は narrative singing で story teller であり voice artist であるとか。

上演は「芦屋道満大内鑑 葛の葉子別れの段」で、中が咲寿に代わって小住・勝平、奥が呂勢・富助。鑑賞教室だからか、口上で「〇〇に代わって△△」という紹介はしていなかったのがちょっとかわいそう。

呂勢・富助は慣れてきたのか、心地よく聞けた。

2020年12月14日月曜日

12月13日 當る丑歳 吉例顔見世興行 第三部 

「末広がり」
狂言が元で同じ題だが大分違う。主人の代わりに米吉の女大名。時節柄、疫病が流行って恋しい男に会えないから、扇に文を認めるため太郎冠者を使いに出したと。
太郎冠者は右近。すっぱに騙されるくだりはばっさりカットし、酔っ払って帰参するところから。(けど、何で酔態?)右近は傘の上で鞠を回す曲芸を披露し、これを見せるための演目のよう。

「廓文章」
店先では竹本(二枚二挺)だが、部屋に入ってからは清元。右近=栄寿太夫がシンの三枚三梃。右近は声がいいので、専念すればいい太夫になりそう。高音部が鳥の首を絞めたように聞き苦しくなることが時折あるのは、経験不足とみた。 

幸四郎の伊左衛門は、江戸風らしいが、嫌味ったらしいワガママなボンボンという感じで可愛げにかける。伊左衛門って、頼りないけどほっとけないという可愛らしさがないと、観客の共感を得られないと思うのだが。
壱太郎の夕霧は綺麗だけど、滲み出る風情は薄い。姿も声もいいのだから、上方のこってりした匂いが加わったら。
店先の餅つきはなく、若い衆は千次郎1人だけ。喜左衛門は出て来ず、女房のおきさ(千寿)が伊左衛門とのやりとりを引き受ける。抜擢だし、期待値が高すぎたのか、やや物足りなかった。若い衆とおきさのシーンは、晴の会みたい。時短のため色々カットされていて、部屋に通してからのやり取りはなく、転換後はコタツでふて寝してる伊左衛門のが1人。最後は感動が解けて夕霧の見受けが決まり、おきさが音頭をとって大阪締めで幕。


12月13日 當る丑歳 吉例顔見世興行 第二部

「寿二人猩々」
隼人と千之助、若い2人の瑞々しい踊り。赤髪の千之助は博多人形のような愛らしさがある。踊りは腰高のためか、洋舞の創作舞踊ののように見えた。隼人は日舞らしさはまだあるが、手の広げかたが小さくて、並んだ千之助より見劣りするところがあった。
酒売りに亀鶴。

「熊谷陣屋」
11月公演中にコロナ感染した孝太郎、濃厚接触者として仁左衛門が初日から休演。体調不良で初日から秀太郎、3日目?から竹三郎も休演と、波乱続きだったが、7日から仁左衛門、10日から孝太郎が復帰し、残るは秀太郎だけ。
 
仁左衛門の熊谷の立派なこと!無骨な武士の風情でありながら、内に秘めた苦悩や哀しみが滲む。花道で振り返り、小太郎の首と別れを惜しむ場面。相模越しの視線の先に、千之助の姿。毎日祖父の芸を見たことが、今後に繋がってくれるといい。
孝太郎の相模はちょっと情が薄いか。陣山で出向いた言い訳が表面的に聞こえた。小太郎の首と対面してからはよかった。
藤の方は秀太郎の代役で門之助。本役だったら何の不足もないのだが、秀太郎だったら…と思わずにいられない。(熊谷に斬りかかるところなど、結構動きがあるので秀太郎大丈夫かと思いもしたが )それにしても、はじめは相模、次いで藤の方と立て続けに代役を勤められる門之助の凄さ。
松嶋屋総出演で、堤軍次の進之介が期待を裏切らないマイペース。梶原平次の松之助もよかった。
冒頭の高札に人が群がるところで庄屋幸兵衛の竹三郎。元気そうな姿に一安心。

2020年12月13日日曜日

12月12日 横浜能楽堂普及好演「眠くならずに楽しめる能の名曲」

中村雅之芸術監督のトークは舞台に上がらず、正面と中正面の間の通路から登場。「眠くならない」工夫があるのかと思ったら、そういう演目を選んでいるとのこと。

「夷毘沙門」 

善竹隆司の夷、山本泰太郎の有徳人、隆平の毘沙門。
婿入りを巡って夷と毘沙門が争うという、ほのぼのと可笑しい話…なのだが、あまり笑いが起きなかったような。善竹家の芸は堅いからか。
矛を使った毘沙門の勇壮な舞や、夷が大きな鯛を釣り上げるところなど、躍動感があって面白い。夷は飛び上がって一回転するなど、身体能力の高さにびっくり。

「小鍛冶 白頭」
小書なしだと、前シテが子方、後シテが赤髪のところ、老人、白髪に。
金剛の若宗家は声がいい。
後シテは白い狐の冠が丸みを帯びていて可愛らしいのに、舞はアグレッシブ。シャープな動き。
地謡は5人で黒マスク。お囃子は普段通りに見えた。

2020年12月11日金曜日

12月9日 柳家三三・玉川奈々福二人会「落語のチカラ浪曲のチカラ」

前座は菊一「饅頭こわい」
忙しなさも含めて前座らしい。前段の怖いものの言い合いのくだりがたっぷりで、饅頭を食べて怖がるところがあっさり。

三三「雛鍔」
マクラのぼやき節。コロナ禍で公演が次々中止や延期になって打たれ弱くなったと言っていたせいなのか、大阪で見たときと違う感じ。
噺は金坊のこまっしゃくれた様子がほほえましく、大名家の爺の格式、御隠居の落ち着いた様子など、身分がはっきりわかる語りわけが見事。

奈々福「ライト兄弟」
世界偉人伝と題した新作。小佐田定雄作だが、かつて志の輔の以来で書いてボツになったものだそうな。
ジョーンズやら、いかにも西洋人な名前の登場人物が「あっしは」などと喋るギャップが可笑しい。兄弟の近所のアラブ系の男が、アラビア訛りならぬ関西弁。
奈々福はコロコロと小節を聞かせて唸りまくり、聞き応えたっぷり。ホールの音響も良かったのか、これまで聞いた中で一番の声だった。
時間短縮のため(席亭に5分みじかくなると言われたそう)、裸の見台での口演は初めて見た。これまで見たのは、寄席で座って演じるときもテーブル掛けなどの装飾はあったので。

奈々福「陸奥間違い」
中入りを挟んで、立ち高座で、しつらえもしっかり。金魚のような絵柄は時期にあっているのか?
年末になるとやりたくなると言っていたが、勘違いが巡り巡って膨らんで、大いに笑わせる。誰も不幸にならないハッピーエンドで、大名家や将軍まで出てくるスケールの大きさも相まって聞いていて気持ちがいい。

三三「星野屋」
小佐田定雄脚本で歌舞伎座で上演しているからでもないだろうが。
あまり声色や仕種で女らしさを見せる芸風ではないので、お花の婀娜っぽさは薄いのだが、お花が髪を切ったと見せかけたり、30両を贋金と言ったりの騙し合いのくだりはテンポよく、息つく間もなくオチまで運んだ。



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2020年12月8日火曜日

12月7日 円菊一門 下っ端三人の悪だくみ

前座は菊一「たらちね」

はっきりした顔だちでハーフっぽい。ややせわしないがてきぱきした話しぶり。

文菊「四段目」

配信でも見たが、生はより楽しい。嘘をつこうとしどろもどろになったり、不貞腐れたり、調子に乗ったり……。表情豊かな定吉の可笑しさ。十二代團十郎の声色をはじめ、判官切腹の場をたっぷりと。切腹ではなく「腹切り」と言っていたが。


菊太楼「富久」

この会の発起人だそう。先日の一之輔の印象が強すぎて、あの時ほど引き込まれるというか、巻き込まれるような勢いはない。が、落語家らしい風情と話ぶり。

トークは生年月日の占いをネタに。文菊は「ストーカーの星」、菊志んは「素直になれない星」、菊太楼は「スタミナの星」なのだとか。ストーカーは思い込んだらしつこいが、よく言えば一途で、一つの道を突き詰めるのを仕事に活かせたら吉。菊志んの「万年反抗期」という評にあとの2人が「その通り!」と口を揃えたり、「高座で全て曝け出している」という文菊に「本当は普通に歩けるのにゆっくり出てくる」と突っ込んだりと、兄弟弟子らしいやりとりも。

菊志ん「三軒茶屋」

ガチャガチャした勢いのある話し方。ちょっとせわしない気もするけれど、噺に引き込まれた。3人続けて聞くと、同じ一門でも全く違う個性が面白い。



 

2020年12月6日日曜日

12月5日 文楽公演 第一部

 「仮名手本忠臣蔵」

二つ玉の段は希・藤蔵。清允の呼吸は盆の裏で。希は定九郎にふてぶてしさがあり、意外に悪くない。

身売りの段は芳穂・宗助。語りに貫禄がでてきたよう。

早野勘平腹切りの段は靖・錦糸。ちょっと背伸びが必要な役をいっぱいに語るのはいいなあ。初めての大役だろうが、錦糸の稽古が行き届いてかちゃんと形になっている。与市兵衛女房の哀れさより、勘平の悲劇が際立ったのは、靖の若さゆえか演出か。

人形は勘弥の勘平は不可もなく。亀次の与市兵衛は本人と同体しているよう。玉勢の定九郎は黒紋付きの衣装だった。簑一郎のおかるは珍しい。与市兵衛女房に文昇。

女房が勘平の舅殺しを訴えるところで、与市兵衛を乗せた台?が倒れ、死体が舞台から消えるハプニングが。人形は大丈夫だったのか。

12月5日 文楽鑑賞教室 Bプロ

 「二人禿」

南都、咲寿、亘、碩に清丈、寛太郎、錦吾、燕二郎、清方。Aプロより1人ずつ多いのはこれいかに? 南都がシンだと、景事の華やかさがある。

人形は玉誉、勘次郎。

解説 文楽の魅力は玉翔。やはり幕前でしゃべるときはマスク着用。幕が開いてからはマスクを外すが、左遣い、足遣いはマスク着用。図を送らないと左遣いが動けないという、お決まりの件で、左の玉彦が「不機嫌そうな顔」をして笑いをとっていた。

「芦屋道満大内鑑」

中は小住・清志郎。義太夫節らしくてよい。

奥は睦・清介。睦は高音域が辛そうで、後半はばて気味だった。聞いたところ、結構早い段で(盆が回ってから10分くらい。保名が部屋にあがったところ)から調子を上げるので、太夫はしんどいのだそう。

人形は清十郎の葛の葉、玉男の保名。紋臣は葛の葉姫でこちらのほうがしっくりくる。下手側の客席だったので、葛の葉が白い衣装に変わるところや狐に変わるところの人形の持ち替えが見えたのが興味深かった。


12月5日 文楽鑑賞教室 Aプロ

 「二人禿」

遅れて後半のみ鑑賞。靖、小住、碩に団吾、友之助、清公、清允。人形は玉翔、簑太郎。

解説 文楽の魅力は亘と寛太郎。内容的に目新しいものはなかったが、亘は幕前でしゃべっているときにマスク着用。1列目の席は空けていたのだが、必要?床に移動してからはマスクを外していた。

「芦屋道満大内鑑」

中を咲寿・勝平。声がふらつくというか、音程が安定しないので辛い。三味線ともちぐはぐな印象。

奥は呂勢・富助。珍しい組み合わせなので、期待していたのだが、どちらもおとなしめ?

人形は勘十郎の葛の葉。狐になると生き生きして見える。玉志の庄司はともかく、玉也の保名、紋秀の葛の葉姫、紋臣の庄司の妻は珍しい配役。玉也の二枚目は悪くないと思う。

童子は5歳なんなんだよね?昼寝の前や別れの際に乳を飲ませたり、葛の葉姫に乳が違うと言ったりするけど、とっくに乳離れしてるはずでは…。

2020年12月4日金曜日

12月3日 文楽公演 第二部

「桂川連理柵」

六角堂の段は咲寿のお絹、小住の長吉、亘の儀兵衛に清馗。 
新人公演のような布陣で、内容も…。この中では年長格の咲寿は風格に欠け、お絹の女房らしい落ち着きや女の切なさがない。小住は三枚目らしく、滑稽な感じで語るのだが発声がなんか変。前はもっと素直な語りだったのに、下手になってないか? 人形は好演しているようなのに、床がしんどいと集中できなかった。

帯屋の段の前は織・燕三。織はドヤ感の強い語りが世話になっておらず、笑いどころのはずの儀兵衛も妙に威張っている感じでおかしみに欠ける。燕三は深みのある音色だが、せっかくの演奏が生きない悲しさ。心なしか不満げな顔に見えた。 
後は藤・清友。繁斎の語りがしみじみとして爺らしく、俄然上手く聞こえた。お半はあまり可愛くないけど、全体としてちゃんと世話になってた。 

人形は一輔のお絹。主役の2人が文司の長右衛門、お半の簑二郎と華がかける気がしたが、この段では本来、お半より妻の方が重い役と思えば納得。儀兵衛の簑紫郎はなんだか楽しそう。 


2020年12月1日火曜日

11月30日 江戸落語を食べる会

コロナ禍のご時世なので、食事はお土産のお弁当に。会議室のようなテーブルの両脇に椅子を並べ、高座との距離感や妙に明るい照明が何となく落ち着かず、噺に入り込めなかった。これで7500円は高いなあ。

前座は三遊亭ごはんつぶの「子ほめ」。間は悪いし、落ち着きがなく、笑うべきところで笑えない。 

文菊の1席目は「干物箱」。親を何とかだまして吉原へ遊びに行くぼんぼんの身代わりとなった貸本屋の善さん。落語によくあるお調子者ぶりがおかしい。

「包丁」は清元の師匠というおかみさんが色っぽい。 とはいえ、浮気の現場を亭主に見つかったからといって、田舎の芸者に売り飛ばされちゃったりするもんだろうか。