2020年1月8日水曜日

0108 シスカンパニー「風博士」

坂口安吾の小説をモチーフに戯曲化。とはいえ、かなりオリジナルな設定になっているよう。
元研究者で風船爆弾の開発に携わり、大陸で日本軍相手の女郎屋の亭主をしているというフーさんに中井貴一。飄々とした様子が過去に何かを捨ててきた男の、諦念のようなものを感じさせる。冒頭、「青い空」というセリフがあるのだが、舞台奥の背景はグレーがかった色合いだったのは何故だろうか。
フーさんに預けられる、戦争で家族を失った娘役の趣里がいい。ショックのあまり頭のネジが飛んでしまった娘を所在なさげに、時に無邪気に体現。セリフなしで、身体を動かす時のしなやかさ。脚が綺麗に伸びていると思ったら、バレエをやっていたそうで納得。
曰くありげな遊女、鶯の吉田羊が格好良く、新兵卒の林遣都は初々しく、哀れだ。
ファルスという触れ込みだが、戦争の悲惨さを描いてあまり笑いはしなかったが、終始からりとした芝居で、悲惨さや湿っぽさは少ない。最後はバイクでの逃走劇で、爽快感があった。


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