三味線7丁による序曲「序章二〇一七」に続く出演者トークが面白い。呂勢の司会で、出演者一人ひとりに異なるエピソードを紹介。宗助は初めて三曲をやったときの思い出。琴も胡弓も嫌いで、特に琴は13弦もあるので近視の宗助は弾き間違えないよう、師匠に言われて暗闇で稽古したとか。清志郎は出演前に周囲にイヤな空気を醸すほどの緊張しい。呂勢が「Mっ気があるから楽しんでるでしょ」とツッコミ。清きは激やせについて。病気ではないそうで、痩せたおかげで正座しても痺れなくなった。力が入らなくなった時期もあったが、それは克服したそう。寛太郎は師匠寛治の稽古について。曲弾きなど教えてもらったが、50年以上昔のことなので記憶が曖昧で感覚で伝えられる。稽古で言われたことを直していくと翌日また違うことを言われる。「昨日はこう言ってましたとか言わないの?」との問いに「言うと目が三角になるので、ハイ、ハイと」「でもハイと(殊勝げに)言うのかと思ったら結構ぞんざいだよね」(←ナイス突っ込み)
清公は研修生時代、小指を立てる癖を直すため、清治に薬指とテープでぐるぐる巻きにされたエピソードを紹介。そう言うそばからマイクを持つ手の小指が立っているのがご愛嬌。燕二郎は師匠と同じマンション(部屋は別)で毎日食事を一緒にしていることについて。普段はその日あったことを報告する程度だが、たまにお酒が入ると芸談を聞かせてもらうこともあるそう。いまでは珍しい師弟関係だ。
睦は奈良でも東京の実家も師匠と家が近所。奈良の家は自分で選んだが、東京の家は「後から師匠が近くに越してきた」。「思い出の場所に師匠が来てイヤだとかないの?」と聞かれ「思い出は全て関西に持って行った」とかわすと「睦は真面目でつまらない」とバッサリ。靖は結婚して二児のパパ。子供ができての変化を聞かれ、「其礼成心中」で主人公の娘が家を出るところで、自分の娘もいずれ…と思ってうるっときたと。燕三も「寺子屋で主人のために小太郎を身代わりに殺すとか絶対無理!」と力説。呂勢もそろそろ身を固めないと、と言われて「男は70でも子供ができるから」とかなんとか言っていたけど。
肝心の「壇浦兜軍記 阿古屋琴責の段」は素浄瑠璃でたっぷりと。まあでもこの段は語りよりも三味線や三曲の演奏を楽しむものだなぁ。あまり感情が迸るようなところはないし。三曲は燕二郎で、琴は緊張した様子だったが、胡弓はダイナミックな演奏。呂勢によると、寛治に稽古してもらった際、「胡弓では『これだけやってもまだ信じてくれないの⁈』とやけになってる」と教わったそう。そう思って聞くと楽しみが増す。
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