2016年1月31日日曜日

0130 第43回バレエ芸術劇場「ショピニアーナ・フェアリードール」

「ショピニアーナ」 ショパンの「ノクターン」や「ワルツ」などのピアノ曲を繋いだ作品。オーケストラにアレンジされると、ピアノと違って流れるような曲の雰囲気になる。 安積瑠璃子、松本真由美、堀端三由季の3人は嫌みのない踊りで曲の雰囲気に合っている。皆同じ衣装だったので、誰が誰だか区別がつきにくかったのだが。 コールドもそろっていて綺麗だった。 「フェアリードール」 様々な種類の人形が出てきて、個性的な踊りを繰り広げる。それぞれのキャラクターに見せ場があって、発表会向きの演目か。 フェアリードールの井澤照予がはつらつとした踊り。 1幕から出ていた黄色と赤の人形がピエロかと思っていたら、道化人形とアルレキン人形(?)だったらしい。ピエロの2人のうち、背の高いほうの踊りがよかった。

0130 メイシアター×ホルマリン兄弟「TOUCHABLES」

「アンタッチャブルズ」のパロディで買収を持ち掛ける腐敗した警官。カポネと呼ばれる大悪党の西川忠志が意外に(失礼)よかった。開演前から客席を役者がうろうろして客をいじったり、芝居中もスナイパー役に巻き込んだりという演出が楽しい。ベテランの役者陣がしっかりしてるので、若手お笑い芸人、素人(吹田市役所職員)とのアンサンブルが面白いアクセントになってた。カポネの執事役の男と女和田ちゃんがいい味を出してた。

0128 劇団鹿殺し「キルミーアゲイン」

ダム建設で村が沈められるのを阻止しようと、東京に出ていた劇作家が帰郷する。古い地元劇場で芝居を開き、村民に訴えかけようという。 スランプ中の劇作家(大東駿介)がうまく、冒頭から引き込まれる。高校時代の回想と現代を行ったり来たりし、劇中、高校時代のブラスバンド部による生演奏や唐突に歌(菜月チョビ)が始まったりとごちゃまぜなのだが、不思議と受け入れてしまうのは完成度が高いからか。歌は決して上手くないのに、一昔前の歌謡曲を彷彿とさせるキャッチ―なメロディーが耳になじむ。 後半、女装した男優陣によるおニャン子クラブのパロディーあたりからは、それまでの緊張感が緩んでダレた印象。

2016年1月24日日曜日

0123 高谷史郎「STIILL」

モノトーン。薄く水を張った舞台上に縦長のテーブル。食事のセットがされているが、グラスが倒れていたり、食事の後? 天井からカメラが下りてきて、テーブルの上を撮影した様子が奥のスクリーンに映し出される。床の水面が鏡のようになって、スクリーンの映像が映るのも面白い。 2人の女がテーブルについて、シンメトリーに食事をする動き。もう一人のダンサー(平井優子)に比べ、鶴田真由は立ち姿、動きともに見劣りしてしまう。後に詩を朗読するのも、滑舌が悪いのか言葉が響かない。狙いなのかもしれないけど。ダンサーというのは立っているだけで、説得力があるのだと再認識した。 ダンサーとスクリーンに映る映像が同期する動きをしたり、水音を立てて踊ったりと、次々に印象が変わる。 天井からたくさんの電球が下がるなか、不思議な言葉(アイヌ語らしい)の詩が朗読されたり、わけのわからない言葉をしゃべる性別不明の女?(薮内美佐子)が紙で作った文字(ひらがな、漢字、アルファベット)をまき散らす。言葉が黒い水面に浮かんできれい。 最後、平井がソロで踊るなかをカメラが下りてきて、旋回するような動きをする。てっきり何か映像を映しているのかと思ったら、ここはカメラという物体とのパドトゥなのだそう。 アフタートークによると、時間と空間。静寂(STILL)のなか、小さな揺らぎから生まれる波紋などがキーワード。だが、伝えたいメッセージは特にないそう。

0122 オイスターズ「この声」

入れ代わり立ち代わり現れる3人の女子高生に翻弄される高校教師。ゾンビとか、セクハラとか、いじめとか、話がかみ合ってるんだかいないんだかわからない、もやもやした感じ。不条理会話劇というのはそういうことか。 最後、友達同士だと思っていた3人が初対面。ではそれぞれに友達がいて、いろいろ問題あったんだよね?どうなったの? 先生の描く妻子の絵も気になる。 何もない舞台に、イーゼルと椅子のみ。舞台の上手下手だけでなく、客席の後ろなどいろんなところから現れて不意を突かれる。

2016年1月18日月曜日

0117 音楽劇「星の王子さま」

有名すぎる、サン・テグジュペリの童話を、ただ演劇化するのではなく、音楽劇にしたのがよかった。心にしみる言葉の美しさを歌にすることで、より響くものに。 王子さま役の昆夏美は小柄で、絵本とおなじ王子さまのコスプレも最初は体にあっていないように見えたが、だんだん違和感がなくなった。何より歌がうまく、高音がきれい。飛行士の伊礼彼方とのデュエットもすごくよかった。

0116 音楽劇「レミング~世界の涯まで連れてって~」

寺山修二を維新派の松本勇吉が演出。どちらも初めて生で見たので新鮮だった。 変拍子を足踏みで取りながらセリフを言う、独特の世界観。物語としては難解なのだが、引き込まれた。 コック1(タロ)の溝端淳平とコック2(ジロ)の柄本時生、キャラクターの違う2人だが、2人で1役のような感じもある。柄本は滑舌が悪く、せりふが聞き取れないところも。 影山影子の霧矢大夢のセリフが印象的。威厳があって、女王然としたキャラクターがはまっていた。 母親の麿赤児は思ったほど不気味でなく、予想通りというか。

0112 宝塚宙組「シェイクスピア~空に満つるは、尽きせぬ言の葉~」

シェイクスピアの人生と戯曲をオーバーラップさせたという脚本にはちょっと無理があると感じた。ウィルとアンの恋に「ロミオとジュリエット」に重ねてバルコニーのシーンのせりふを言わせるのだが、「名をお捨てになって」という展開になっていないとか、宮廷の権力争いと劇場運営を絡ませるとか。 だが、朝夏まなとや美咲凛音ら、歌唱力があるので、歌の説得力が素晴らしく、観終わったあとはなんだか満足な感じ。 ショー「ホットアイズ」は80年代ヒット曲が満載。昔のアイドルのような歌詞にもぞもぞしたけど、ファンにはたまらないのでは。松田聖子の「天使がウインク」を娘役トップが歌ったのが、ツボった。

2016年1月12日火曜日

0110 リサイクル缶の階「話すのなら、今ここにないもののことを話したかった。 今ここにないものの話ばかりしようと思った。」

こういうむやみに長いタイトルは、勿体ぶっているようでげんなりする。 脚本から削除された登場人物とか、上演されなかった芝居の登場人物とか、いないはずの人のことを観念的に論じている。確かにタイトル通りではある。不思議な感じに浸れれば心地よいのかも。 ヒーロー役のひとのしょぼくれ加減がよかった。(←褒めてるつもり)

2016年1月11日月曜日

0109 「熱海殺人事件」

いや〜笑った。風間杜夫と平田満のマシンガンのようなセリフは、ほとんど頭に残らないのだけど、何とも言えない調子と間が凄い。まあ、ちょっと言い切れてないようなところはお年かな、と思わなくもなかったけど。言ってることは無茶苦茶で、平凡な殺人は許さんとか、立派な犯罪者になれとか、ブスを野放しにするなとか、酷いのにおかしい。 殴ったり蹴ったりするところで、歌舞伎のツケのような音が入ったり、歌舞伎調のセリフ回しがあったりするのは演出のいのうえ流か。風間が歌舞伎風にセリフを言うところもあったような。 若い2人は頑張っていたけど、2人だけのシーンはちょっとダレた。愛原実花は身のこなしきが美しく、さすが宝塚出身。中尾明慶はラッパー風のなりで登場するところで、せりふが聞き取りにくかった。

0109 ヨーロッパ企画イエティ「杉沢村のアポカリプティックサウンド」

ホラーコメディというのに、ちっとも笑えなかった。他の客は結構笑っていたのだが。 すぐ怒鳴る男がすごく不快でムカムカしたのと、小学生みたいな会話にうんざりした。山で遭難しかけてるのに駄々をこねて日が暮れてしまうって、そんな大人いるのか?世の人はあんななの?

2016年1月9日土曜日

0107 初春文楽公演 第2部

「国姓爺合戦」の通し。疲れていたせいか、期待したほど面白くなかった。 小住大夫、御簾内でも声が前に出ている。 紅流しより獅子ケ城の段は文字久大夫と藤蔵。最近聞いたなかではよかった。楷書の時代物はあっているからだろうか。 後日再見。 芦辺の段は始大夫と團吾。大きな体で力強い語り。 平戸浜伝いより唐土船の段。柳可君がいいなあと思ったら、簑紫郎だった。 千里ケ竹虎狩の段の奥は三輪大夫と喜一郎。ツレ三味線に龍爾。この段に限らないのだが、ツレの三味線さんが終わったあと、前を向いたままさっと三味線を渡して引っ込むのが格好良くてほれぼれ。虎の着ぐるみが大活躍。かわいい。 楼門の段は咲甫大夫と清介。咲甫大夫は器用だなあと。 甘輝館の段を千歳大夫と富助。三味線の皮を破かんばかりの力強いタッチにびっくり。千歳大夫は相変わらずの熱演だが、今一つ心に響かないのはなぜだろう。 三味線のメリヤス隊が迫力。

0106 ツインズ

日本の海辺の町ということだが、どこか外国のように見える。死期の近い父親のもとに久しぶりに集まった兄弟。 外出を控えたり、食べ物や水を口にしなかったりする人がいて、何かで汚染されていることを暗示している。気にせず口にする人もいて、絶えず悶着がある。 ハルキの古田新太は娘を助けようと手を尽くすものの、空回りする父親。神経質になっている前半から人格が変わったようにいい加減になる後半との落差が面白い。 娘イラの多部未華子は多感な少女といった風情。冒頭などでエアピアノを弾くところがあるのだが、音と手の動きがあっていないのが気になってしまった。ちょっと長すぎかも。 ローラのりょうはお手伝いなのか、看護師なのか不明な、謎の女性にはまる。ほか、吉田鋼太郎、葉山奨之ら。 最後、魚に手足の生えた姿の生き物が2体現れたのは双子の成れの果てか。見終わってなんかもやもやした。

2016年1月5日火曜日

0105 松竹新喜劇 新春お年玉公演

「えくぼ」

久本雅美はもっと面白いかと思ってたので、拍子抜け。ブサイクだけど健気な女の役なのだが、楽しそうで悩みなんてなさそうなので、ちっとも可哀想でない。

「浪花の夢 宝の入船話」

面白かったけど、それは主役が上手いからではなさそう。脚本がいいのと、共演陣が磐石だから。石工の源三を扇治郎。前回よりはよくて、ちょっと間抜けな感じが勘九郎に似て見えた。けど、この人は別に阿呆ではないのでは?

曽我廼家文童の番頭が上手い。

0104 初春文楽公演 第1部

「新版 歌祭文」 睦大夫が長い段を語り切った。びっくり。 呂勢大夫のおみつが切ない。 「関取千両幟」 嶋大夫の引退興行で、冒頭、床に嶋大夫と寛治か並び、呂勢大夫が口上。一心に芸道に努めてきたこと、引退披露は功なし名をあげてのことで目出度いが、門弟としては大樹を失った小鳥のようとの言葉に涙が出そう。嶋大夫の目にも涙ががにじみ、手ぬぐいで抑えていた。 本編は、一言一言を大切に語る様子。声は力強く、まだまだ聴かせられるという気迫を感じる。猪名川の英大夫との掛け合いも良かったが、願わくば一人で一段語ってほしかった。 途中、三味線の曲弾きで寛太郎。面白いし、見応えあるけど、この演目に必要か疑問。身売りを決意したことを隠して猪名川を送り出したおとわ。その後の相撲場までの場面転換の繋ぎは必要だろうが、物語の余韻をぶった切るようで。 最後、床に嶋大夫だけが残り、長く頭を下げていたのが胸を打った。 「釣女」 お正月らしく賑々しく。 醜女は咲甫大夫。こういうコミカルな役柄がうまい。

0103 壽初春大歌舞伎 夜の部

「桂川連理柵」 藤十郎の長右衛門はじっと辛抱している風情がさすが。辛抱立役とはこれぞ。 壱太郎は2回目の長吉とお半。長吉を楽しそうに演じているのと、お半の可憐さが似合う。 扇雀の女房お絹はちょっと立派すぎて、いまいちかわいそうに見えない。 愛之助の儀兵衛と竹三郎の義母おとせの親子が長右衛門をいびり倒すのが憎らしくていい。 「研辰の討たれ」 愛之助の辰次は愛嬌が足りないか。町人あがりの卑俗な感じはよく出ているのだが、共感できないのは主人公として何かが足りないのではないか。 客席を右へ左へ逃げ回り、サービス精神を発揮。 「芝浜」 一言でいえば、落語のほうが面白い。会話のテンポがいまひとつ。中車の政五郎は江戸弁のちゃきちゃきした感じだがちょっとテンポが遅いのと、扇雀の女房おたつがあっさりしていて薄情に見えるせいか。直近に談春のこってりした話しを聞いたせいか、物足りなく感じた。

0103 壽初春大歌舞伎 昼の部

「鳴神」 愛之助の鳴神上人は4回目ともあって、板についてきた感がある。上人らしい大きさ、落ち着きが出てきた。 壱太郎の雲の絶間姫は美しいのはいいのだが、セリフがこもったような発声が聞き辛い。声は綺麗なのに。 「枕獅子」 扇雀が綺麗だった。 「らくだ」 愛之助はやたけたの熊五郎。ガラの悪いチンピラがハマる。紙屑屋久六の中車との掛け合いも楽しい。 中車は気弱な男が酒を飲んでだんだん人格が変わっていく様子が鮮やか。 寿治郎の家主幸兵衛と松之助の女房おさいのベテラン2人で舞台が締まる。 面白かったのはらくだの宇之助の亀鶴のうまさも大きい。のっけから死体で一言も発せないのに面白かった。

2016年1月4日月曜日

0102 米朝一門会

ざこばが「蜆売り」。なぜ初春から?

0102 新春天空狂言

「舞初式」
舞台奥に掛け軸を祀ってあり、舞の前後に二礼二拍手一礼するのが儀式らしい。
七五三、あきら、千三郎が並んでの踊り。後のトークで宗彦が「みんな習った人が違うのでバラバラ」と言っていた。確かにピッタリ揃ってはいなかったが、不思議と調和して見えた。洋舞と違って、日本のものは多少の揺らぎは許容するのか。
それぞれ、自分の息子の踊る段になると、ちらっと見ていたのが、家族らしくていいなあと。

「延命袋」
わわしい奥方と離縁したい男。単純に笑える。

「靭猿」
小猿が可愛い。途中、烏帽子がずれて顔が隠れてしまっていたのに、止まることなく演じ続けた。猿回しが実の父親というのは、いろいろ思いが交錯しそう。

立川談春独演会

「蝦蟇の油」
漫談からそのまま話に入っていて、気が付いたら終わってた。鮮やか。

「芝浜」
乱暴な政の話し方は、絶対イヤなタイプなのになぜか受け入れてしまえた。女房がぐちぐち言ってばかりなのが、かわいくていい。
ほろりとするところで笑いを入れてしまうのは、客に合わせてのことか。
1月の歌舞伎公演にふれ、「こっちのほうが面白い」と。

2016年1月3日日曜日

シカゴ

シャーロット・ケイト・フォックスのロキシーは、チャーミング。途中、大阪弁をはさんだり、サービス精神満点。 ヴェルマの湖月わたるは歌はうまいが、ヴェルマにしては綺麗すぎる。踊りは、ブロードウェイのダンサーに交じると見劣りする。

ピッコロ劇団「さらっていってよピーターパン」

ピーターパンが中年になってやる気がない。ウェンディはやる気満々で、姉さん女房のよう。 宙乗りもあるのだが、ダメダメな感じで。でも、結局、悪者をやっつけちゃうのね。 フック船長もちょっと疲れた感じで、オリジナルのピーターパンの裏バージョンのような。 歌がキャッチ―で、子供が楽しそう。滑って転んじゃう子がいたのもご愛敬。

死刑執行中脱獄進行中

森山未來のダンサーとしての身体能力の高さを改めて確認。 ほかのダンサーが身体を使って、場面や背景を演じ、不思議な空間を演出。よくわからないけど、そういうものを表現しているのだろう。 唯一の女優さん。動きが硬いと思ったら、ダンサーではないらしい。

あごうさとし新作公演「純粋言語を巡る物―-バベルの塔Ⅱ―」

劇場での公演を録画、録音したものを、別の劇場で再生するという実験的な試み。 場所によって音の聞こえ方が違ったりするのは面白いが、エンターテインメントとして面白いかというとちょっと疑問。

桂よね吉独演会

「中村仲蔵」 仲蔵が上方出身と翻案されていたのだが、違和感なく聞いてしまった。 女房がいい。こんないい女房は滅多にいないだろうが。

ほろり伝統芸能の会

泣ける伝統芸能ということで、講談と落語、三線バンド(?)のコラボ。 講談は旭堂小二三の「善悪二筋道」。きりっとした語り口が心地よい。 落語は桂佐ん吉の「火事場盗人」と桂ちょうばの「蜆売」。 ほろりということだが、ちょこちょこ笑いが挟まれるので、ほろりとする間がないのが残念。

劇団空晴「せんたくの日和」

誤解が誤解を生んで…という展開は面白いが、ありがちで少しくどいと感じた。 洗濯と選択をかけているのね。クリニックとクリーニングを聞き違えるかなあ。駅前に同じ名前のクリニックとクリーニングがあるって? 明るく、楽しそうな劇団の雰囲気はいい。