2015年5月10日日曜日

5月10日 明治座五月花形歌舞伎 昼の部

「矢の根」

右近の荒事は期待どおり。おおらかで安定感があって、さすが手馴れたものと思ったら、意外にも初役だそう。

「男の花道」

歌右衛門の猿之助は、人気女形という役どころが雪之丞とカブるが、私はこちらの方が好み。多分、歌右衛門のほうが歳上の設定なので、無理なく感じられるのだろうか。大仰な音楽が多用されないのも良かった。

1幕目の終わり、眼を治療してもらった歌右衛門が、中車演じる玄碩の手をとって感謝するシーン。本当はここで男の友情が芽生えたのだろうけど、男女が見つめあっているようにしか見えなくて、このまま恋が芽生えそう。

2幕目は、敵役の嘉右衛門演じる愛之助の憎らしいこと。悪役はうまいし、演じていて楽しそう。猿弥との掛け合いも息が合ってる。
中車の玄碩は、頑固なわりに浅はかというか、何年も会っていない歌右衛門を呼び出すにしては動機が薄いのでは。怒りのあまり我を忘れたようには見えず、公演中で舞台を抜けられないと指摘されてハッとするのも、白々しいというか、あまりにも間抜け。

劇中劇の「櫓のお七」は人形ぶりをたっぷり観せる。後見役の壱太郎のきりりとした表情が新鮮。客席に紛れ込んだ役者が見物として舞台上の歌右衛門とやりとりする趣向もたのしい。

クライマックス、玄碩の窮地を救うため、ギリギリで駆け込む歌右衛門。感動的な場面なのに、ゲラゲラ笑う客席はどういうこと⁉︎この日の客は、変なところで笑ったり、女の声でフライング気味に大向こうをかけて会場を凍りつかせたりで、興を削がれたのが残念。

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2015年4月30日木曜日

4月26日 中日劇場 夜の部

「新・八犬伝」

悪くはないはずなのだが、昼の部の派手派手しさと比べると見劣りしてしまうのは仕方ない。
特に、1幕が退屈。前回見たときはこれまでではなかったので、キャストのせいか。

梅丸は濱路のほか、大詰めの犬絵新兵衛でも登場。牛若丸のような拵えが凛々しい。

犬山道節の右近が出てくると、場が引き締まってほっとする。

4月26日 中日劇場 四月花形歌舞伎 昼の部

「操り三番叟」

門之助の翁と宗之助の千歳はおごそかな雰囲気だが、右近の三番叟と男女蔵の後見が登場すると華々しい、楽しい風情に。人形ぶりの様子はこれまで見たものと少し違っていたようだけど、これもまたすごい身体能力だと感嘆。


「雪乃丞変化」

大絶賛を聞いて観に行ってみたのだけれど、悪くはないのだが、大衆芸能のような演出が私には合わないみたい。猿之助の女形は好きだし、敵討の筋立ても、立ち回りもあって面白いのに、あの仰々しい音楽が流れると気持ちが醒めてしまう。

あて書きだけあって、役者それぞれが引き立っていて、軽業のお初の米吉が新しい境地を開拓?伝法な姉御を格好良く演じていて、スカッとする。むく犬の源次の萬太郎との掛け合いも楽しい。

雪乃丞の敵、土部三斎(男女蔵)の娘、浪路を演じた梅丸のかわいいこと。

剣術の同門でありながら、雪乃丞に敵対する門倉平馬の巳之助もいい味出している。

愛之助の菊之丞は劇中劇の「関の扉」もよかったし、雪乃丞の事情を知ったうえですべてを受け入れる度量の深さが格好いい。

話題の宙乗りは舞台下手から2階の上手側にむけて劇場を斜めに横切る変則的な形。1階席の後ろのほうだったので、後半が全く見えず、おいてけぼりな感じだったのも不満が残った。

4月 文楽公演 第2部

「絵本太閤記」 

夕顔棚の段を松香大夫と清友。尼崎の段の前を呂勢大夫と清治、後を千歳大夫と富助。

初菊のくどきなど、乙女の切ない心情を語らせたら呂勢大夫と決まってしまったのか。すごくいいのだけど、同じような語りが多いような。短くてもっと聞きたい気分。

千歳大夫は大きな立ち回りなど、派手なシーンがはまる。


「天網島時雨炬燵」

紙屋内の段の中を咲甫大夫と喜一郎、切を嶋大夫と錦糸、奥を英大夫と團七。

嶋大夫と錦糸のコンビがいい。登場時、お痩せになったかと思ったが、語り始めるといつもの力強さが胸に迫る。

和生のおさんは良かったが、治兵衛は…。辛抱立ち役で、じっと動かず耐える風情から男の色気が醸し出される役どころなのに、玉男にはあまり色気を感じられず。


「伊達娘恋緋鹿子」

火の見櫓の段のみで、派手な演出を楽しむ趣向か。

せっかくの見せ場、お七が火の見櫓に登る場面で、梯子がめくれて後ろが見えてしまっていたのが興ざめ。

4月4日 文楽公演 第1部

「靭猿」

咲甫大夫の猿曳、睦大夫の大名、太郎冠者は始大夫。ほか咲寿大夫、小住大夫。

襲名を祝って華やかに。お猿さんがかわいい。


「口上」

真ん中に新・玉男が座り、向かって左に嶋大夫、寛治、右に和生、勘十郎。後ろは一門の人形遣いがずらりと控える。なかなか壮観。

下手の千歳大夫が司会のような形で進み、嶋大夫、寛治が襲名をご披露。初日のせいか、ちょっと噛んだりもしていたけれど、歌舞伎とは違って淡々とした感じ。和生と勘十郎が同期の思い出などを語り、和やかな雰囲気。主役は一言も話さないというのが文楽風らしい。


「一谷嫩軍記」

玉男の襲名公演なのだが、妻相模の和生と藤の局の勘十郎のよさが勝っていた感じで、主役の熊谷がいまいち。

熊谷陣屋の段の切を咲大夫と燕三。後を文字久大夫と清介。

咲大夫の語りは聴き惚れてあっというまに過ぎてしまった感じだったのに、文字久大夫は聞いているのが辛くて、辛くて。声が聞き苦しくて、早く終われと何度も時計を見てしまった。


「卅三間堂棟由来」

中を芳穂大夫と清馗、奥を津駒大夫と寛治。

津駒大夫の語りが切ない。女房お柳を蓑助が遣い、情感たっぷり。

2015年3月9日月曜日

3月8日 三月大歌舞伎 夜の部

「車引」

愛之助の梅王丸、菊之助の桜丸、染五郎の松王丸、3人のバランスがよい。これまで観たものは、梅王丸、桜丸に比べて松王丸が一回り大きい悪役という感じがしたのだが、今回は3人の力が拮抗して、三つ子らしく見えた。愛之助、菊之助の美声が耳に心地よく、梅王丸の力漲る様も良かった。愛之助の荒事はうまい。


「賀の祝」

冒頭の梅王丸、松王丸夫婦の、笑いを含んだゴタゴタから、後半の悲劇へとがらりと変わり、物語りに引き込まれた。

梅王丸、松王丸のは子供のケンカのよう。孝太郎の千代、新吾の春との組み合わせも良かった。

後半、文楽では「桜丸切腹の場」というくらいだから、桜丸の見せ場かと思っていたが、むしろ八重と白太夫のほうがしどころが多いのかも。左團次はさすがの貫禄を見せてくれたが、梅枝も健闘。菊之助は清々しい桜丸で、切腹すら美しく見えた。


「寺子屋」

松緑の源蔵に壱太郎の戸波、染五郎の松王丸に孝太郎の千代。全体を通して、セリフは聞き取りやすく、話の筋もよくわかったのだけど、情が薄いというか。松緑の源蔵は、菅秀才の身代わりが見つかって良かったというばかりで、寺子を手にかける苦悩があまり感じられなかった。染五郎の松王丸も同じく、小太郎でかした、子供のおかげで主君への忠義がたったという気持ちばかりが先に見えて、我が子を先立たせる悲壮感が薄い。まあ、それはそれで一つの形なのかもしれないけど。

涎くりがふざけた罰に線香(?)を持って立たされたり、饅頭を盗み食いするなど、見慣れぬ場面も。

いろは送りで「待ってました」の大向こう。残念。



2015年3月8日日曜日

3月7日 三月大歌舞伎 昼の部

「菅原伝授手習鑑」の通し。

「加茂堤」

菊之助の桜丸に梅枝の八重夫婦が、若々しくてよろし。壱太郎の刈谷姫、萬太郎の斎世親王は更に若く、初々しい。壱太郎のかわいらしいお姫さまぶり。舞台の上が美形揃いで、華やか。斎世と姫が車のなかで何やらやっているとき、当てられた桜丸夫婦のじゃらじゃらぶりも楽しい。まあ、菊之助は男臭さがないので、あまり色っぽくはないのだけど。


「筆法伝授」

仁左衛門の菅丞相はもう、神々しいほど。座っているだけで存在感がすごい。
染五郎の源蔵に梅枝が戸波。染五郎は真面目そうな役がうまくハマる。筆法伝授が、芸の伝承とダブって見えた。

園生の前の魁春、落ち着いた風情の中にも源蔵夫婦への気遣いが感じられジーンときた。



「道明寺」

仁左衛門の菅丞相は期待通り素晴らしいのだが、秀太郎の覚寿がすごくよい。この役がこんなに物語るとは初めて知った。この場を引っ張っているのは菅丞相よりむしろ覚寿なのではないかしらんと、思うほど。

奴宅内の愛之助、褌一丁で笑いを取る。身体を張っての道化役。途中、家来衆に囲まれて背中を向いているとき、肩で息をしていたように見えたけど、そんなに息を切らすような動きだったっけ?

判官代輝国の菊之助、腿の上の方まで見える衣装だったので、ガッチリした太腿に驚いた。膝上までは普通なのに、腿のだけ競輪選手のよう。