「矢の根」
右近の荒事は期待どおり。おおらかで安定感があって、さすが手馴れたものと思ったら、意外にも初役だそう。
「男の花道」
歌右衛門の猿之助は、人気女形という役どころが雪之丞とカブるが、私はこちらの方が好み。多分、歌右衛門のほうが歳上の設定なので、無理なく感じられるのだろうか。大仰な音楽が多用されないのも良かった。
1幕目の終わり、眼を治療してもらった歌右衛門が、中車演じる玄碩の手をとって感謝するシーン。本当はここで男の友情が芽生えたのだろうけど、男女が見つめあっているようにしか見えなくて、このまま恋が芽生えそう。
2幕目は、敵役の嘉右衛門演じる愛之助の憎らしいこと。悪役はうまいし、演じていて楽しそう。猿弥との掛け合いも息が合ってる。
中車の玄碩は、頑固なわりに浅はかというか、何年も会っていない歌右衛門を呼び出すにしては動機が薄いのでは。怒りのあまり我を忘れたようには見えず、公演中で舞台を抜けられないと指摘されてハッとするのも、白々しいというか、あまりにも間抜け。
劇中劇の「櫓のお七」は人形ぶりをたっぷり観せる。後見役の壱太郎のきりりとした表情が新鮮。客席に紛れ込んだ役者が見物として舞台上の歌右衛門とやりとりする趣向もたのしい。
クライマックス、玄碩の窮地を救うため、ギリギリで駆け込む歌右衛門。感動的な場面なのに、ゲラゲラ笑う客席はどういうこと⁉︎この日の客は、変なところで笑ったり、女の声でフライング気味に大向こうをかけて会場を凍りつかせたりで、興を削がれたのが残念。
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