2015年3月9日月曜日

3月8日 三月大歌舞伎 夜の部

「車引」

愛之助の梅王丸、菊之助の桜丸、染五郎の松王丸、3人のバランスがよい。これまで観たものは、梅王丸、桜丸に比べて松王丸が一回り大きい悪役という感じがしたのだが、今回は3人の力が拮抗して、三つ子らしく見えた。愛之助、菊之助の美声が耳に心地よく、梅王丸の力漲る様も良かった。愛之助の荒事はうまい。


「賀の祝」

冒頭の梅王丸、松王丸夫婦の、笑いを含んだゴタゴタから、後半の悲劇へとがらりと変わり、物語りに引き込まれた。

梅王丸、松王丸のは子供のケンカのよう。孝太郎の千代、新吾の春との組み合わせも良かった。

後半、文楽では「桜丸切腹の場」というくらいだから、桜丸の見せ場かと思っていたが、むしろ八重と白太夫のほうがしどころが多いのかも。左團次はさすがの貫禄を見せてくれたが、梅枝も健闘。菊之助は清々しい桜丸で、切腹すら美しく見えた。


「寺子屋」

松緑の源蔵に壱太郎の戸波、染五郎の松王丸に孝太郎の千代。全体を通して、セリフは聞き取りやすく、話の筋もよくわかったのだけど、情が薄いというか。松緑の源蔵は、菅秀才の身代わりが見つかって良かったというばかりで、寺子を手にかける苦悩があまり感じられなかった。染五郎の松王丸も同じく、小太郎でかした、子供のおかげで主君への忠義がたったという気持ちばかりが先に見えて、我が子を先立たせる悲壮感が薄い。まあ、それはそれで一つの形なのかもしれないけど。

涎くりがふざけた罰に線香(?)を持って立たされたり、饅頭を盗み食いするなど、見慣れぬ場面も。

いろは送りで「待ってました」の大向こう。残念。



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