ミミ役のルザン・マンタシャンは繊細な感じで声が美しく、ムゼッタ役のイローナ・レヴォルスカヤの色気や力強さと好対照。ルドルフォの工藤和也、マルチェッロの池内響、コッリーネのスタニスラフ・ヴォロビョフ、ショナールの高橋洋介と男性陣の歌唱もすばらしく、音楽としてはとても素敵。…なのだが、改めてストーリーを考えると色々と共感できないというか。ミミとルドルフォの急展開のラブラブぶりにはびっくりだし、病に苦しむミミを支えられないから別れるとかって意味不明。ミミはミミで、一度は身を引いたものの、死にそうになってから最期に一目会いたいとか、訳がわからん。
「芸術の息吹」という名の4人のダンサーが時には暖炉の火になったり、蝋燭の火を吹き消す風になったり。全身黒のタイツに半身に白い染料を散らしたような衣装は黒衣のようでもあり、登場人物の感情を増幅するように舞台を彩る。マルチェッロを藤田嗣治風の出立にしたのは面白いけれど、余計なキャラクターづけになってしまったようにも感じた。
井上が幕のはじめやカーテンコールで客席に向かって指鉄砲のような仕草をするのでどうしたのかと思ったら、一部から執拗なブーイングがあったらしい。けれど、舞台上のおもちゃ商とふざけたり、楽しそうに振っていたのが印象的。カーテンコールでは森山とお辞儀し合ううちに土下座になってしまったり、カンパニーの雰囲気の良さが感じられた。
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