「平家女護島」
菊之助初役の俊寛は頑張っているのだろうけどやはり役に合ってない。疲れたメイクをしているが、身のこなしが元気そうで、外見と中身がチグハグな感じ。本当は37歳だから老けていなくてもいいのだけど、満足に食べてないからやつれてはいる訳で、素早く動いたり足腰が安定していたりするとあれ?と思う。登場からやたらと大向こうが掛かっていて、まるで応援しているようだった。最後におお〜いと言った後、何も言わずにじっと遠くを見つめていたのは、運命を受け入れて諦観しているよう悪くなかった。
吉太朗の千鳥は悪くないが期待していたほどでなく。素朴な仕草が作為的に見えてしまって、もっと健気な方が千鳥らしいと思う。俊寛らが船に乗り込んだあと、ひとり舞台に残ってのクドキは感無量で、控えめに拍手を送った。
「音菊曽我彩」
曽我ものの祝祭劇で、色彩美溢れる華やかな舞台。右近の一万、真腹の箱王は血気にはやる感じが少々オーバーぎみで鼻につく。巳之助の朝比奈が手堅く、左近の化粧坂少将が雛人形のように可憐。魁春の大磯の虎、橋之助の秦野四郎。菊五郎の工藤は板付きで座ったまま幕を巻き上げて登場。最後だけ立って決まった。
「権三と助十」
獅童の権三、松緑の助十。駕籠かきなのだがみな刺青を背負っていて、松緑が似合いすぎて怖い。権三女房おかんが時蔵。江戸っ子らしいチャキチャキしたおかみさんで、立板に水のセリフが心地いい。獅童との掛け合いも息があってよし。
大阪から訪ねてきた彦三郎に左近。大阪弁がぎこちなくてモゾモゾした。
0 件のコメント:
コメントを投稿