2024年6月15日土曜日

6月15日 六月大歌舞伎 昼の部


「上州土産百両首」

獅童の正太郎に菊之助の牙治郎。悪くはないのだが、1時間半は長く感じた。途中、主人公は牙治郎ではないかと思うところも。隼人の三次が今ひとつワルになりきれない感じ。 

堅気になった正太郎が板前として働く上州の店の娘を米吉。正太郎と婿にという話があってイチャイチャするところがあるのだが、明度が明るすぎる感じで、獅童となんか釣り合わない。

「時鳥花有里」

義経千本桜の短い舞踊で花を添える。又五郎の義経と染五郎の鷲尾三郎、この2人の組み合わせは珍しい。
白拍子に児太郎、米吉、左近が並ぶ。かれんな米吉、左近と並ぶと児太郎の体格の良さが目立つ。


「妹背山婦女庭訓」

新時蔵の襲名披露狂言で、三笠山御殿の場のみ。

七之助の橘姫がたおやかな姫の気品があり、おっとりと古風。求女を一途に恋して、邪念のかけらもない感じが素晴らしい。お三輪との絡みも観たかった。改め萬寿の求女は絵に描いたような貴公子で、言っていることはつくづく酷い。橘姫の好意を利用しながら、二世の夫婦とか甘言を並べたりして。

お三輪の時蔵は初めから終わりまで隙のない好演。花道から出てくるところは恋に一途な町娘で、いじめ官女に痛ぶられるのはただぢ哀れ。一旦は家に帰ろうとするも、官女たちの囃し立てる声に煽られて擬着の相に変じるところが凄まじい。単なる嫉妬を超越した凄まじさがあり、これが擬着というものがと思った。

豆腐買いおむらに仁左衛門。娘おひろの梅枝を連れて登場。劇中口上もあり、新時蔵を古風で華のある素敵な女方と紹介。大晴改めて梅枝は、芝居が大好きでいつも袖から見ていると。三代の襲名はめでたく、親戚として柄にもない役で花を添えたと照れた風。花道を引っ込むところで間違えて「播磨屋さん」と言いかけたのはご愛嬌。

いじめ官女は小川家総出で。隼人、歌昇、獅童、又五郎、歌六、錦之助、萬太郎、種之助がそれぞれ張り切っていじめる。獅童で一際笑いが起こって、歌昇も笑いを堪えてた。 

松緑の鱶七が大きく説得力があった。

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