2024年1月28日日曜日

1月28日 NIGHT KABUKIか

スクリーンに英語で歌舞伎を紹介するVTRが流れて、藤十郎やら吉右衛門やら、仁左衛門やら玉三郎やらの舞台映像。歌舞伎は東京の歌舞伎座と国立劇場で観られると言っていたが、国立劇場は休館中…と思ったら、随分前の制作だった。

解説は千寿。 英語での自己紹介の後は通訳を挟んで。女方の実例として當史弥が化粧から実演する様子を映像で紹介。外国人は笑っていたが、花魁姿が美しかった。
立ち回りは愛治郎が実演。希望者4人を舞台に上げて体験も。

「操り三番叟」
千次郎の三番叟に愛三郎の後見。
芸達者の千次郎だが、糸が緩んで腰を落とす動きがぎこちなく感じた。股関節が硬いのかな。
人形振りは外国人にも楽しめるという選択は良いと思う。

開演前には劇場前でスタッフが呼び込みをしていたり、外国人観光客を呼び込もうという取り組みはいいけど、この内容で6000円は高いと思った。 
千秋楽だからか、客席で祐次郎、りき弥、翫政を見かけた。



2024年1月25日木曜日

1月25日 若手素浄瑠璃の会

 「源平布引滝 九郎助住家の段」は亘・清公。

声の調子が悪いのか、太郎吉の声が掠れていて可愛くない。高音も苦しそう。畳み掛けるように語ってほしいところが少しモッタリするというか。瀬尾の憎々しさは役に合っていた。


「絵本太閤記 尼が崎の段」は小住・清丈。

落ち着いた語りだが、少し型にはまりすぎているかも。もっと爆発するところがあってもいいと思う。初菊の可憐さも足りない。清丈はメリハリの効いた演奏。

1月14日 新春浅草歌舞伎 昼の部

挨拶は橋之助。
次の演目で初っ端から出番なのでと携帯電話オフの注意と能登地震の義援金のお願いのみという、最小限のことだけ。だったら別の人にすれば良いのに。

「十種香」
橋之助の勝頼は2度目とあって落ち着いた様子。慎吾の濡衣が若さに似合わず、世知長けた感じが上手い。
米吉期待の八重垣姫は、容姿は可憐な赤姫で申し分ないが、所作はまだまだか。点を結んだようなぎこちなさが残り、義太夫に乗り切れていない感じ。セリフも気持ちと噛み合っていないようで、八重垣姫って難しいのだなとつくづく思う。ニンにはあっていると思うので、2回目、3回目を観たい。

歌昇の長尾謙信は、小柄な身体を補う押し出しの良さで、戦国武将の強かさを描出。種之助の白須賀六郎は良く似合う。

「世話情浮名横櫛」
隼人、米吉の切られ与三。
隼人の与三郎は坊ちゃんらしさがある一方、やさぐれ感は薄い。しっくりこないとは思ってしまうのは、昨年観た仁左衛門・玉三郎の切られ与三の印象が強いせいもある。隼人のニンには合っているので、こういう与三郎もあり?かと思う。セリフは所々、仁左衛門を彷彿とさせた。
米吉のお富は、八重垣姫よりハマった。吉原狐のときも思ったが、婀娜っぽい、粋な江戸の女が上手い。 
松也の蝙蝠安はなんかちょっと違う感じ。ならずものの凄みが足りないのか。
歌六の多左衛門が舞台を引き締める。

「どんつく」
巳之助がすっかり踊りの名手になっていて、感慨深い。莟玉も含め、出演者総出で華やかに。
歌昇が太神楽の玉入れを見事に披露。

2024年1月13日土曜日

1月13日 初春歌舞伎公演

「梶原平三誉石切」

菊之助初役の石切梶原。岳父吉右衛門の色が感じられる実直さがあり、清々しい。梅枝の梢が情に訴える。
梶原方の大名に並ぶ吉太郎が、一際キリリとして目立っていた。(隣の市村光がちょっととっぽい感じなので余計に) 六太夫と梢の芝居の間、すぐ後ろにいるので目につくのだけど、気を抜いてないのが立派(目を瞑っていたときはあったが)。よその一門の初春芝居でこんないい役を任されるなんて、大したものだ。

「蘆屋道満大内鑑 葛の葉」

梅枝が狐の葛の葉と本物の葛の葉の二役。早替わりもさらりとこなし、女房と姫の演じ分けも鮮やか。狐の正体を明かしてからは、獣みも滲ませる。
乱菊の衣装、ぶっ返ってから腰の辺りがモコモコしてたのが気になった。

「競獅子」

菊五郎劇団総出の賑やかな一幕。
丑之助、真秀、亀三郎、大晴の子どもら4人の中でひときわ小さい大晴の可愛いこと。後ろに下がるタイミングをしくじり1人だけ決まったままま舞台前に残っていたのも微笑ましい。

菊五郎は最後の最後に神輿のようなものに乗って登場し、数歩歩いたあとはすぐに腰掛けたり、杖を手にしていたりで、身体が心配。声はよく出ていたが。

吉太郎は萬太郎と同格の鳶役。最後、獅子舞の中に入っていたのは驚いた。逆立ちもしてたよね。 

1月12日 ナニワノヲト「主役以外にも注目してや。」

シテ以外の能役者による公演というのは珍しい。

舞囃子「三番叟 揉ノ段」は狂言方とお囃子のみ。小笠原弘晃は22歳の若さを遺憾なく発揮し、躍動感ある舞。力入りすぎなくらい。

一管「三番叟 鈴ノ段」は笛方の貞光智宣の独奏。笛だけを聴くというのは初めてで興味深く聞いた。  

演習「船弁慶」はワキ方福王知登の弁慶と狂言方野村万之丞の船頭。万之丞は元気よいというか、パワー出し過ぎ。船を漕ぐ仕草が過剰に感じた。 知登は淡々としていたので余計に。

「土蜘」は太鼓とワキ方による一調。福王知登の謡は聴きものだったが、一対一の緊張感は期待したほどではなかった。多分、太鼓の中田一葉が自分のことで精一杯という感じで、芸のやり取りをするに至らなかったのでは。

狂言「末広かり」は小笠原由祠・弘晃親子と万之丞。力演もちっとも笑えず、やはり和泉流は合わないのかと思う。


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2024年1月12日金曜日

1月12日 坂東玉三郎新春公演

1幕は口上と地唄舞「黒髪」。
道成寺の所作を見せながら、手拭いや扇使って女方らしく見せる工夫を解説。重力を使って手拭いを美しく振ったり、着物の裾を流して曲線を見せたり。 
今の世情では「女らしい」とは言い難いと「女方らしさ」と言っていた。ジェンダーバイアスは良くないけれど、芸術の表現まで制限されてしまうのは筋が違うと思う。

2幕は天守物語のワンシーンを映像を交えて実演するという趣向。玉三郎の富姫と亀姫の両方を観られるのは嬉しいけど、後半の富姫は映像というのがいただけない。
支度のため、松竹座の歴史や機構を紹介する映像を挟んで、地唄舞の「名残りの月」。
舞踊は美しいが、これで1等席1万円が取れるのは玉様だけだろう。



2024年1月10日水曜日

1月10日 能法劇団 42周年公演 雨の中、傘の下

二カ国語狂言「梟」

丸石やすしの兄、茂山千之丞の山伏、弟はスペシャルゲストでジョナ・サルズ。
バイリンガルは千之丞だけで、日本語の狂言のセリフとちゃんぽん。英語も狂言風の抑揚で話すので、一瞬英語と気づかなかった。兄と山伏のやり取りは、おうむ返しが多いので、英語が分からなくても大意は通じる。梟の病が伝染したところで会場の赤ちゃんが泣き出すハプニング。奇妙な動きが怖かったのか。 

詩「J.アルフレッド・プルフロックの恋歌」

全編英語の詩なので、よく分からず。ただでさえ詩だから脈絡がないのだし。
同化役の竹ち代毱也が猫(猿?)やらカニやら、ウエイターやら、様々な役をセリフなしで表現したり、3人の女のうち1人はダンサー、もう1人は日本舞踊家で、舞踊のようなシーンも。最後、青いカツラにビスチェのような衣装になるので何かと思ったら、人魚らしい。

新作「雨の中、傘の下」

9・11ののちに書かれた小説?が原作。崩れた摩天楼のなか、酸性雨が降り続く街を彷徨う赤い傘の女(松井彬)、傘売りの男(茂山あきら)、島民が行き交う。能楽師、狂言師、ダンサーらと、能菅、小鼓のお囃子とパーカッションが共演し、異文化がミックスされる感じ。
女と入れ替わりに現れる、ポスター貼りの男(千之丞)の独白で終わるのかと思いきや(お囃子も退場したし)、傘売りと諍いになり、さらにシテも再び登場。廃墟のビルから対岸(探している恋人?)無事を知らせるランプを灯し続けるのが哀れというか、物悲しいというか。余韻の残る舞台だった。

2024年1月7日日曜日

1月7日 初春文楽公演 第1部

 「七福神宝の入舩」

三輪の寿老人、津国の大黒天、咲寿の弁財天、小住の布袋、碩の福禄寿、聖の恵比寿、薫の毘沙門。三味線は勝平、清馗、清丈、寛太郎、錦吾、清允。

薫は上目遣いでどこを見ているのか。


「近頃河原の達引」

四条河原の段は睦の伝兵衛、靖の官左衛門、文字栄の勘蔵、南都の久八に団七。

睦は伝兵衛は高めの声で、ちょっと頼りない二枚目らしい。靖の官左衛門も役にあっている。

堀川猿回しの段は前半を錣・藤蔵に清方のツレ。後半は呂・清介に清公のツレ。

切語りに切り場を2つに分けて語らせるのはいかがなものか。呂は猿回しの歌では声がよく出ていた。

人形は勘十郎の与次郎に愛嬌がある。小猿は弟子だと言っていたが、体つきからすると勘介?

簑二郎のおしゅん、玉佳の伝兵衛はすっきりした二枚目。

2024年1月6日土曜日

1月6日 初春文楽公演 第3部

「平家女護島」

織・燕三。75分ほどを一人で語り切り、力の入った大熱演…なのだが。

初めの謡がかりからあれ?と思ったが、俊寛が男前だったり、千鳥が賢しげだったり、なんか違う感があって物語に入り込めなかった。

人形は玉男の俊寛、文哉の康頼、勘市の成経、玉助の瀬尾、玉也の丹左衛門。勘市が成経のような若い二枚目を遣うのは珍しく、玉助と玉也はいつもだったら逆の配役になりそう。一輔の千鳥が可憐。


「伊達娘恋緋鹿子」

八百屋内の段は藤・宗助。

珍しい段を珍しい組合せで。

火の見櫓の段は希、亘、碩、聖、織栄に清友、清志郎、友之助、燕二郎、藤之亮。

前段からの上演なので、お七だけでなくお杉や弥作、武兵衛らが出てきて剣を巡って立ち回り。


2024年1月4日木曜日

1月4日 大槻能楽堂

「翁 弓矢立合 三人之舞」

大槻能楽堂設立九十年記念で珍しい小書付き。  

弓矢立合は3人の翁が直面で相舞する珍しい型。
大槻文蔵、観世清和、観世銕之丞の人が並ぶと神々しい。観世の2人は 文蔵だけ少し腕の角度や動くタイミングが違うのは芸の近さなのか。

三人之舞は三番叟が3人。野村万作、萬斎、裕基の親子孫共演。万作は足をクロスするところで少しふらついていたものの、年齢を感じさせないキビキビとした動き。萬斎は高さのある跳躍。  

千歳は大槻裕一、面持は野村太一郎(面はつけないのに面持がいる不思議) 


「三本柱」

野村萬斎の果報者、野村太一郎の太郎冠者、中村修一の次郎冠者、内藤蓮の三郎冠者。


「望月」

観世銕之丞のシテ、ツレは観世淳夫、子方は福王登一郎、ワキは福王知登、アイは野村裕基。

シテが初めに登場して名乗るのはワキのよう。後シテの獅子の装束が「元禄忠臣蔵 御浜御殿」の綱豊卿。登一郎は舞台慣れしていないのか緊張した様子で声が小さい。



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2024年1月3日水曜日

1月3日 初春文楽公演 第2部

「伽羅先代萩」 

竹の間の段は芳穂・錦糸。
語りが落ち着いてきた。重厚感が出てきたというか。

御殿の段っは千歳・富助。
品位があっていいのだが、泣けるまではいかないのはなぜだろう。鶴喜代は悪くないが、千松があまり可愛くない気がする。

政岡忠義の段は呂勢・清治。
政岡の慟哭が泣かせる。

床下の段は小住・燕二郎。
病気救援の団吾に代わった燕二郎が大健闘。キッパリとした音が緊迫感のある場面を盛り上げる。小住の語りもいい。最後は勘解由の高笑いをしたまま盆が回って退場。 

人形は和生の政岡が磐石。玉志の八汐は背骨が傾いている感じで、仇としての風格が足りない気がする。 
床下のネズミは着ぐるみで、正体の勘解由よりも大きいのはいかに。

18日に再見。千歳は調子が悪いのか、御殿の段は呂勢・清治で聞きたかった。床下は亘・団吾。

2024年1月2日火曜日

1月2日 新国立劇場バレエ団「くるみ割り人形」

2024年の初観劇は池田理沙子・奥村康祐のくるみ。2階席から観たせいか1幕のリフトはやや重く感じたが、2幕のグランパドドゥの幸福感は期待通り。踊りや表情から嬉しい気持ちが溢れてて、観ている方も幸せな気分に浸れる。が、やはり1幕はちょっと退屈。お子様たちは頑張って可愛いけど、大人が楽しむには物足りない。
男性主役は甥、くるみ割り人形、王子と目まぐるしく早替わりするが、幕が降りてからカーテンコールまでの短時間で甥→王子になってたのでびっくり。

ドロッセルマイヤーは中家正博、進出鬼没な不思議なおじさん。 

蝶々の五月女遥が軽やかで目を惹かれた。

福田圭吾が老人とロシアの人形みたいな役だけというのは勿体無い。