2023年11月5日日曜日

11月5日 太陽劇団「金夢島」

日本へのオマージュに溢れた約3時間。ごった煮のような舞台で、いろいろ凄いのだか消化し切れない感じもする。幻想や誤解も色々あるし、 日本人役の俳優がベージュのマスクのようなのをしたのも違和感があり、遠目にはアジア人の平坦な顔のように見えるのだが、表情がなくスケキヨのマスクみたいで不気味。 能の謡や仕舞はよく稽古したのだなあという感じだが、摺り足ではなく、真似っこに留まるし、カタコトの日本語のセリフは拙い。歌舞伎の女方のように女装した俳優は、なぜか帯を胸の辺りで締めていて小梅太夫のよう。

日本だけでなく、アラブやブラジル、香港など、さまざまな国の役が入り乱れ、描かれる異文化にへえと思うところもあったり、唐突に挿入される神風特攻隊の件など盛りだくさんな内容なのだが、舞台転換が多く、打つ切れにされてしまう。車の付いた所作台のようなものを縦横無尽に動かして、時に能舞台のように、時に細長い道に、時に銭湯にと舞台転換するのだが、転換が多いので退屈に感じた。

政治風刺が多く、カジノ誘致派に環境のチェルノブイリと批判したり、香港の椅子、民主化運動が弾圧される様子などが織り込まれる。イスラエル人の妻とパレスチナ人の夫の劇団が常に言い争いをしていて、動きが遅いのを「中東和平より遅い」と批判するのは、作品が完成した2021年当時ならともかく、イスラエルによるパレスチナへの攻撃が深刻化している今の状況では笑えない。 

参加が危ぶまれていた人形劇団が、上演時間が長いと敬遠されるのは文楽が置かれている状況そのものだが、それに対する解はなかった。 あと、舞台の後ろの方に大きな炊飯器が置かれていたのだが、芝居に絡むことはなく何だったのだろう。

1970年代のアングラの雰囲気を色濃く残していて、すごいものを見たという感じはあるが、好きか嫌いかで言ったらあまり好きではないのかも。

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