2023年11月3日金曜日

11月3日 エイチエムピー・シアターカンパニー「ハムレット 例外と禁忌」

 前半は原作通りのハムレットだが、中盤から大幅に手が加えられている。一番の違いはガートルードで、森に住む種族だったが王妃に迎えられ、戦争で森が破壊されていくのに耐えられず先王を殺害。同じ血を引くハムレットと心を通わせるなど、母としての姿が色濃く、水谷有希が気品ある姿で母の苦悩や王という男に従わざるを得ない女の弱さややるせなさを好演。

高安美帆のハムレットは抑えめの演技。「生きるべきか」や「尼寺へ行け」も淡々としていた。ラストは死なず、けれど王子としての立場を捨て「私はハムレットだった」とハムレットマシーンのセリフに繋がる。

オフィーリアの阿部洋花はセリフがよく、前半の可憐さと後半の狂気の変わりよう、どちらも良かった。旅の一座の座長など複数役を務めた河上由佳が狂言まわしのような役どころで、印象的だった。斬円だったのはクローディアスの延命聡子で、宝塚の老け男役にありがちの役の大きさに体が合っていないような感じで、特に前半が辛かった。

正方形の舞台の後ろに壁があり、2階部分があるシンプルなセットで、時に映像で城壁など背景を写す。衣装は黒のシャツパンツorドレスに織り柄のスカーフを組み合わせ、役ごとにテーマカラーがある感じでキャラクターがわかりやすかった。

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