2023年11月4日土曜日

11月4日 木ノ下歌舞伎「勧進帳」

2015年も観たはずだが、より深く観られて印象が変わったように思う。弁慶と富樫が主役と思っていたが、番卒・四天王の4人が物語の進行を担う部分が大きいと気づいた。勧進帳の読み上げや山伏問答の緊迫感の高い駆け引きはもちろん弁慶と富樫の見せ場なのだが、義経と弁慶の間のボーダーを歌うラップや延年の舞?のダンスなど、彼らが活躍する場面が案外多い印象。

富樫役の坂口涼太郎に存在感がある。個性的なルックスが効いているだけでなく、摺り足での移動や弁慶に詰め寄るところなどで踊りのような動きを見せ身体表現の力も高い。楽しそうな弁慶一行を羨む富樫が、最後に舞台には取り残され、孤独や様々な感情が入り混じった表情が印象的だった。

ボーダーは関所だけでなく、主従の間にも。打擲を詫びる弁慶に顔を上げるよう促す義経の手を弁慶が掴むことはない。味方であるはずの義経と弁慶の間のボーダーとは?と考えた。

0 件のコメント: