舞囃子「鷺」
野村四郎はしばしば苦痛を耐えるような表情を浮かべ、足を上げるのがしんどそう。感情表現化とも思ったが、能楽ではあまり表情を作らないはず。体調が悪いのを押しての出演なのだろうか。今にも倒れそうでハラハラした。
「月見座頭」
山本東次郎のシテ、山本則俊のアド。東次郎の座頭は、年を経て枯れた感じ、秋の風情を豊かに描く。にしても、アドは何であんなことを…ひどい。最後の「くさめ、くさめ」で手打ちにしたというか、後を引かなず達観した感じになるのだが。
「道成寺」
古式の小書き。前シテの面が若い女、後シテの蛇体が赤頭で柱に絡みつく演出なのだそう。金剛龍謹のシテは声がいい。乱拍子は小鼓(幸正昭)との緊迫感のある駆け引きに息をするのを忘れるほど。鐘入りでは、鐘の真下に入ったところで跳躍し、鐘とともに落下するキレのよさ。後シテで衣を掻き合わせるように(風呂上りのバスタオルみたいに…)しているのに違和感があったが、柱に巻き付く際に脱ぎ捨てるためだったよう。
鐘は一気に降ろすのかと思っていたら、乱拍子のあたりからジリ、ジリと下げてくる。綱がきしむ音や鐘後見の動きにも緊迫感があふれる。
地謡の5人、後見、鐘後見は黒い布を垂らすタイプのマスクを着用。地謡の声はちゃんと聞こえたし、意外と違和感はなかった。
笛は杉市和に代わって杉信太朗。音色が明瞭できっぱりしてよろし。
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