2020年7月31日金曜日

7月29日 能楽公演2020~新型コロナウイルス終息祈願~ 5日目

舞囃子「鷺」
野村四郎はしばしば苦痛を耐えるような表情を浮かべ、足を上げるのがしんどそう。感情表現化とも思ったが、能楽ではあまり表情を作らないはず。体調が悪いのを押しての出演なのだろうか。今にも倒れそうでハラハラした。

「月見座頭」
山本東次郎のシテ、山本則俊のアド。東次郎の座頭は、年を経て枯れた感じ、秋の風情を豊かに描く。にしても、アドは何であんなことを…ひどい。最後の「くさめ、くさめ」で手打ちにしたというか、後を引かなず達観した感じになるのだが。

「道成寺」
古式の小書き。前シテの面が若い女、後シテの蛇体が赤頭で柱に絡みつく演出なのだそう。金剛龍謹のシテは声がいい。乱拍子は小鼓(幸正昭)との緊迫感のある駆け引きに息をするのを忘れるほど。鐘入りでは、鐘の真下に入ったところで跳躍し、鐘とともに落下するキレのよさ。後シテで衣を掻き合わせるように(風呂上りのバスタオルみたいに…)しているのに違和感があったが、柱に巻き付く際に脱ぎ捨てるためだったよう。
鐘は一気に降ろすのかと思っていたら、乱拍子のあたりからジリ、ジリと下げてくる。綱がきしむ音や鐘後見の動きにも緊迫感があふれる。
地謡の5人、後見、鐘後見は黒い布を垂らすタイプのマスクを着用。地謡の声はちゃんと聞こえたし、意外と違和感はなかった。
笛は杉市和に代わって杉信太朗。音色が明瞭できっぱりしてよろし。

7月27日 能楽公演2020~新型コロナウイルス終息祈願~ 3日目

舞囃子「初雪」
金春流の櫻間金記。小鼓の亀井俊一はやはり音がでていなかった。

「二人大名」
千五郎の大名の立派なこと。忠三郎は調子がいい。通りがかりの男に大蔵吉次郎。

「葵上」
古式の小書き。大槻文蔵のシテの素晴らしいこと。はじめの発声は心配になるほどのしわがれ声だったが、所作の美しさは比類ない。面をしていても視線が定まっているように感じられるるというのが今日の発見。六条御息所が葵上を打擲した後、橋掛かりへ引っ込む後ろ姿に滲む哀しさ。後シテの般若も哀しい。

2020年7月26日日曜日

7月25日 文菊のへや 第六夜

落語は「青菜」。隠居の泰然とした様子、植木屋のお調子者ぶり。上方で聞いたのとは違う噺のように聞こえた。柳蔭は江戸では直しというのね。

アフタートークは古典と新作について。文菊は明治や大正以降の、洋館とか自動車が出てくるような、たぶん洋服を着ているような人がでてくる世界観は語りづらいそうな。

2020年7月19日日曜日

7月12日 ART歌舞伎

後日、アーカイブで視聴。
凝った衣装や舞台美術、演奏で完成度の高い作品に仕上がっていた。が、歌舞伎というより新作舞踊という印象。出演者のうち2人(中村壱太郎、尾上右近)は歌舞伎役者だが、あとの2人(花柳源九郎、藤間涼太朗)は日本舞踊家だし。

「四神降臨」「五穀豊穣」「祈望祭事」 ミノムシのような衣装は五穀豊穣だったか。最後の「花のこゝろ」のみ、ストーリー性があって歌舞伎っぽいのかな。夫と子をなくした女(壱太郎)が物狂いになり、夫とよく似た男(右近)と出会うも、男は戦で命を落とす。女は白塗りに赤い輪のメーク。白っぽい衣装、ドライフラワーのヘアピースというアートっぽいいでたち。遠目にはキレイだけど、映像作品なのでアップになるとちょっと……。右近は長い髪を垂らし、黒系の衣装で、戦国武将ゲームのキャラクター風?

7月18日 浅草演芸ホール 夜の部

鯉斗の「紙入れ」の途中から。男前で人気が出そう。あだっぽいおかみさんだが、色気が安っぽいというかちょっとやり過ぎな感じも。 阿久鯉「浅妻船」 ねづっち 米多朗「浮世床」 談幸「町内の若い衆」。いい意味で力の抜けた高座。 伸&ステファニー。昭和感ただようマジック。 伯山「違袖の音吉」。張扇を連発することもなく、手堅い語り。立て板に水の口跡の良さには聞きほれる。生意気な少年音吉なのだが、なぜか可愛くない。妙に大人びているというか。(本来なら、大人びた口を利くのが可愛く見えるのだろうが。子どもの作り声が過ぎるのかしら) 中入りを挟んでニュースペーパー。小池百合子のモノマネコントだが、予定時間をオーバーしたらしく、高市早苗(!)の登場がちょっとだけだった。 鯉栄「任侠流山動物園」。講談バージョンもあったとは!鯉栄の語りはテンポがよくて気持ちがいい。陽の講談といった感じか。 夢丸「旅行日記」 東京ボーイズ 笑遊「無精床」 正二郎 トリは松鯉の「お岩誕生」。四谷怪談のお岩様の誕生の話しだが、いわくつきのお生まれだったとは。幽霊が出るところでは客席を暗くして、懐中電灯?で松鯉の顔だけを照らすべたな演出。最後、物語のいきさつを説明している途中で幕を下ろしてしまったのは、前座のしくじり。

2020年7月13日月曜日

7月12日 シアターコクーンライブ配信「プレイタイム」

戯曲は岸田國士の「恋愛恐怖病」だが、本編に入る前に劇場のバックヤードや稽古風景の映像が流れる。昇降するリフトと戯れるように身体を動かしながらセリフを発する森山未來。ウエーブヘアにヴィクトリア朝?のドレスをまとった黒木華が開演前のあいさつ。
本編は舞台の上部に渡されたリフトの上での男と女の会話。友達以上恋人未満の男と女の駆け引き。ラスト、立ち去る男に向かって「本当にもおしまいよ」と女が言ったあとでリフトが上がったのだが、その時の揺れのせいで嗚咽しているようにも見えた。
エピローグは、観劇後の客席のようなところで森山と北尾亘が感想を語り合う。劇中劇のような、劇中の男が友と話しているような。


2020年7月7日火曜日

7月6日 文菊のへや 第五夜

落語「たがや」。花火で季節ものだが、物騒な噺だなあ。逆漫画みたいだ。
四方山話によると、この話は地噺で、無観客でやるのは難しいのだそう。落語でチャンバラをするのは難しいとも。ところどころでくすぐりを入れたのはそのせいだろうか。

5回目を祝して、日本酒・肴とともにトーク。前回の「心眼」は最後に手を取るシーンが工夫だそう。

2020年7月6日月曜日

7月5日 観世会定期能

「放下僧」
シテ藤波重孝、ツレ坂井音雅、ワキ野口能弘、アイ山本則孝。
シテに「小次郎/兄」とあり、ツレに「牧野小次郎」とあるのだが、どっちが小次郎?上演時間が35分ほどだったので、省略されていたのだろうか。
地謡が4人なのはコロナ対策か。マスクはしていなかった。

「文立山」
山本泰太郎、山本則秀。ちょっと早口?あまり笑えず。

「半蔀」
シテの角寛次朗が休演で武田志房が代演。ワキ福王茂十郎、アイ山本則重。
茂十郎のワキなのに、前半の里女とのやり取りがばっさりカットされ、造り物がしつらえられた五条の場面に移行する。タイムテーブルには40分とあったが5分くらい短かった。
小鼓の亀井俊一は登場時からうなだれたような姿勢で、力なく、心配になるほど。鼓の音色もさえなかった。

「鉄輪」
片山九郎衛門のシテ、ワキ殿田謙吉、アイ山本則秀。
半蔀ほどではないものの、ところどころ省略された上演。
九郎衛門は衣をパッと脱ぐ仕草が侍のように見えた。

客席は前後左右を1席ずつ開けて。あまりガラガラという感じはなく、ゆったり見られていいかも。