「菅原伝授手習鑑」より加茂堤 筆法伝授 道明寺
十三世仁左衛門の追善で、当たり役の菅丞相を当代仁左衛門が。神々しいまでの気品がありながら、道明寺で庭の池を見やるところなどは色気も感じさせる。人形と本物の演じ分けも見事だか、やはり刈谷姫とも別れの涙に情が溢れる。
千之助が刈谷姫。線が細く、声もいいので、姫の拵えは似合う。が、女方の経験が少ないので所作はまだまだ。斉世親王の米吉がスッとした品がある。
桜丸の勘九郎、八重の孝太郎は良い夫婦ぶり。
園生の前の秀太郎、苦しいのか息をふうふう言っていたように見えた。
筆法伝授、希世の橘太郎はもう少し滑稽味があってもいいかも。梅玉の源蔵、時蔵の戸浪が手堅い。腰元勝野の莟玉が可憐。
道明寺は玉三郎の覚寿が思っていた以上によぼよぼしたお婆さんで、気丈に振る舞う様子に情がこもる。立田の前の孝太郎が刈谷姫の千之助を終始気遣う様子で、役と混然としていた。
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