2020年2月14日金曜日

0214 第十回システィーナ歌舞伎「NOBUNAGA」

織田信長が実は双子で、宣教師や吸血鬼が絡んで、のトンデモ展開に目が点。今井翼の復帰作なので、1幕ではフラメンコのソロ、2幕では歌唱と見せ場たっぷりはいいとして、愛之助=信長との絡みは少なめ。だからって、ラストで手を携えてポルトガルへってのはどうよ。
今井のフラメンコはカウントで踊ってる感じがした。歌は、決して下手ではないのにゾワッとした。過去の愛之助の歌でもゾワッとしたから、システィーナ歌舞伎の歌が苦手なのかも。
愛之助の信長は逆立った短髪で洋装。獅子のイメージか。声の調子だけで双子を演じ分けるので、いまいち分かりづらい。イザベラに籠絡されて吸血鬼になった三郎が放蕩にふけっているあいだ、四郎はどうしていたのかとか、急に現れた四朗に「信長を討て」と言われたら人格の不一致にもっと戸惑うのではとか、イザベラは四郎の存在を知らなかったの?とか、色々突っ込みどころはあった。クライマックスが、光秀が信長を討つ場面なので、座頭のはずの愛之助の存在感が今ひとつ。
事実上の主役では?という明智光秀は吉弥。老け役でない立役で、キリッとした役は珍しい。
見所は森蘭丸の壱太郎。誘惑しようとするイザベラ応じて駆け引きする色っぽさや、信長の前で家臣を嬲り殺しにするる残忍さなど、新境地ひ開いた感。二役でお市の方が浅井とともに攻め滅ぼされんとするところは、独白と舞で本領を発揮。
前半の信長軍の軍議の場面で、翫政の秀吉役は抜擢?と思ったが、出番はこの場面だけで残念。よく似合っていたのに。愛治郎、愛三郎らも家臣の一人として列席して、凛々しい姿を見せた。
システィーナではお約束になりつつある、歌劇出身者たちの踊りがなあ…。場つなぎで必要なのだろうけど、ピンクのヒラヒラのドレスが安っぽく、ドレスがの上に着物を羽織って踊るのも取ってつけたよう。比叡山焼討ちや本能寺の場面で、赤い旗や布をはためかせて炎を表現する演出は悪くなかったが、衣装がもっと抽象的だったらよかったのに。

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