2017年5月29日月曜日
0529 壱劇屋「新しい生活の提案」
妻との関係が冷え切った男が生活を変えようと市役所の生活課に相談し、人生が思わぬ方向に変化していく不条理コメディ?笑うせぇるすまんを思わせるような。ストーリーをダンスやマイムで進めていくところは、歌のないミュージカルのよう。おおむね面白かった、途中ちょっと冗長に感じるところもあった。
2017年5月28日日曜日
0528 「ダニーと紺碧の海」
客席の多くはスタンディングオベーションで感動していたようだが、私には陳腐な話に思えた。松岡昌宏演じるダニーの暴力的な怒鳴る男に嫌悪感を抱いてしまったせいもあるだろうが、脚本のせいなのか、役者のせいなのか、共感できなかった。土井ケイトは上手いのだが。生きづらさを抱えた男と女が出会って愛が生まれるってありふれてイージーすぎないか?たまたま出会った人が運命の人って、説得力がないし、刹那的な選択の先には不幸な結末しか見えない。この2人が上手くいって幸せになれるとは到底思えないのだ。一夜の夢で終わるほうがまだ納得できる。舞台装置は印象的。中央奥に水道の蛇口。冒頭は流れる水が金色に輝く。そのあと、流れたり止まったり。床の水たまりはいつの間にか現れて驚いた。海のイメージなのか。
虚空旅団「飛ぶ夢、アルベルト・キシュカについての短いお話」
深津篤史の戯曲は飛ぶ夢にまつわる不思議な世界はファンタジーというか童話のようにかわいらしい。夢が人型をしていて、貸しているのか売っているのか。夢を求めて訪れる人たちに対応する主は不眠症に悩む。土本ひろきが優柔不断そうな、けど力が抜けていい風情。キシュカを元妻と二役にしているのはどういう意図なのだろうか?全く別人に感じられた。キシュカのキャラクター造成がアニメの少年のようで、ちょっと間違うとイラっとさせそうなところ森川万里は上手い具合におさめてた。
2017年5月25日木曜日
0525 南河内万歳一座「守護神」
就職活動を題材に、経済問題を皮肉る。たれのない塩だけの焼き鳥屋や、こってりでもないラーメン屋、立ち食いではない蕎麦屋、家庭料理のような串カツなど、期待値を上げないでがっかりさせない料理屋。保険料が1日50円と低額な変わりに、保険金は最大300万円、不慮の死のみしか支払われない生命保険。デジャブのように繰り返される言葉遊びは面白いけれど、ちょっと飽きてしまったのは若手が多かったせいか。
2017年5月24日水曜日
0524 玉造小劇店「おもてなし」
みやなおこ演じるお兼が何しろ格好いい。船場ことばも耳に心地よく、粋とはこういうことかと。
最後、次男は先代の血をひいてないのに跡継ぎに収まった?お兼がすごくしたたかな女に見えた。
0523 桂吉弥独演会
やはりうまいと唸らされる半面、期待を上回ることはなく残念。「稲荷俥」ではマクラで米朝直伝という鳥に関する小話を披露。「くしゃみ講釈」はくしゃみをこらえる様子がやりすぎでないのがいい。新作の「とりたつ」は焼き鳥屋をめぐる話。スープを飲みながら働く女の愚痴をこぼす女性像に現実感が薄い。子どもを迎えに行く前に焼き鳥屋に立ち寄らないし、ましてスープ一杯だけ飲んでいく人なんているのか?オチかと思ったらまだ続く…という展開は工夫なのだろうけど、あまり成功しているとは思えなかった。
佐ん吉の「稽古屋」は踊りの所作や唄をたっぷり披露。前座の弥太郎は「転失気」。出だしを間違えたのはネタなのか天然なのか。
0523 劇団伽羅倶梨「明日☆りのべぇしょん」
うだつの上がらない男2人が田舎の温泉旅館に詐欺を仕掛ける。そのうちの1人が先代主人に瓜二つなのだが、ストーリーに絡まないのはなぜだろう。だったらそっくりな設定いらないのでは?いかにもなうまいはなしに簡単に騙されそうになる旅館の人たち、詐欺が判明してからも特に理由もなくあっさり許してしまうのが腑に落ちず、観劇後感が悪かった。某劇団のように登場人物が踊りながら顔見世するオープニングは無理をしているように感じてしまった。
2017年5月22日月曜日
5月22日 匿名劇壇「レモンキャンディ」
斜めに傾いた舞台で落下する飛行船の中の最後の7日間。乗り合わせた8人は実験なのか、恋愛バラエティなのか、治療なのか、それぞれいわくありげ。テンポのいい会話で疾走感のある展開だ。レイプとか裁判とか、極限状態に置かれた人たちの嫌な面を余さず移す。最後、7日間と思っていたのが実は、という衝撃のラストは意外性のある終わり方だけど、けむに巻かれたような気もしなくはない。勢いのある漫画を読んでいるような、密度の濃い90分だった。
2017年5月21日日曜日
0521 木下歌舞伎「東海道四谷怪談ー通し上演ー」
休憩含め6時間あまりの長丁場だが、密度の濃い芝居だった。お岩と伊右衛門夫婦の物語として知られるが、むしろ直助・お袖を軸にした物語として観た。お袖の土居志央梨が清廉で美しく、直助の箱田暁史はバイタリティあふれる男。与茂七の田中佑弥が背が高い男前で、三角関係の緊張感もよかった。3場でお袖を2人が刺殺し、直助が自害する場面の美しさといったら。一方、お岩・伊右衛門は歌舞伎に比べやや物足りない。伊右衛門が岩に惚れていながら、やむを得ず裏切らざるをえない立場に追い込まれていく様子、未練が残っている様は納得のいく人物造形だが、髪梳きは不気味さが抑えられていたようだった。お弓・お大の西田夏奈子が達者。小平役の森田真和は年齢も性別も不詳な不思議な雰囲気。按摩宅悦役だった島田曜蔵がケガで降板し夏目慎也が代役。やむを得ないがカンペを見ながらのセリフがテンポを乱していたのが残念。
5月20日 メルボルン・シティ・バレエ&上杉真由バレエスタジオ第1回共同公演
「Catalyst」
男女2組のコンテンポラリー。ノイズのような機械的な音楽に躍動感のある動きが面白い。
「逢魔が時」 何でだろうか、学生っぽく感じた。
「カルメン」 タイトルロールのカルメンをMCBのキャロライナ・ペイス、ドン・ホセをダイナン・ウッド。だが、ホセの婚約者、ミカエラを踊った益川結子の心情描写が豊かで、印象に残った。カルメンは男を翻弄するという魔性の女。何を考えているかわからないので、心情はあまり表現されないということなのだろう。エスカミリオに青木崇。登場で空気を変える存在感はさすが。
「逢魔が時」 何でだろうか、学生っぽく感じた。
「カルメン」 タイトルロールのカルメンをMCBのキャロライナ・ペイス、ドン・ホセをダイナン・ウッド。だが、ホセの婚約者、ミカエラを踊った益川結子の心情描写が豊かで、印象に残った。カルメンは男を翻弄するという魔性の女。何を考えているかわからないので、心情はあまり表現されないということなのだろう。エスカミリオに青木崇。登場で空気を変える存在感はさすが。
0520 劇団犯罪友の会「ラジオのように」
主要キャストが若手だったので、健闘はしていたが拙さが拭いきれず。中田彩葉、川本三吉がでると途端に芝居が締まる。焦点の定まらない筋立て、1970年代といいつつ、微妙に今の風俗や言葉が紛れ込んでいるのに違和感を覚えた。
2017年5月16日火曜日
0515 ミュージカル「王家の紋章」
あの世界をどうやって舞台化するのかと期待半分、不安半分だったが、合格点は超えているのでは。気恥ずかしくなるくらい少女漫画の世界だ。
ただ、舞台に浸ることはできなかった。メンフィスの浦井健治は鼻にかかったような歌声が好みではなく、キャロルの新妻聖子も上手いのだが歌い方が俗っぽい感じがする。アイシスの濱田めぐみ、イズミルの宮野真守、ライアンの伊礼彼方ら歌上手がそろっていたのは聞きごたえがあったが、それぞれのソロが作られているので物語としての連続性が薄くなったようにも感じた。シルヴェスター・リーヴァイの曲なのに、何一つ記憶に残らなかった。
ミタムンの愛加あゆが焼き殺された後、亡霊のような姿でたびたび登場していた理由がよくわからなかった。
少女漫画の舞台化ということでは、貫地谷しほり主演の「ガラスの仮面」に軍配。紫の薔薇の人をはじめキャラクターの再現度が高かったから。
2017年5月15日月曜日
5月14日 5月文楽公演 第2部
「加賀見山旧錦絵」
筑摩川の段
簾内で顔が見えないが亘・燕二郎。謡がかりの冒頭から意外によく語っていた。後半は三味線の独演状態で手数が多く、聴きごたえがあった。人形も黒衣姿なのだが、又助は玉志。水中にもぐっての大立ち回りに見ごたえあり。
又助住家の段
中は咲甫・清志郎、奥は呂勢・宗助。咲甫はのびのびとしたいい声なのだが、歌いすぎで義太夫節らしくないように感じた。チャりっぽい場面だからか。後半、又助と求馬の主従の無骨なやり取りは呂勢のニンではなさそうだが、渾身の語りで圧倒された。こんなに力いっぱいの呂勢を聞いたのは久しぶりな気がするが、満足度高し。
草履打の段
津駒、睦、希、咲寿、小住の掛け合いに寛治。寛治の三味線は力弱さが増しているようで気がかり。津駒の岩藤はいじわるっぷりが凄まじい。人形は岩藤の玉男がノリノリな様子で、尾上の和生との息もあってた。
廊下の段
咲甫・団七。岩藤が悪役というより婆さんぽい。
長局の段
千歳・富助。前半は抑え気味で、正直何度か意識を失いかけたが、お初の嘆きからのラストが凄まじい。三味線がバシバシ弾きまくるなか盆が回るのでぶつかりやしないかとハラハラした。中盤、芝居の話にかけて尾上の真意を探るところのお初の語りが可愛かったのが発見だった。人形はお初の勘十郎が大活躍なのだが、後半動きが大きくなるとがさつな感じがした。狐とか人外のものならいいのだけれど、それなりの身分の女なら動きにも品を保ってほしい。
奥庭の段
始、希、津国、亘に喜一郎。始の岩藤が立派で憎々しい。
0513 PDA「エクストラバガンザー豪華絢爛ー」
男性バレエダンサーが踊りたおした1時間20分。時にコミカルに、時に格好よく、色々なタイプの踊りが盛りだくさんで、あっという間に時が過ぎた。18人の群舞は手や脚の動きがシャープで残像が見えるほど。ゲストの宮原由紀夫はさすがの存在感で、同じ振りでもちょっと際立つ。カウントの取り方が微妙に速いのか、キレのある動きに惹きつけられた。
椅子取りゲームの罰ゲーム。指定されたクラシックのソロを踊るというもので、「パキータ」を踊った岡田兼宜が上手くて驚く。次に踊った末原雅広もジャンプにキレがあった。宮原が「バラが咲いた」の歌でお茶を濁したのは残念だったが、最後は青木崇が「ドンキホーテ」を踊って締めた。
カーテンコールでは皆息も絶え絶えの様子で、いかにハードな舞台だったかが察せられた。非常に満足感の高い時間だった。
2017年5月12日金曜日
0511 舞台「フェードル」
大竹しのぶが期待外れだった。熱演しているのだが、役ではなく「熱演している大竹しのぶ」に見えてしまった。後半、嫉妬にかられて狂乱するところで客席に笑いがあったのも残念。端で見ると滑稽なくらいの苦悩という表現だったら笑いがあってもいいのかもしれないけれど、そういう演出ではなさそう。
イッポリットの平岳大、エノーヌのキムラ緑子らは期待に違わぬ好演。アリシ―の門脇麦は上ずったような声と滑舌の悪さが残念だったが、平とのラブシーンには引き込まれた。
テゼの今井清隆、声がよく目が覚めるよう。ミュージカル俳優だというので納得。
0508 宝塚雪組新人公演「幕末太陽傳」
佐平次は永久輝せあ。難しい役どころだが本役の早霧せいなをよくなぞって健闘していた。歌は本役よりうまいし。おそめの野々花ひまりは初ヒロイン?手慣れないのは仕方ないにしても、若手のはずなのに妙に老けて見えたのはなぜだろう。全体的には、間やテンポが今一つ。
2017年5月6日土曜日
0505 お豆腐の和らい
「棒縛」
千作の主人、七五三の次郎冠者、あきらの太郎冠者という、今となっては滅多に見られない顔合わせ。熟練の芸がえもいわれぬ味になって、爆笑というよりはクツクツと笑いが止まらないような感じ。次郎冠者が可笑しく、とぼけた返事の間がたまらない。棒に縛られたところでは、思わず「危ないじゃないか」と本音が漏れたり。酒を盗み飲んだと主人に攻められた次郎冠者が逆ギレして主人を追いかけて幕内へ。しみじみと可笑しい一幕だった。
「六地蔵」
こちらもシニアが大活躍で、三笑会の3人がすっぱ役で舞台を右へ左へ駆け回る。地蔵のポーズがふざけていて笑いを誘った。
「御田」
五穀豊穰を祈る、神聖な狂言かと思ったら、早乙女に向かって器量が悪いとか汚れているとか言ってけっこう酷い。千五郎は三番叟を思わせるような、飛んだり跳ねたりの動きが派手。熱演しすぎたか、後半は声が掠れてた。
2017年5月5日金曜日
0503 京山小圓嬢芸道七十周年記念 小圓嬢・まどか親子会
掛け合いの「一本刀土俵入り」のみ聞いた。小圓嬢は調子が今一つだったようで、声のハリがなかったが、味のある語りぶり。まどかは美声を聞かせ、隣の小圓嬢から「うまい!」などと言われて照れ笑いする一幕も。客席もいっぱいで、祝賀ムードにあふれるいい舞台だった。
0503 五月花形歌舞伎 夜の部
「野崎村」
後半だけ見たのだが、髪を下ろしたお光が可愛くないのが残念だ。髪型のせいか。
歌昇の久松に児太郎のお染。この2人のせいではないが、久松とお染にはちっとも共感できないなあ。
久作の弥十郎とお常の竹三郎が出ると舞台が締まる。
「怪談乳房榎」
勘九郎が菱川重信、正助、三次の3役を早変わりで魅せる。速さはもちろん、いろんな手法を使って飽きさせない。七之助の妻お関は美しい。色悪という浪江の猿之助は色男というより悪そう。
0503 五月花形歌舞伎 昼の部
「戻駕色相肩」
勘九郎の声や口調が亡き勘三郎に似ていてハッとする。年々似てきているような。
「金幣猿島郡」
道成寺をベースに源平の争いを絡めたスペクタクル。猿之助の清姫ははなっから可憐さがなくて、我が強そう。恋に狂って変貌するまでもなく、元からの気質のように見える。清姫と忠文とが表裏となり、物語が広がる。七織姫の七之助、安珍実は頼光の勘九郎と息の合った芝居が楽しい。
2017年5月1日月曜日
0430 フィンランド国立バレエ
第1部 北欧バレエ・ガラ
「白鳥の湖」より、スペイン、ハンガリー、ロシアの踊りとオディールと王子のパドドゥ。
たいして期待はしていなかったのを見事に裏切られた。いい意味で。ダンサーのレベルは高いし、何より振り付けがモダンでしゃれてる。衣装も素敵だ。北欧だけあってダンサーは総じて長身。そのせいか、ジャンプや回転はちょっと物足りないところもあり、トリプルが欲しいところがダブルで、しかも回転不足ぎみだったり。オディールのハ・ウンジはパリっとした踊り。王子のホールドでくるっと回ってからの顔の切り方がシャープだ。
「トゥオネラの白鳥」はコンテンポラリー。細くて長身の男女のダンサーのリフトがアクロバティックで、男性の頭上に乗ったり、女性の片足をもって逆T字型に吊るしたり。
「シェヘラザード」はあまり印象に残らなかった。
「悲愴」オバQのようなメーク+全身白塗りに長いチュチュを履いた男性ダンサーが時にコミカルに踊る。生足がのぞくのでもしやパンツを履いてないのではとハラハラしたのは内緒だ。
「ドン・キホーテ」よりファンタンゴ、グランパドドゥ。
バジルのミハル・クルチェマーシュは長身で見栄えがするが、ジャンプや回転は少し物足りない。キトリのアリーナ・マーシュ、最期のフェッテで中盤ぐらつき、最後はちょっと早めに切り上げてた。惜しい。
第2部 「たのしいムーミン一家~ムーミンと魔法使いの帽子~」
際モノかと思いきや、意外にちゃんとバレエだった。まあ、ムーミン一家の動きは着ぐるみの割には優雅で、つま先立ちになったり、アラベスクをしたりしていたのが可愛い。短い脚でちょこちょこ動くのに「かわいい」と歓声が。それに比べて妙に手が長いのだが。はじめ、ムーミンとパパの見分けがつかず、ムーミンママがなぜかベッドの中でもエプロンをしていたり、家の中でハンドバッグを持っているのはご愛敬?ミイがちょこまかと沢山動いて、狂言回しのような役どころ。スナフキンはとても長身でなんだか違う。コールドの花の精や雪の精、ルビーの精が衣装、振りともに素敵で、バレエらしさを出していた。
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