2016年12月2日金曜日
1201 吉例顔見世興行
南座が閉鎖中で先斗町歌舞練場での上演。こじんまりとした劇場は古い小劇場にも似て舞台と客席が近くてお得感がある。ただ、第1部は花街の総見があって華やかだったが、一般の客席は普段着の人が多く、いつもの顔見世のような華やいだ雰囲気はなかったような。
第一部
「実盛物語」
愛之助の実盛は仁左衛門に習ったせいか、セリフ回しが仁左衛門っぽい。が、まだ板についていない感じもする。子役が上手かったので、こちらのほうが印象的だった。
亀鶴の瀬尾は年齢に合わない老け役で、最初誰だか分らなかったほど。葵御前の吉弥は品格があって美しく、九郎助の松之助もよく似合っていた。小万の友右衛門がごつくてちょっとしんどかった。
「道行旅路の嫁入」
襲名の雀右衛門の小浪と藤十郎の戸無瀬、奴可内で鴈治郎がつきあう顔合わせ。藤十郎と並ぶ雀右衛門の可憐なこと。芝居の終わりに襲名披露の口上があり、藤十郎が披露。
第二部
「車引」
鴈治郎の梅王丸に孝太郎の桜丸、愛之助が松王丸という配役。松王の衣装が外衣が卵色で、中が水色だったり、今まで見た車引とはいろいろと違うところが。
「吉田屋」
仁左衛門の伊左衛門は鉄板だと思っていたのに、期待値が高すぎたせいか精彩を欠いたような。匂うような色香が薄く、陶酔できなかった。夕霧の雀右衛門は美しかったのに。
喜左衛門の彌十郎、おきさの秀太郎は期待通り。
勘当が解けて夕霧の身請けが決まるラストで襲名の口上が。仁左衛門の披露に続き、秀太郎、彌十郎も一言。
「三升曲輪傘売」
石川五右衛門が花街で傘売りをしているという設定の舞踊で、15分ほどの短い出し物。海老蔵がいろいろなところから傘を出して広げるのが手品のようで目に面白い。期待していなかったのに存外楽しめた。
第三部
「引窓」
厳しい条件下で開催された今回の顔見世で一番見応えのある芝居だった。
十次兵衛の仁左衛門が格好いい。が、この芝居の主役は濡髪かも。彌十郎の大柄な体格が相撲取りによく似合う。吉弥は母お幸で、第一部とはまったく異なる老女形も上手い。
「京鹿子娘道成寺」
舞台装置にはいろいろ不自由があったろうに、雀右衛門が奮闘した一幕。最後、海老蔵が大館左馬五郎で登場して花を添えた。
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