2008年7月28日月曜日

7月27日歌舞伎座夜の部

「夜叉ヶ池」

春猿がきれいなのは想像していたのだが、笑三郎の白雪姫が美しかった。「油地獄」がよかったせいか、どちらかというとこの人は庶民的な役のほうが似合うと思っていたのだが、なかなかどうして。すっぽんから出てきた瞬間、一途な姫の気高いまでの美しさから目が離せなくなりました。

でもよく分からないのは、どうして百合と晃は白髪の鬘を被っているのか。俗世を捨ててるってこと?


「高野聖」

玉三郎は脱いでもすごいってことか?水浴びをする僧のところに服を脱いで寄り添うところとか、暴れる馬に胸を見せる(!)ところとか、やたら見せ場があってドギマギしました。

一方の海老蔵、あれでいいのか!?悟りを開いたというより、頭が足りなくて分かってないだけみたいに見えたぞ。最後の歌六の長ゼリフがどうしても頭に入らなかったのは、聞き手であるはずの海老蔵が上の空でリアクションに乏しいからだ。

2008年7月22日火曜日

七月大歌舞伎 昼の部

「春調娘七種」


「木村長門守」

男ばっかりの舞台。


「伽羅先代萩」

仁左衛門の悪役もいいね。

七月大歌舞伎 夜の部

「熊谷陣屋」

仁左衛門の熊谷が見たくて再び大阪へ。

陣屋に戻るときのえもいわれぬ表情とか、ぐっと来る。
秀太郎の相模と息子の頭を挟んで情を交わす様子とか、さすが兄弟なのか息のぴたりと合ったところがなんとも。…にしても、主君のために息子を手にかけるなんて、戦国武将って理不尽だよなあ。でもその理不尽を感動に変えてしまうのが芸なのだ。


「黒手組輪達引」

助六のパロディということなのだが、物足りない感じが残ったのは、花道の出がなかったからか。
揚巻も見せ場が少ないし。…というか魁春って幸薄そうであんまり好きくないなあ。

菊之助はやっぱり綺麗。

「羽衣」

以前、玉三郎×愛之助で観たのとはずいぶん違う感じ。玉三郎のは能仕立てだったからねえ。
菊之助の踊りはため息ものでした。

「団子売」

孝太郎がなんだかとってもうれしそうで、いい感じ。こういうコミカルなお役だとかわいらしく見える。
愛之助はちょっと固さが残る感じもあったけど、まあ、息のあった様子でよかったのではないでしょうか。

2008年4月20日日曜日

4月20日 歌舞伎座昼の部

「将軍江戸を去る」

退屈。両隣に座っていた人が寝てしまっていたのも納得。(私も時々意識がぶっ飛んだorz)

セリフで聞かせる芝居だと思うのだけど、早口のせいか何を言ってるのか良く分からない。尊王と勤皇の違いって???慶喜に進言しようと廊下でいろいろわめいている山岡鉄太郎(橋之助)のシルエットが斜めになってて不自然。


「勧進帳」

仁左衛門の弁慶が見たくて、がんばってチケット取った甲斐があった。花道横という良い席だったので六法もよく見えて満足。

仁左衛門の芝居はセリフに身があるというか、心情が伝わってくる。富樫に偽の勧進帳を覗き込まれそうになるところとか、ばれそうになって力ずくで押し切ろうとする4人衆を押しとどめるところ、義経を打ち据えなくてはならなくなった苦悩とか、こういう話だったのね、と初めて合点がいったところも多くあった。

最後の六法といい、気迫がみなぎっていて、観終わったあとも余韻に浸っていたような。素晴しかった。


「浮かれ心中」

勘三郎の得意芸。…だけど、勧進帳の余韻が台無し。

ところどころアドリブらしき受け狙いの場面とか、安っぽいやりすぎ感が…

時蔵のおすずが良かった。七之助の花魁もなかなか。

堅物の役人役をやった弥十郎の最後のセリフ、「あっ、笑った」は間の取り方など良くて、一番印象的だった。

2008年4月13日日曜日

4月13日 トゥーランドット

宮本亜門の舞台は初めてだったのだけど、う~ん。。。

ストーリーが細切れで入り込みにくい。一つ一つのエピソードとか、人物描写とか、次につながらない感じがした。一番納得いかないのは、トゥーランドットを置いてカラフが去ってしまうところ。愛してるなら、一番大変なときにそばにいて支えてあげるのでは?一緒にはいられない、とか言ってどこかに行ってしまったくせに、5年後に、トゥーランドットが国の建て直しをやり遂げてから戻ってくるってどういうこと?都合のいい男にしか見えないよ。

ワン将軍の思いに気づいていたというトゥーランドットだけど、答える気はなかったのか?訳わかんない。

トゥーランドット役のアーメイは歌はいいのだが、セリフの日本語がヘン。外国人を起用することで女王の神秘性とか出したかったのだろうけど、セリフの威厳はなくなったのが惜しい。

歌は主演の二人はまずまずだけど、獅童はどうよ。ソロが結構あるのでキツかった。

なっちはまあ好演したと思うけど、ちょっとでしゃばりすぎ?役柄の重要度に比べて目立ちすぎな気が。ミンが死ぬときの「生まれ変わったら宦官なんかになっちゃだめ」っていうセリフはどうよ。あと、「一つしかない命。生きているだけで意味がある」っていうのは、こういう壮大なストーリーの中ではあまりにも薄っぺらいのでは。

宦官ミン役の早乙女太一は美しかった。鞭で打たれるところとか、色気があっていい。声も最初はちょっとつぶれてるようだったけど、後半艶が出てきていい感じだった。背がすらっと高くて、見栄えがするね。身のこなしも美しい。ただ、女形としてはこの身長はどうかな、とも思った。(いらんお世話だけど)

最後のシーン、旗を持って民衆が集まってくるところは華やかで見ごたえがあった。でも良かったのはそのくらい?感動の残らない舞台でした。

4月12日 歌舞伎座・昼の部

3月にも昼夜観ているのだが2月には文楽も観たのだが…、すでに記憶がorz

せめて記憶の新しいうちに。

「本朝廿四孝」

 時蔵の八重垣姫はやはり良い!似顔絵だけであれだけ思い込めるというのもすごいが、そっくりな箕作に思いを告げてしまう大胆さもまたありえない設定だと思うのだが、この人が演じると「いじらしいお姫様」に見えてしまう。
 秀太郎の濡衣はしっとりと魅せる。声が枯れがちだったのが難点か。
 橋之助の勝頼はちょっとなよっとして見えた。愛之助のほうが私は好きかな(いや、贔屓目でなく)

「熊野」

 能を元にしたという舞踊劇。玉三郎、仁左衛門という当世随一の美男美女カップルが美しい。まあ、能の踊りはおとなし過ぎて今ひとつ楽しめないのだけど。
 舞台を転換するときに、花道で踊るのは演出上はいいのだろうけど、観るほうからすると観づらい。せっかく最前列真ん中といういい席だったのに…。

「刺青奇偶」

 勘三郎熱演。歌舞伎というより時代劇っぽいかな。
 玉三郎のお仲がいじらしい。蓮っ葉な感じも、病に伏せて夫を思いやる気持ちも、ぐっと訴えてくる。…のに、勘三郎の半太郎はどうにもねえ。死に行くお仲を安心させてやりたいから金がほしいって、そんなことよりばくちをやめるほうが先だろう!と突っ込みを入れたくなる。熱演があんまりくどいので、途中意識がぶっ飛んだorz

 仁左衛門の鮫の政五郎はカッコいいの一言。いやあ、粋なおひとです。

2008年1月24日木曜日

1月8日 新春浅草歌舞伎 昼の部

「傾城反魂香」

これで3度目(!)のども又。

勘太郎の又兵はくどい、というか、何か小児麻痺のよう?しゃべれないというより、身のこなしそのものに不自由してるようで、やりすぎ感が鼻に付く。なんだか、修理之助よりも年下に見えてしまうのだ。

亀次郎のおとくは、ちょっと冷たい感じか。

愛之助が雅楽之助。こういう役ははまり役?よくやってるよね。

「弁天小僧」

七之助の弁天小僧。観るのは2回目だけど、今回力入り過ぎ?「知らざあ言って…」のところとか、セリフに力が入りすぎて、青筋立ってるみたい。(後日、テレビで見たら、勢いあまって唾を飛ばしまくってた)もそっと粋にできたらなあ。

南郷が獅童、愛之助の日本駄右衛門も2回目で悪くない。弁天小僧って、やっぱり、歌舞伎らしくていいな。

1月2日・4日 新春浅草歌舞伎 夜の部

思いがけず、初日のチケットが取れて行ってしまった浅草。2日、4日ともお年玉は愛之助でちょっとうれしい。

「金閣寺」

亀治郎の雪姫。見せ場の桜の花でねずみを描くところ、ちょっと桜が降りすぎなんでないのというくらい大量の桜吹雪で、まぶたについた花びらが邪魔そうだった。

獅童の松永大膳は、見栄えは十分。台詞回しは…てところ?

勘太郎の此下東吉が、井戸に落ちた碁笥を取るところ。最初に見たときは背景が滝と分からず(苦笑)きょとんとしてしまった…。

「与話情浮名横櫛」

愛之助の与三郎。江戸弁にも違和感を感じることなく、いい出来。2日は、お富との出会いのシーンで羽織を落とすところも上手くいってたし(4日はなかなか落ちず、脱いでるようだったけど)。ただ、前半の若旦さんも、後半のやくざ者も、いまいち役者じゃないというか、似合わないような気がしてしまった。
観てるとどうしても、仁左衛門の影がちらついてしまって。決して悪い出来ではないと思うのだけど。もう何回かやったら、板についてくるのかな。

七之助のお富。いい女かどうかは別にして、玉三郎仕込みという感じ。仁左衛門・玉三郎で是非とも観てみたい!と思ってしまった。

亀鶴の蝙蝠安。この人は、こういう気風のいい役が似合うね。

1月20日 歌舞伎座 夜の部

「鶴寿千歳」

松・歌昇、梅・錦之助、梅・孝太郎に加え、芝翫・富十郎の華やか(?)な舞踊。
うーん…あんまりよさがわかんなかった。正直。

「連獅子」

高麗屋親子の連獅子。
そういえばちゃんと連獅子を見るのは初めてだったのだけど、まあこんなもんか。
後半、幸四郎(すげー。一発変換した)が息切れしているようにも見えた。

「助六」

今回はこれがお目当て。海老蔵よりはいいかと…

団十郎の助六はさすがの存在感。花道から出てきて、番傘をばばっと広げるところとか、見栄えがする。
福助の揚巻も悪くない。声はまあ…。ところどころつぶれるような感じだけど、それはそれで。

思いがけず、花魁役で芝のぶが!相変わらず、かわいらしくて声が美しい。

通人の東蔵、「どんだけ~」「そんなの関係ねー」など、やりすぎずいい感じだった。

1月22日 国立劇場「小町村芝居正月」

1月は歌舞伎月間(苦笑)。これで6本目だ。

更新をサボっていたのでまとめて…

正月恒例の菊五郎劇場。

話の筋は分かりにくかったが、ところどころ見所が満載。

松緑が「暫」をやったりと、歌舞伎の見せ場を随所に織り込んだ演出は正月公演らしく華やかでいいね。1幕の終わりと大詰めの終わりで、勢ぞろいのところとか。

菊之助、若侍姿はいまいちなのだけど、娘姿は相変わらず綺麗。
小女郎狐になって、雪の降りしきるなかの立ち回りは溜息のでるような美しさ。

話の筋はとにかく分かりにくい。1幕の最後で唐突に勢ぞろいしちゃったり、誰がどうなってるのかも分からない状態で勢ぞろいって必要?

こちらでも誰かが「そんなの関係ねー」をやってたけど、使い方は歌舞伎座の東蔵のほうが上手かった。