藤蔵の自主公演。文楽に縁のある御霊神社という、場所も素敵。
冒頭に藤蔵と呂勢大夫の対談、藤蔵のオリジナル三味線曲ののち、浄瑠璃「傾城阿波鳴門」というプログラム。
対談では、しゃべりが苦手という藤蔵をフォローするかのように呂勢大夫がしゃべくり倒す。こんなにおしゃべりな人だったとは。昔の太夫の話で、裃の着付けをする時にタイミングが合わないと怒られたり、背が低いので肩衣をかける時に首にあたってしまい、「無礼者!素麺の糸で首くくれ」と言われたり。むかしも、今でいうところの住大夫のような、恐いお師匠さんがいて、舞台にあがるときに楽屋のそばを通らなければならないので、関所のようだったとか。
藤蔵が40年の1月、呂勢大夫が12月生まれで歳が近いので、よく一緒にやっているが、初対面のときはお互い恐いヤツだと思っていた。藤蔵は元ヤンの噂があって、目付きが悪かった。呂勢大夫は太夫のくせに三味線抱えて三白眼で睨んでいたとか。
「傾城阿波鳴門」は大阪では暫くかかっていないが、演るならこの段のみ。最後までやるとがっかりするのだとか。淡路島でよく演るので、あちらの話と思われているが、大阪、玉造の話とも。
オリジナル曲は、震災にあった東北のために作ったのだとか。津波の様子などを表現しているそうで、緩急のある曲に聴きごたえがあった。三味線てこんなに表現の巾があったのね、と改めて思ったり。
浄瑠璃は流石、聞かせる。娘お鶴の健気さ、娘と分かっていても名乗ることのできないお弓の悲哀。短い時間だったけど、堪能しました。
2014年7月24日木曜日
6月29日 松竹大歌舞伎 中央コース(@岸和田)
猿之助(いまだにうっかり、亀治郎と書きそうになった…)、中車の襲名披露。
「太閤三番叟」
太閤秀吉を右近、淀の方を笑三郎、北政所を笑也と澤瀉屋一門の華やかな舞踊。
三番叟の翁を秀吉が勤めるという趣向で、太閤らしい、赤い衣装で登場。最後に立ち回りがあったりと、いつもの三番叟とはちょっと違って面白い。
「口上」
秀太郎が真ん中で仕切り役。芝居に出ないで口上だけに付き合うということもあるのね。
最年長の寿猿さんの話が何かツボにはまったらしく、笑いをこらえる舞台上の皆々。時間が押していたのか、澤瀉屋の人達の口上はあっさりしたものだったけど、温かみがあっていい口上だった。
「一本刀土俵入」
猿之助がお蔦で久しぶりの本格的な女形。やはり彼は女形のほうがいいと思う。中車が駒形茂兵衛で、2人が本格的に共演するのも、これまであまりなかったのでは。
猿之助のお蔦はほろ酔い加減の色気や気風の良さが魅力的。中車の茂兵衛は冒頭、おなかがすいて力が入らないという設定なのだが、ちょっと足りない人のように見えた。競演の人達は「先代の猿之助に似ている」と口ぐちに言っていたけれど、こんなものだったの?
中盤、寿猿と竹三郎の長老2人が昔の色ごとの話をするところが、ほのぼのとおかしい。いい味出してるなあ…。
「太閤三番叟」
太閤秀吉を右近、淀の方を笑三郎、北政所を笑也と澤瀉屋一門の華やかな舞踊。
三番叟の翁を秀吉が勤めるという趣向で、太閤らしい、赤い衣装で登場。最後に立ち回りがあったりと、いつもの三番叟とはちょっと違って面白い。
「口上」
秀太郎が真ん中で仕切り役。芝居に出ないで口上だけに付き合うということもあるのね。
最年長の寿猿さんの話が何かツボにはまったらしく、笑いをこらえる舞台上の皆々。時間が押していたのか、澤瀉屋の人達の口上はあっさりしたものだったけど、温かみがあっていい口上だった。
「一本刀土俵入」
猿之助がお蔦で久しぶりの本格的な女形。やはり彼は女形のほうがいいと思う。中車が駒形茂兵衛で、2人が本格的に共演するのも、これまであまりなかったのでは。
猿之助のお蔦はほろ酔い加減の色気や気風の良さが魅力的。中車の茂兵衛は冒頭、おなかがすいて力が入らないという設定なのだが、ちょっと足りない人のように見えた。競演の人達は「先代の猿之助に似ている」と口ぐちに言っていたけれど、こんなものだったの?
中盤、寿猿と竹三郎の長老2人が昔の色ごとの話をするところが、ほのぼのとおかしい。いい味出してるなあ…。
6月15日 文楽鑑賞教室
「団子売」
始大夫の杵造、希大夫のお臼、ほか若手。
ずいぶん前になってしまったので記憶が…。明るく楽しい舞踊。
解説「文楽へようこそ」
靖大夫、龍爾、蓑紫郎
「卅三間堂棟由来」
鷹狩の段を睦大夫、喜一郎、気遣り音頭の段の中を芳穂大夫、清馗、奥を呂勢大夫と錦糸。
鷹狩の段からの上演なので、話がよりわかりやすかった。柳の精の幻想的な様子や、親子の情あり、で見応えたっぷり。呂勢大夫の美声で聞くと、母子別れの悲哀がしみる。
始大夫の杵造、希大夫のお臼、ほか若手。
ずいぶん前になってしまったので記憶が…。明るく楽しい舞踊。
解説「文楽へようこそ」
靖大夫、龍爾、蓑紫郎
「卅三間堂棟由来」
鷹狩の段を睦大夫、喜一郎、気遣り音頭の段の中を芳穂大夫、清馗、奥を呂勢大夫と錦糸。
鷹狩の段からの上演なので、話がよりわかりやすかった。柳の精の幻想的な様子や、親子の情あり、で見応えたっぷり。呂勢大夫の美声で聞くと、母子別れの悲哀がしみる。
2014年5月26日月曜日
5月17日 「蒼の乱」
いのうえ歌舞伎と銘打っていて、つけ打ちのような効果音が入ったりしていたが、歌あり踊りありのミュージカル。上演時間が休憩はさんで4時間近いというところは歌舞伎っぽいか。
主演の天海祐希は前半の巫女姿よりも、後半、反乱軍のリーダーとなって戦う姿がりりしく、格好いい。
松山ケンイチは舞台では初見だが、立ち回りも様になっていたし、悪くない。けど、映像のほうがいいかなあ。気持ちばかり先回りしてしまう、ちょっとおバカな役柄のせいかもしれないけど。
早乙女太一の立ち回りは、舞うように華麗で美しい。舞台映えのする役者さんだなあ。
平幹二郎は流石の存在感。舞台に上がるだけで圧倒される。
劇団新感線をナマで見るのは初めてだったけど、古典芸能に親しんでいる身にはちょっとうるさい。脇役陣のお決まりっぽいギャグとかかしましさとか、少しうんざりした。
主演の天海祐希は前半の巫女姿よりも、後半、反乱軍のリーダーとなって戦う姿がりりしく、格好いい。
松山ケンイチは舞台では初見だが、立ち回りも様になっていたし、悪くない。けど、映像のほうがいいかなあ。気持ちばかり先回りしてしまう、ちょっとおバカな役柄のせいかもしれないけど。
早乙女太一の立ち回りは、舞うように華麗で美しい。舞台映えのする役者さんだなあ。
平幹二郎は流石の存在感。舞台に上がるだけで圧倒される。
劇団新感線をナマで見るのは初めてだったけど、古典芸能に親しんでいる身にはちょっとうるさい。脇役陣のお決まりっぽいギャグとかかしましさとか、少しうんざりした。
5月11日 文楽五月公演 第2部
「女殺油地獄」
徳庵堤の段。与平衛の松香大夫、お吉の三輪大夫をはじめ、8人の大夫が入れ替わり立ち替わり。
河内屋内の段は口が芳穂大夫と寛太郎、奥を呂勢大夫と清治。
豊島屋油店の段を咲大夫と燕三。
与平衛を演じる役者によって、若者の狂気が際立つ歌舞伎とはまた違って、文楽は物語の不条理さをより感じる。殺しの場面は意外とあっさり。
「鳴響安宅新関」
勧進帳の文楽版。山伏問答のくだりなど、文字情報でも見られる分、わかりやすかった。富樫と弁慶の息詰まる緊張感は、生身の役者同士のほうが迫力があるかな。最後の飛び六法も。
徳庵堤の段。与平衛の松香大夫、お吉の三輪大夫をはじめ、8人の大夫が入れ替わり立ち替わり。
河内屋内の段は口が芳穂大夫と寛太郎、奥を呂勢大夫と清治。
豊島屋油店の段を咲大夫と燕三。
与平衛を演じる役者によって、若者の狂気が際立つ歌舞伎とはまた違って、文楽は物語の不条理さをより感じる。殺しの場面は意外とあっさり。
「鳴響安宅新関」
勧進帳の文楽版。山伏問答のくだりなど、文字情報でも見られる分、わかりやすかった。富樫と弁慶の息詰まる緊張感は、生身の役者同士のほうが迫力があるかな。最後の飛び六法も。
5月11日 文楽五月公演 第1部
「増補忠臣蔵」
忠臣蔵、加古川本蔵の後日談というか、刃傷事件と山科閑居の段の間の話。
高師直に賄賂を渡した本蔵を非難する若狭之助。結果として、家の大事を守った忠臣ではあるが、当時の価値観からすると卑怯ものでもあるわけで。そこいらへんのもやもやを説明してくれて、山科閑居に至るまでのいきさつがわかりやすくなった。
前を千歳大夫と団七、奥を津駒大夫と寛治。
「恋女房染分手綱」
住大夫の引退狂言。沓掛村の段の前を文字久大夫と藤蔵、切を住大夫と錦糸。
地味な話ではあるのだが、子供、老婆、武士の語り分けなど、聞かせどころがたっぷり。住大夫は声の力強さはなかったが、情のある語りで泣かせる。この語りがもう聞かれなくなるのは寂しいけれど、ここを引き際と定めた気持ちも察せられる。この芸をぜひ引き継いでほしい。
「三十三間堂棟由来」
中を睦大夫と清志郎、切を嶋大夫と富助。
柳の精が出てくる、幻想的なおとぎ話。文楽らしい演出もあって、面白い。
忠臣蔵、加古川本蔵の後日談というか、刃傷事件と山科閑居の段の間の話。
高師直に賄賂を渡した本蔵を非難する若狭之助。結果として、家の大事を守った忠臣ではあるが、当時の価値観からすると卑怯ものでもあるわけで。そこいらへんのもやもやを説明してくれて、山科閑居に至るまでのいきさつがわかりやすくなった。
前を千歳大夫と団七、奥を津駒大夫と寛治。
「恋女房染分手綱」
住大夫の引退狂言。沓掛村の段の前を文字久大夫と藤蔵、切を住大夫と錦糸。
地味な話ではあるのだが、子供、老婆、武士の語り分けなど、聞かせどころがたっぷり。住大夫は声の力強さはなかったが、情のある語りで泣かせる。この語りがもう聞かれなくなるのは寂しいけれど、ここを引き際と定めた気持ちも察せられる。この芸をぜひ引き継いでほしい。
「三十三間堂棟由来」
中を睦大夫と清志郎、切を嶋大夫と富助。
柳の精が出てくる、幻想的なおとぎ話。文楽らしい演出もあって、面白い。
2014年5月11日日曜日
5月10日 酒と涙とジキルとハイド
三谷幸喜、久しぶりの本格コメディとの触れ込みで、大いに笑った。
愛之助演じるジキル博士は、堅物で真面目なんだが、姑息。補助金のために実験が成功したと装うなど、ある研究所の騒動を彷彿とさせる、その件に触れることはないのはちょっと拍子抜け。コメディ俳優としての愛之助は、間が今ひとつ。わざと外しているのかもしれないが、イブが忘れていった本を見たくてウロウロするところとか、もっと溜めたほうが面白いのにな〜と思うところが度々あった。スピーチの練習のくだりなど、滑舌よくしゃべっているのだが、内容が全く頭に入ってこないのは、セリフがいいのか、演技力なのか。
反対に、優香の堂々たるコメディエンヌぶりには驚いた。声もよく出ていたし、セリフの間もよかった。2つの人格の演じ分けも達者。主役はジキル博士ではなく、イブなのではないかと思うほど。
藤井隆は期待どおりの面白さ。飛んだり走ったりと動き回って、一番汗をかいていた。
プール役の迫田孝也。これまであまり意識したことのなかった役者さんだが、狂言回しというか、物語の進行役としていい味出してた。
<5>5>
2階席から俯瞰で見たせいか、全体が見渡せて、面白かった。次に何が来るか分かっているのに、すごく笑った。前回気になった、愛之助の間も、違和感なく。
カーテンコールの最後に、一人ひとりが一言ずつ。愛之助が「いつか再演を」と言っていたけど、どうだか。どうせなら、別の物語を観たいなあ。
愛之助演じるジキル博士は、堅物で真面目なんだが、姑息。補助金のために実験が成功したと装うなど、ある研究所の騒動を彷彿とさせる、その件に触れることはないのはちょっと拍子抜け。コメディ俳優としての愛之助は、間が今ひとつ。わざと外しているのかもしれないが、イブが忘れていった本を見たくてウロウロするところとか、もっと溜めたほうが面白いのにな〜と思うところが度々あった。スピーチの練習のくだりなど、滑舌よくしゃべっているのだが、内容が全く頭に入ってこないのは、セリフがいいのか、演技力なのか。
反対に、優香の堂々たるコメディエンヌぶりには驚いた。声もよく出ていたし、セリフの間もよかった。2つの人格の演じ分けも達者。主役はジキル博士ではなく、イブなのではないかと思うほど。
藤井隆は期待どおりの面白さ。飛んだり走ったりと動き回って、一番汗をかいていた。
プール役の迫田孝也。これまであまり意識したことのなかった役者さんだが、狂言回しというか、物語の進行役としていい味出してた。
<5>5>
2階席から俯瞰で見たせいか、全体が見渡せて、面白かった。次に何が来るか分かっているのに、すごく笑った。前回気になった、愛之助の間も、違和感なく。
カーテンコールの最後に、一人ひとりが一言ずつ。愛之助が「いつか再演を」と言っていたけど、どうだか。どうせなら、別の物語を観たいなあ。
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