藤蔵の自主公演。文楽に縁のある御霊神社という、場所も素敵。
冒頭に藤蔵と呂勢大夫の対談、藤蔵のオリジナル三味線曲ののち、浄瑠璃「傾城阿波鳴門」というプログラム。
対談では、しゃべりが苦手という藤蔵をフォローするかのように呂勢大夫がしゃべくり倒す。こんなにおしゃべりな人だったとは。昔の太夫の話で、裃の着付けをする時にタイミングが合わないと怒られたり、背が低いので肩衣をかける時に首にあたってしまい、「無礼者!素麺の糸で首くくれ」と言われたり。むかしも、今でいうところの住大夫のような、恐いお師匠さんがいて、舞台にあがるときに楽屋のそばを通らなければならないので、関所のようだったとか。
藤蔵が40年の1月、呂勢大夫が12月生まれで歳が近いので、よく一緒にやっているが、初対面のときはお互い恐いヤツだと思っていた。藤蔵は元ヤンの噂があって、目付きが悪かった。呂勢大夫は太夫のくせに三味線抱えて三白眼で睨んでいたとか。
「傾城阿波鳴門」は大阪では暫くかかっていないが、演るならこの段のみ。最後までやるとがっかりするのだとか。淡路島でよく演るので、あちらの話と思われているが、大阪、玉造の話とも。
オリジナル曲は、震災にあった東北のために作ったのだとか。津波の様子などを表現しているそうで、緩急のある曲に聴きごたえがあった。三味線てこんなに表現の巾があったのね、と改めて思ったり。
浄瑠璃は流石、聞かせる。娘お鶴の健気さ、娘と分かっていても名乗ることのできないお弓の悲哀。短い時間だったけど、堪能しました。
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