はるばる行ってきたルネッサながと。会場はちゃんと花道もあり、文楽の場合は舞台の床が下がる構造になっているそうで、人形が目線の高さにあって見やすいのもよかった。
舞台の前に、ドナルド・キーンと鳥越文蔵の対談。近松の作品はとてもよくできていて、アレンジなど手を加える必要はないと。あえて言えば、今は上演されることの少ない、生玉神社の段から通しで上演するほうがいい。近松文楽について、キーンさんははっきりとは言わなかったが、鳥越さんはちょっと否定的な様子で、激しく同意する。生玉神社の段を復活したのは良かったけどね。
その後、靖大夫、清志郎、勘市による解説。鑑賞教室とは違って、多少は文楽を知っている人向けということで、豆知識的な情報も。太夫の床本は師匠や先輩から借りて書き写すのだが、和紙がだんだん少なくなって高くなっているとか、見台を塗りなおすのもお金がかかるとか。太夫がどんなふうに座っているのか、後ろを向いて見せてくれたり。三味線の裏側は猫の皮、表は猫か犬。師匠や先輩は猫皮なので、よく見ると乳首の丸い痕があるのだそう。(舞台上では全く分からなかったが)
「曽根崎心中」
生玉神社の段を睦大夫と宗助。人形は勘十郎の一人遣いで。今回近くで観られたのでよくわかったのだが、一人遣いのときは、右手と左手を交互に遣うのね。
天満屋の段は呂勢大夫と藤蔵。この二人、力が拮抗していていいコンビだな。期待通りの素晴らしい舞台。
天神森の段は呂勢大夫、芳穂大夫、靖大夫に宗助、清志郎、燕二郎。心中も美しくて、堪能。杉本文楽が相当不満だったので、いい口直しができた感じ。
0 件のコメント:
コメントを投稿