圧巻だったのは、合邦が玉手を刺すところで、ヴァイオリン演奏と共に浄瑠璃の語りのような情景描写があり、奏者の気迫のこもった掛け声もあって、緊迫感があった。
玉手の俊徳丸への恋が本当かというのは、色々な解釈があるが、今回は行為の底に恋慕があるように見えた。というのは、回想シーンで、腰元時代の玉手が主人の子どもである俊徳丸と戯れるところで好意を抱いたようだったから。刺されてから、恋は偽りというセリフがあるが、本心ではないと聞こえた。
玉手の内田慈は妖艶さと清廉さが見え隠れして好演。声が良ければなお良かった。アニメを思わせる発生は、子どもの頃はともかく、大人の女としてはどうか。歌も、強めの地声で音程が不安定のが惜しかった。
鑑賞サポートが入って、歌詞の字幕があったのだが、良し悪しと思う。2つの歌詞を同時に歌うところや、聞き取りにくい言葉が明確になる一方、つい字幕を見て役者な目がいかないのはマイナス。
大千穐楽とあって、キャストもやり切った様子で涙ぐむところも。客席はスタンディングオベーション。
アフタートークで木ノ下が3つのキーワードを解説。1つは音楽、糸井のミョージカル。2つめは太陽と月に象徴される天体。舞台となる高安と天王寺は山と海の象徴。3つ目は神話。弱法師の伝説は遡るとインドの仏教説話、クマラ王子の伝説に行き着く。今昔物語にも同様の話が。おしてるやは難波、さざなみは大津の枕詞。
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