2022年11月13日日曜日

11月13日 「波濤を超えて」

能、歌舞伎、現代劇のコラボだそうで、お目当ては壱太郎をはじめとする上方歌舞伎の面々と能楽師の林宗一郎。主演のジャニーズの若手は全く知らんかったが、さすがの人気で一階席はほぼ満席。やれやれ。

能楽師は3人キャスティングされているが、日替わり出演。聞いてないよーと思ったが、運良く宗一郎の回に当たった。
冒頭、蘇った知盛の亡霊として船弁慶のような装束で一差し舞ったのと、天狗の親玉、大天狗として吉弥の天逆毎姫(といって老女だが)を従えて登場。大天狗てはセリフもあって、低く響く声に人ならぬものの凄みがあった。他の出演者との絡みはあまりなく、能の要素を象徴的に取り入れた感じ。現代劇だから直面を期待したのだが、役の時はどちらも面を着けていてがっかり。カーテンコールでは素顔を見せてくれ、遠慮がちに手を振るのが微笑ましい。

源義経を関西ジャニーズJr.の嶋崎斗亜、平知盛をジャニーズJr.の影山拓也。2人とも若くて芝居はまだまだ、というか、義経と知盛のコスプレみたいに見えた。義経と頼朝の対面や、知盛の入水など印象的な場面をピックアップして、間を達者な歌舞伎役者らが繋いでなんとか芝居の形にしている感じ。物語はブツ切れだし、頼朝に追われた義経が落命するところなんかは説明てすませちゃったりして、芝居を見たというには物足りない。せっかくの知盛の入水は、岩の上に登って薙刀(碇ではない)を掲げるものの、仰向けに倒れ込むのではなく、くるっと回転して脚から飛び込んだのが肩透かし。
梅天狗の千寿、太郎天狗の千次郎らがうまい。三郎天狗と駿河次郎の二役をこなした吉太郎も活躍。歌舞伎や能役者が出るところは見られたが、ジャニーズ主体のところはしんどかった。
壱太郎の演じた静はいいとして、物語の鍵となる祇王がなあ…。恨みの根源になってからはいいとして、清盛の命令で知盛に殺されたのがきっかけとして薄いというか、あっさりしすぎで、平家はともかく、源氏やその他を巻き込むほどの深い怨念を抱くには弱いのでは。まあ、そこが見せ場ではないので、尺をとっていられないのだろうが。

0 件のコメント: