「盛綱陣屋」
菊之助が初役の盛綱。理知的で器の大きい武将らしさがあり、冷静さを保ちながらも、小四郎に腹を切らせるよう話すところなど泣かされた。最後の小四郎を褒めてやれというセリフが切ない。所々、台詞の語尾や両手を挙げる所作などに吉右衛門の面影を感じてじんときた。
女形陣もみなすばらしく、篝火の梅枝は凛々しく武家の妻を好演。最後、小四郎の遺体を抱いて、涙に濡れながらグッと顔を上げる姿が美しい。微妙の吉弥は悪かろうはずもなく、三婆の格式保ちながらしっかりと情を感じさせた。莟玉の早瀬は、片はずしの役はまだ早く、背伸びしている感じが拭えなかったが、健闘していてこれからが楽しみ。
小四郎の丑之助は二度目とあって、大役もしっかり。「心残りは、ち、ち、う、え…」ではしっかり泣かせた。そして、小川大晴の小三郎がかわいいこと。重そうな鎧を着けて、機敏に動くのが愛くるしくて、キュンとした。
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