2022年3月21日月曜日

3月20日 三月大歌舞伎 第二部

「河内山」
休演から復帰した仁左衛門の河内山。花道を使った出入り以外はほとんど座ったままで動きがなく、セリフを楽しむ芝居なのだと改めて実感。勧進帳などは山伏問答の内容を理解していなくても、「富樫か次々と繰り出す難しい問題に、弁慶はすらすら答えているのね」程度のことが分かれば十分に楽しめるのだが、河内山はそうはいかない。七五調の名文句に酔ってつい瞼を閉じてしまってはダメなのだ…orz。
とはいえ仁左衛門。口跡の良い名セリフはもちろん、質店でことの顛末を聞いて腹に何か閃いたふうにふっと表情を変えたり、往生際の悪い松江公(鴈治郎)の様子にスイッチが入って追い込む様など、要所要所で魅せる。
千之助の浪路は所作に硬さがあるものの可憐な娘を好演。他の腰元に比べて顔が白すぎる(赤みがない)ように見えた。

「芝浜の革財布」
菊五郎劇団の手練れによる世話物で、熟練の芸をたっぷり。菊五郎の政五郎、時蔵の女房おたつをはじめ、適材適所の配役で、左團次、彦三郎、橘太郎ら長屋の仲間たちの酒宴の楽しそうなこと! 特に妻自慢で惚気る大工役の左團次の風情がいい。…が、全体としては歌舞伎のこの作品ってあまり好きではないかもと思った。
財布を拾って帰った政五郎が妻と金勘定をするところがなく、湯に行くからと預かった包みをおたつが開いてびっくり!というのはインパクト薄くないか? 最後は酒を飲んでしまうし、財布の金を奉加帳に寄進するのは悪くないけど、落語と違うくだりが気になった。

丁稚に眞秀。芝居好きという設定で、河内山の真似に始まり、弁天小僧や三人吉三の名文句など音羽屋の芸を披露するのはいいが、ちょっと長かった。

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