黒で覆われた空間に、四角い台が4×4個並ぶ舞台。どこからともなく台の下へ潜こんだ俳優たちのてや腕が、暗闇の中に照らし出される印象的なシーンから始まる。彷徨う人々、泣きじゃくる人々の行進、寝たきりの男…断片的なシーンの連続。妻(佐々木ヤス子)と歩く人(達矢)が絡み合うシーンは官能的だが、湿っぽさがなく、カラリとして感じた。セリフはごく少なく、散文詩のような印象的な言葉が語られる。「死を待っているのではない、死に逃げられたのだ」など。
原作の小説を読んでいないので、ストーリーはよく分からなかったが、大切な人を殺された者が殺す側に回り、次には命を狙われる…という無限ループのような立場の転換。殺された者の怨念の集合体のような存在が恐ろしくもあり、悲しかった。最期にはその中心に唯一の女性・佐々木が組み込まれるのは、復讐の連鎖を断ち切ろうとするよう。
0 件のコメント:
コメントを投稿