2022年1月26日水曜日

1月26日 国立能楽堂 特別公演

 仕舞の「雲林院 クセ」(梅若万三郎)と狂言の「二千石」(七五三、宗彦)は体調不良もあって半分くらいうとうとしてしまったのだが(スミマセン…)、大槻文蔵の「求塚」が凄かった。

現代の感覚では到底受け入れられないストーリーではあるのだが(菟内日処女には全く落ち度はないのに、二人の男に一方的に恋焦がれられたあげく、死んだ後も地獄で苦しめられるとか、ひどすぎる。前世の宿業と言われても納得しがたく、責められるべきは、身勝手で諦めの悪い2人の男だと思う)、ドラマチックな演技にハッとさせられた。舞などの動きが多いわけではないのだが、少しの所作に緩急があって、物語を強く訴えた。前シテの「これを最期の言葉にて この川波に沈みしを」で足を鳴らすところや、後シテで僧に供養を願うところの悲痛さなど、これまでの能公演では感じたことないほど心が揺さぶられた。文蔵はしゃがんだ姿勢から立つところで少し危うさが感じられるところもあったが、おおむね動きに淀みはなく、今年80歳になるとは思えない身体だ。

ツレの菜摘女に坂口貴信、大槻裕一、ワキは森常好、ワキツレ梅村昌功、則久英志、アイは茂山逸平。

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