森見登美彦の原作を上田誠が脚本・演出。テンポよく、奇想天外な物語をうまく舞台化していた。舞台中央に置いた丸い廻り舞台に工夫があって突拍子もない場面転換もスムーズだったし、映像で京都の街を映したのも効果的。乙女が歩く場面でのラップ調のセリフもノリが良かった。
先輩役の中村壱太郎は上ずった声で話すのが、独りよがりなオタク気質に合っていた。現代劇で男役は初めてだそうだが、こういう役なら。黒髪の乙女は乃木坂46の久保史緒里。衣装がかわいく、話口調が役にあっていたが、ラップなどはもう少しリズム感がほしかった。
事務局長(白石隼也)やパンツ総番長(玉置玲央)らキャラクターが立っていて、ガチャガチャした世界観をよく再現していた。竹中直人、鈴木紗和らが要所を締め、石田豪太、酒井善史らヨーロッパ企画の俳優も味を出していた。
ただ、休憩20分を挟んで3時間の上演時間は少し長い。コロナ禍で上演時間を短くしようという気はなかったのかというのもあるし、途中冗長な場面もあったのでもっとコンパクトにできたはず。悪質な風邪が蔓延するところで、飛沫が飛び散る様子を映像で見せたのも不快だった。そもそも、この状況下で、タチの悪い風邪が流行る話をするのはデリカシーに欠けるのでは。
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