「日吉丸稚桜 駒木山城中の段」
錣の相手は大抜擢の寛太郎。
はじめはおとなしめというか丁寧に弾いている感じだったが、中盤の五郎助がお政の首を落とすところでの雄叫びのような掛け声で目が覚める。大落としから、三味線の派手な手が入るところは、力のこもった熱演。錣との息も、はじめはしっくりこない感じだったが、だんだん丁々発止な緊張感が心地よい。
ただ、何というか、どんでん返しに次ぐどんでん返しで、義太夫らしいといえばそうなのだが、あまりな展開。力技で持っていかれた感があり、途中から何だか分からないけどすごい、という気分だった。
「生写朝顔話 宿屋の段」
咲は肩衣越しでも分かるほど痩せたのが見て取れ、幕開きに下げていた頭を直すときに見台についた手で支えるような仕草に不安を覚えたが、語り出すといつもの調子。とはいえ、詞が多く、節などの聴かせどころが少ない場面なので、朗読劇を聴いているよう。
燕三の三味線に燕次郎の琴が合わわさり、息のあった師弟共演が心地よい。
「恋女房染分手綱 重の井子別れの段」
千歳・清介は三谷文楽と同じ顔合わせだが、文楽劇場では珍しいのでは。
ここへ来てようやく義太夫節らしい語りを聴いた気分。ちっともおかしくない話なのに、何故か三吉の詞で笑いが起こる。それも度々。千歳の語りに不足はなく、話を解ってないのかいな。
終演時、清介の顔に満足げな笑み。
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