2020年8月16日日曜日

8月15日 三谷文楽「其礼成心中」

久しぶりの三谷文楽。内容は知っているのであまり笑えはしなかったのだが、生の義太夫節はいいなあと。(たとえマイクを使っていたとしても…)となりの女性は初見だったらしく、終始笑ってうらやましかった。

冒頭の三谷君人形はマスク姿。人形がしゃべらず、マスク(頭巾)をしている文楽はコロナ向きと言っていたが、「太夫は高いところにいるので飛沫は飛びません」は間違い。高い分、より遠くまで飛沫は飛ぶでしょう。後方にいるので客席までは届かない、というならあながち間違いではないのだろうが、人形遣いは浴びまくっているわけで…。三味線は皆グレーのウレタン製らしきマスクを装着していたが、呼吸でペコペコするのが見えて息が辛そう(特に清志郎)。三味線も息を詰めたりするからね。能楽や歌舞伎座で使っていたようなマスクのほうが楽そうだ。

病から復帰した呂勢は少しやせたのか顔の精悍さが増したよう。1場の語りは急いでいるのか間を詰めている感じで、笑いどころで笑わせていないのが惜しい。続く千歳は熱量の高い語りで、客を乗せていく。お福役で加わった靖は落ち着いた様子。呂勢も2回目の登場や、終場の千歳との掛け合いでは充実の語りで満足。半兵衛の千歳とおかつの呂勢がユニゾンで語るところは、音程さがあるのでハーモニーのようで心地よかった。(過去のパンフレットを見たら、おかつ・千歳、半兵衛・呂勢と書いてある!今回入れ替えた?)「曽根崎心中」や「心中天網島」など古典からの引用も多く、よく聞くフシが多用されていて、義太夫節として楽しめると改めて思った。

人形は、半兵衛・一輔、おかつ・玉佳、お福・紋秀ら主要キャストは前回と同じ。六助の玉勢が大近松を兼務、小春の玉翔はちょっと意外。玉佳は八右衛門もやってた。若手もそれぞれ昇格したようで、三谷君人形は簑悠が遣っていたよう。

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