2017年7月26日水曜日

0725 夏休み文楽特別劇場 名作劇場

「源平布引滝」 義賢館の段の中が靖・錦糸、奥を咲甫・清友。 靖は低音の発生に苦労している様子だが、時代物の堂々とした雰囲気。咲甫は芝居っ気ありすぎに感じた。 和生の義賢が風格があって立派。 矢橋の段は亘・錦吾。簾内だがライトが当たって姿は確認できた。 竹生島遊覧の段は津国、南都、文字栄、碩、希の掛け合いに三味線は清馗。 大きな船が舞台いっぱいで迫力あり。 九郎助住家の段 中を希・寛太郎、次を文字久・団七、切を咲・燕三、奥を呂勢・清治。 咲は技術で体裁は保っていたが、痩せて声に力がないのがつくづく残念。切場を語り切る体力がないのはともかく、無理くりぶった切ったような転換もどうか。 呂勢は声がよく出ていて目が覚めるようだった。

0725 夏休み文楽特別公演 親子劇場

「金太郎の大ぐも退治」 芳穂の金太郎に靖の鬼童丸、亘、碩は赤鬼、青鬼。三味線は清志郎、清丈、友之助、燕二郎、清允。 芝居っ気のある芳穂に靖の悪役ぶりがよく嵌る。初舞台の碩は落ち着いた様子で声もよく出ていた。清志郎率いる三味線が攻撃的でスリリング。 人形はすべて頭巾をかぶっているので誰だか筋書で確認しながら見た。玉佳の金太郎はダイナミックな動き。玉勢は大ぐも・鬼童丸と配役にあるが、大ぐもはほかの人が遣っていたようで実際は鬼童丸だけ?最後宙乗りで銀の紙吹雪を巻きながら空へと去っていくのが格好いい。悪役っていうよりヒーローのようだった。 「赤い陣羽織」 文字久・藤蔵→呂・清介、清允→三輪、始、芳穂、咲寿、小住に喜一郎、燕二郎のリレーで。 台本に手を加えてはいけないという条件があったそうで、現代語の詞章は義太夫節らしくはないが、文字久がのびのび語るのは悪くなかった。呂はなんだかパッとしたところがなかった。女房の咲寿、声が甲高くて若すぎないか? おやじとお代官がそっくりで入れ替わるというのが面白みという設定は、人形も人形遣いも別々の人が演じる文楽よりも役者の早変わりで見せる歌舞伎のほうが面白いかも。

2017年7月25日火曜日

0723 劇団四季「ノートルダムの鐘」

期待値が高すぎたせいか思ったほどの感動ではなかったが、コーラスの迫力で心が揺さぶれる場面がたびたびあった。エスメラルダは容姿やダンスはもう一つと思うところもあったが、歌がいい。神父の屈折ぶりがこの物語のキモなのだろう。存在感が十分あった。日本語の歌詞は野暮ったく感じるところもあり。

7月22日 夏休み文楽特別公演 第3部

「夏祭浪花鑑」 住吉前で咲寿・団吾。発語時の発声が弱いのが気になったが、語り分けがしっかりしてて驚く。三婦の風格、お梶の女房らしさも感じられた。続いて睦・宗介。睦は去年よりは団七らしさがあった。 三婦内は小住・清公。声はよく出ていたが、語り分けに難あり。千歳・富助は安定感があり安心して聞いてられる。簑助のお辰が流石の貫禄。ちょっと首を傾げたり、肩を入れたりする仕草に心情が溢れる。(後日再見して気づいたのだが、介錯が常に簑助の腰を支えていた。それだけ衰えがあるのかと心配) 長町裏は津駒・咲甫に寛治。得意げな咲甫は自信を持って語っているのがよく分かる。津駒の嫌味っぷりとかっぷり四つで聞き応え十分。「悪い奴でも…」と間を持たせず「舅は」までを一息で。人形も勘十郎の団七はお手の物。ただ、腕関節が、2つあるみたい。足遣いがよくて、キッパリとしてた。義兵次の玉也は嫌みの程度がやりすぎないのがいい。 歌舞伎との違いで気づいたことは、住吉前で三婦のふんどしは外さない、三婦内に獅子舞が探りに来ない(後の詞章では来たことになっている)、訪ねてきたお辰におつぎが嫉妬するくだりはなし、鉄弓を当てたお辰に水と薬を飲ませる(←どこで準備してたんだ?)、お辰の「うちの人が惚れたのは…」のくだりはなし、磯野丞は傘をささない、こっぱの権らを懲らしめるところで三婦は着替えず、権の足をもって引きずっていく(←生身の役者では無理)。長町裏では団七は義平次に金の入った包みを見せる(歌舞伎では懐に入れたまま触らせる)、揉み合ううち泥場に蹴りこみ義平次が泥まみれ、水を浴びたあと(本水ではない)団七は体をふく。三婦内と長町裏の幕開きにだんじり囃子。

0722 宝塚星組「オーム・シャンティ・オーム」

紅ゆずるのコメディセンスに溢れる、楽しい舞台。歌と踊りがもう一つなのは置いておくとしても、インド人らしさが乏しいのはいかがなものか。綺崎愛理は痩せすぎでないところがインド美人らしくていい。首を左右に動かすのも様になっていた。歌は裏声になるのが早くて聞きづらい。低音部から全部裏声にしちゃったほうがいいと思う。サンディに演技指導をするところで、ブルゾンちえみ風の演技。上手かったけど、話の筋には合ってなかったのでは。

2017年7月18日火曜日

0717 あごうさとし「リチャード三世ーある王の肉体ー」

無言劇と有人劇を続けて観劇。 無人劇はリチャードのセリフを標準語、関西弁、沖縄弁、東北弁で語り、「純粋言語」を探る試みだとか。ランダムに様々なイントネーションに変っていく独白は人格が統一されていないよう。ただ、最終的に東北弁の印象が強かったのは言葉のもつインパクトなのか。ブラックボックスの真っ暗な舞台に入り、不安定な砂場に足を取られつつ、ブラックライトや赤いライトに照らされる。壁が鏡面になっているので、奥行が広く見えたり、自分やほかの観客の姿が見えたりして不思議な感覚に包まれる。室内に照らされた白い糸がぼんやりと浮かぶ。ドラマトゥルクの先生は空間が分断されていると言ったがが、私には道しるべのように感じられた。 無人劇は男性3人に女性2人の役者(ダンサー?)。リチャードを男性3人が演じることで、肉体のいびつさを追求したのだとか。最初、不思議な恰好を役者たちが真似していくのだが、後で聞かされたところでは観客の仕草を取り入れているそう。そこのところはよくわからなかったのだが。クライマックスで3人の男と1人の女が揉み合う迫力に圧倒された。3人のリチャードがときに民衆になったり、ほかの人物になったりするので、誰がしゃべっているのかわかりづらいところも。あまりセリフの滑舌が良くない人がいたので、長台詞が辛いところがあった。

7月16日 遊劇体「ふたりの蜜月」

暗く、重たい、ざわっとする芝居だ。のっけからハイテンションで掴み合う姉妹に圧倒される。材木店のけいえいが傾き、両親は無理心中を図ったらしいが、はっきりとは明かされない。妹といい、仕事中に左手を失った従業員といい、いやらしい人々に気持ちを逆なでされる。高校の同級生が空気を緩和させてくれるのが救い。パンフには不幸ではないと書いてあったが、救いのなさに気持ちが沈んだ。姉が憧れているらしいヤスオさん、どこがいいのかちっとも分からない。

0715 宝塚星組「阿弖流為ーATERUIー」

礼真琴は陽性のヒーローがよく似合う。話の運びはダレるところもあったが、ヒーロー礼の存在感で全てよし、という気持ちになった。真直ぐなキラキラした男の子という風情は少年マンガの主人公のよう。歌は聴かせるし、重たげな衣装のせいでパッとしないもののダンスのキレもある。終演後、客席は総立ちで、カーテンコールが3回もあった。

2017年7月11日火曜日

7月9日 いいむろなおきマイムカンパニー「バタフライエフェクト」

冒頭、舞台にいいむろが一人。手をひらめかせて蝶のように見せたり、魚類から爬虫類、哺乳類へと進化するような動きが面白い。劇団員らが入っての場面は、回りのダンサーらが人物だったり、情景だったり。壱劇屋のルーツがここにあるというのがよくわかる。ただ、明確なストーリーなしに90分はちょっと辛い。1時間したあたりから飽きてしまった。

2017年7月8日土曜日

0708 下鴨車窓「乾いた蜃気楼」

うだるような暑さのなか、断水のため毎日水をもらいに行かなければならない。リストラにあった男とその妻のところへ、高校時代の同級生がNHKの勧誘員として訪れる。卒業してから没交渉だったらしく、高校時代にあった秘密が明らかになっていくのだが、事故にあった同級生を助けられなかったからってここまで気に病まなくてもいいのでは?と思わなくもない。

0707 ミュージカル「グレート・ギャツビー」

井上芳雄のギャツビーはニンじゃない。夢咲ねねのデイジーよりも育ちがよさそうに見えて、成り上がり感がない。田代万里生のニックとキャラがかぶってるのもよろしくない。歌の上手い2人なので、デュエットは聞きごたえがあったけれど。全般的に歌も踊りも宝塚っぽい。トム・ブキャナンの広瀬友祐、ジョーダン・ベイカーのAKANE LIVの存在感が良かった。

2017年7月7日金曜日

7月6日 エイチエムピー・シアターカンパニー「月の光」

ピンターの戯曲を日本初演だそう。脚本のせいなのか、演出のせいなのか、セリフが頭に入ってこなくて、チンプンカンプン。死にかけている男とその妻。男は妻の親友と浮気していたらしく、妻自身も親友とただならぬ関係にあったよう。2人の息子とも確執があり、見舞いにも来ない。娘の存在が不思議だ。 セットらしいセットはなく、床や壁にテープでラインが引いてあるだけ。テーブルや電話などを壁に投射するのはこの劇団らしい演出で面白い。

2017年7月5日水曜日

0704 七月大歌舞伎 夜の部

「舌出三番叟」 どこで舌を出したのかわからなかった…。壱太郎の千歳がきれい。鴈治郎は時折藤十郎によく似ていてハッとした。 「盟三五大切」 仁左衛門の源五兵衛が美しくてぞくぞくした。前半より後半の狂気をまとってからがもう。命乞いする小万が最後まで三五郎への思いを訴えるのを聞いて絶望していく心理描写や小万の首を愛おしそうに抱え、ほおずりするような様子を見せたりとすごく濃密な芝居だった。人殺しをした自分は討ち入りに参加する資格がないと言っていたのに、最後は浪士たちが迎えに来たら行ってしまうの?はよくわからない。時蔵の小万はたまに室井滋みたいに見えた。染五郎の三五郎はこちらのほうが似合ってる。

0704 七月大歌舞伎 昼の部

「夏祭浪花鑑」 染五郎、初役の団七はスマートすぎて団七縞の衣装がそぐわない感じ。頭が小さいのがよくないのか。大阪弁がどうとかいうよりも、泥臭さというか、べたな感じが欲しい気がする。泥場でざんばら髪になった時も落ち武者のようで。最初髪が腰くらいまであって長すぎないかと思っていたら、最期は短くなっていた。どこかで切る場面あったっけ? 時蔵のお辰は最後の「ここじゃござんせん」が粋で格好いい。焼きごてはもっとべったりつけてもいいのでは。松也の徳兵衛は江戸っぽくて、加賀鳶みたい。 義平次の徳三郎は憎たらしい。立ち回りは家によっての違いなのか、泥池が舞台の中央客席よりのところにしつらえてあり、一度舞台上手にはけて出てくるなど、観たことない形だった。 「二人道成寺」 時蔵と孝太郎。二人と言いながら、時蔵が一人で踊っている時間が多く、孝太郎の比率が7対3くらいのイメージだった。おおむね美しいのだけれど、回るところなどで足さばきが男らしいところがちょいちょい。最後の鐘への恨みを見せるところは孝太郎の表情がよかった。

2017年7月3日月曜日

0702 山海塾「海の賑わい 陸の静寂―めぐり」

コントロールされた動きは時に波に揺れる海藻のようで、時に無機質な物体のよう。ライトが変わるだけでそこが水中にも、砂漠にも見える。舞台上手には水の入った透明のボウルが下がっていて、場面に応じて上がったり下がったり。1時間半ほど、言葉なしの体の動きだけで観客を引き付ける。何を言わんとしているのか、はっきりとは提示されないのがかえって観客の想像力を広げるのだろう。

2017年7月2日日曜日

0624 文楽若手会

「寿柱立万歳」睦、靖、小住に寛太郎、錦吾、燕二郎、清允。 睦の声がのっけから厳しい。どうしちゃったの?三味線はキビキビしてて気持ちいい。人形は太夫が玉誉、才三が紋臣。コミカルな人形でも紋臣は滑らか。 「菅原伝授手習鑑」 車曳の段は松王・小住、梅王・咲寿、桜丸・睦、杉王・亘、時平・靖に清丈。 小住の松王が立派過ぎるくらいで、時平より年配に聞こえた(いいのか?)。睦がキツイのは変わらないとして、靖がもう一声欲しい。大笑いも息が続かないのか、真っ赤な顔して頑張ってるんだけど、後半声が掠れてた。咲寿はちょっとずつ良くなってるようで、元気はつらつにプラスαが見えてきた。 寺入りの段は亘と清公。うーん、まだまだだなあ。声は悪くないと思うのだが。 寺子屋の段は前を芳穂・清き、後を希・龍爾。芳穂は上手く語るのだが、ちょっと歌いすぎにも。希はなんだか聞いててしんどい。言葉の区切りかたが違うのか。語りわけも今ひとつで、女二人の区別がつかないし。 人形は松王の二人(車曳の玉翔、寺子屋の玉勢)が奮闘。玉勢は籠からの出でコケる(ツメの人形にぶつかったそうな)も立て直し、大きい松王だった。千代の蓑紫郎は上手さが際立った。

0623 アルディッティ弦楽四重奏団

コンテンポラリー音楽は興味深くはあるが、難解というか、楽しくはない。効果音のような音など、楽器の可能性を探求している感じがした。 後半はダンサー白井剛とのコラボ。白井は四肢がバラバラの意思で動いているかのような自在な動きで身体能力の高さを感じさせる。薄暗い舞台に黒っぽい衣装なのでせっかくの動きが見えにくい。