2017年6月19日月曜日

0619 OSK日本歌劇団 レビュー春のおどり

「桜鏡~夢幻義経譚~」 尾上菊之丞の作・演出・振付だけあって、振りが華やかできれい。桐生麻耶の弁慶が似合いすぎ。ここまで弁慶の衣装を着こなせる女優はいないだろう。高世真央の義経、楊琳の那須与一など、適材適所な配役で、ストーリー性のある舞台が面白かった。 「Brilliant Wave~100年への鼓動~」 ダンスのOSKの面目躍如。テンポの速い音楽で踊る踊る。キレのいい動きが見応え充分。宝塚だと足を上げるところなんか「よいしょっ」って感じなのだが、OSKは軽々なのだ。ロケットもハードだったなあ。

6月18日 文楽鑑賞教室 Cプロ

「二人禿」は芳穂、靖、咲寿、亘に喜一郎、清丈、錦吾、団吾。人形は紋秀に玉翔。玉翔は女形の人形を遣うと本人もちょっとなよっとする。 「仮名手本忠臣蔵」 下馬先進物の段は希・龍爾。のびのびしたいい声だが語り分けはもう一つ。龍爾の三味線はちょっとインパクトが弱い気がする。 殿中刃傷の段は靖・錦糸。靖の師直は品格は出ているが憎らしさが薄いので、これしきの事で刃傷に及ぶかなあと。大笑いもちょっと声がかすれ気味で、もっとできるはず。判官の切迫感は十分なだけに惜しい。 判官切腹の段は千歳・富助。これこれ、これが聞きたかったというような充実した床。 城明け渡しの段は小住・燕二郎。はったと>睨んでだと思うのだが、はったとが迫力不足で尻上がりになっていた。 人形は和生の由良助がいい。緊張感の漲る入りから、判官の最期を見て息を飲むところ、城を去るところでは、他の人より歩幅が大きかったような。はったと睨んでも、他の人は「はっ」とか短く掛け声をかけていたのを足遣いの足踏みをきっかけにしていた。 本蔵が賄賂を贈るところ、目録が手すりの前方に落ちてしまったのでどうするのかと思ったら、伴内の左遣いがサッと拾って手渡していた。切腹の段でも襖が落ちるし、ハプニング続きでハラハラした。

2017年6月17日土曜日

6月17日 ディスカバー文楽(鑑賞教室Dプロ)

茂山童司の太郎冠者が英語を交えて解説。狂言っぽい言い回しで英語を話すのが面白い。 「二人禿」は始、芳穂、希、咲寿に清馗、清丈、清公、清允。 無料だったのでイヤホンガイドを使ってみたのだが、大失敗。語りの間も余計な事ばかりしゃべっていて、床がきちんと聞こえない。見ればわかることをいちいち説明するのも邪魔だ。人形は紋吉と勘次郎。勘次郎のほうが可愛かったように思った。 解説「文楽のいろは」は靖・龍爾にバイリンガルの太郎冠者がインタビュー。三味線の引き分けは、男前のジョニー・デップにマッチョなアーノルド・シュワルツェネッガー。「I'll be back!」も決まって受けていた。人形の玉翔は「most handsome puppeteer」と。「どんぐりころころ」はちょっとアレンジが違って、こちらも面白い。 「仮名手本忠臣蔵」 下馬先進物の段を小住・寛太郎。声はよく出ていたが、語り分けはもう一つか。寛太郎の三味線は楷書というか、きっぱりしている。 殿中刃傷の段は睦・清志郎。清志郎の三味線は明確でいいなあ。睦は出だしはよく声が出ていて落ち着いているように思ったが、話が進むにつれ不安定さが。師直の憎たらしさがあまり出ていないのと、判官の切迫感が薄い。 判官切腹の段は文字久・燕三。燕三の三味線が情感豊かで素晴らしい。文字久は「由良之助はまだか…」のあたりとか、ちょっと緊張感にかけるのか、ものすごく睡魔に襲われた。 城明渡しの段は亘・清允。 人形は判官の清十郎の足がよくない。切腹の段で上使を迎えるときの足がそろっていないうえ、あさってのほうを向いている。切腹のところの着物は前回よりはましだったが。鷺坂伴内の玉佳が細かい動きまで面白く、袖の下を要求するところでは手を出して招く仕草も。一輔の若狭助がきっぱりしていてよかった。由良之助は玉也。安定感があっていい由良之助だった。

0616 劇団ジャブジャブサーキット「月読み右近の副業」

オカルトのような、ミステリーのような展開で先が知りたくなる。がけ崩れで麓との往来ができなくなった山奥の隠れ家が舞台。占い師というか、未来が読めるらしい不思議な能力をもつ君塚右近にこの公演で退団する咲田とばこ。クールな突き放したような話し方が何とも言えない間で面白い。本を読んでトリップしてしまう訳アリ気な少女、小雨のまどかリンダがアニメキャラみたいな可愛さ。全身ボロボロの謎の女が屋敷に迷い込むと不思議なことが起こりだす。この女を演じた空沢しんかのしゃべりかたがやや冗長で集中力が途切れた。

2017年6月13日火曜日

0613 文楽鑑賞教室 Bプロ

社会人のための文楽鑑賞教室で、冒頭幕前で太郎冠者に扮した茂山童司が軽く作品紹介。 「二人禿」は睦、靖、咲寿、小住に清志郎、龍爾、清公、団吾。睦は声が辛そうだ。人形は簑紫郎と簑太郎。何だか動きがぎこちなく感じた。 解説は太郎冠者の案内で、太夫・三味線にインタビュー。座り方の説明では台座を回転させて後ろ姿を見せるなど工夫が面白い。義太夫節版「どんぐりころころ」は絶品! 「仮名手本忠臣蔵」 下馬先進物の段は芳穂・清丈。うーん…、師直の格が足りない気がするのと、もっと太さが欲しいか。清丈の三味線はきっぱりしていていい。 殿中刃傷の段は咲甫・藤蔵。咲甫の師直はいじわるさが足りない。もっとネチネチやってほしい。大笑いはのっけからフルスロットルな感じで、クライマックスの前に拍手が出てしまった。藤蔵の唸りがいいスパイス。 塩谷判官切腹の段は津駒・清友。津駒の語りが明快で、こんな内容だったのねという発見が随所に。 城明渡しの段は亘・燕二郎。 人形は師直の勘十郎が何故か不安定というか、小物っぽく見えた。判官の清十郎も足と動きがあっておらず、切腹の段での着物のさばき方がぎこちなく、脱いだ後の形ももさもさして美しくなかった。よかったのは玉勢の若狭助。血気盛んな若者らしい。

2017年6月12日月曜日

6月11日 文楽鑑賞教室 Aプロ

「二人禿」 睦、希、亘、南都に喜一郎、寛太郎、錦吾、燕二郎。 人形は紋臣と玉誉。紋臣の人形は動きが柔らかくていい。 解説は靖、龍爾、玉翔。これまで見たものとほとんど同じ。龍爾は自分でも言っていたがキムタクはもう古いのでは?そろそろ新ネタを。玉翔は「中年太りだけど男前の玉翔です」と。作品解説の靖太夫に振るとき、「第二子が生まれたばかりの…」と暴露したものの、靖は困惑気味にスルー。 「仮名手本忠臣蔵」 下馬先進物の段は始・清馗。始は立派でいいのだが、高師直は格が足りない気がした。 殿中刃傷の段は呂勢・宗助。呂勢のいじわるっぷりがノリノリで楽しそう。師直の大笑いが堂々として、拍手が起きていた。 切腹の段は呂・清介。なぜだろう、急に睡魔が。 城明渡の段は長くて退屈。はったと睨んでの咲寿が意外によかった。 人形は玉也の師直が憎たらしく、和生の判官は品がある。勘十郎の由良之助は押しが強いというかやったるで感が強い。

2017年6月11日日曜日

0610 ボリショイバレエ「パリの炎」

民衆の力強い踊りが印象的だ。足を踏み鳴らしたり、力強く地面を蹴ったりと優雅さとは対極の踊り。劇中劇で出てきた女性ダンサーの手足が人形のようにスラリと長く、竹馬を履いて出てきたのかと思ったほど。ほかの場面ではそうは見えなかったので衣装の印象もあるのか。

0609 イキウメ「天の敵」

2時間半ほどあったのだが、全く時間を感じさせない。引き込まれた。ストーリーのち密さと役者の力量が充実しているからこその密度の濃い芝居。食と健康という現代人の最大関心事をこうも皮肉に料理するとは。菜食主義者ならぬ飲血で不老を手に入れた男を演じた浜田信也が人ならぬものの不気味さを醸し出す。ジャーナリストの安井順平も上手い。

0609 宝塚花組「邪馬台国の風」「Sante!」

弥生時代が舞台という珍しい作品。少年タケヒコの成長物語というのはいいとして、立ち回りは迫力不足で卑弥呼とのロマンスもいまいち。霊力を失った卑弥呼に対し、女として俺と生きろみたいなことを言うのって違和感がある。暗転の場面転換が多くて、物語が細切れになるのも、集中力がそがれる。レビューはいろいろな音楽を盛りだくさん。男役に女装をさせたがるのは好ましくないと思う。スーツ姿の男役による群舞が恰好いい。柚香光のスタイルの良さにほれぼれした。

2017年6月9日金曜日

0608 ミュージカル「パレード」

主人公が陥れられていく一方で、最後までカタルシスのない重たい芝居だ。ミュージカルに似合わない気がするが、逆に華やかな音楽と物語の深刻さの対照がより心に響くのかも。 レオ役の石丸幹二をはじめ、歌唱力の高いキャストがそろっていたので歌の聴きごたえが十分。特にコーラスの迫力たるや。石丸は冒頭の夫のいやさ加減が絶妙。こんな人が近くにいたら嫌になるよなあという。妻ルシール役の堀内敬子は感情表現が豊か。ただ、元四季と期待していたわりに、高音が結構早くから裏声になるのと、感情を乗せすぎて音程が不安定になるように感じた。

6月4日 六月大歌舞伎 夜の部

「鎌倉三代記」 雀右衛門の時姫が可憐で美しい。だんだん美しくなられているような気がする。松也の三浦之助はすっきりとした若武者ぶりが清々しい。佐々木高綱の幸四郎は悪役らしい憎々しさが強く、実は味方に最後まで見えなかった。 「曽我綉俠御所染」 仁左衛門の御所五郎蔵が何しろ格好いい。五七調のセリフの美しさや役者の格好良さを見せる芝居のはずなのに、五郎蔵が皐月に愛想尽かしをされるところなど心情描写が巧みで胸打たれた。雀右衛門の皐月もキレイだ。星影土右衛門は敵役らしい風格。米吉の逢州も美しい。 「一本刀土俵入」 猿之助のお蔦は蓮っ葉な年増女を好演。こういう、世知にたけた女は上手いしはまってる。幸四郎の茂兵衛がどうしても年より臭いのがしんどかった。

2017年6月3日土曜日

0602 「銀二貫」

寒天問屋を舞台に大阪商人の人情を描く。桂ざこばが病気で休演し、急な代役になった高田次郎が素晴らしい。情のある主人らしく、ざこばより店の品が上がったかも。番頭の曽我廼家文童が安定の面白さ。高田との息もぴったりで、芝居の笑いの部分はほぼ扇この2人が担っていたといっていいかも。扇治郎の松吉は武士の身分を捨てて丁稚奉公をするという物慣れなさが、本人のキャラクターに重なると思えば適役なのか。糸寒天の開発のくだりが唐突というか、試行錯誤というには適当な思い付きのよう。宮嶋麻衣が予想以上に好演。

2017年6月2日金曜日

0601 劇団太陽族「かえるでんち」

深津篤史作品で、廃校になった中学校を利用した生涯学習センターを舞台に現在と中学時代の思い出が交錯する。くだらないあだ名で呼び合う男子たち、クラスメイトのマドンナへの思い込みの激しい言動など、男子なら共感できるのか?犬から感染するらしい風邪は怖さより、何事も陰謀説にしてしまう迷信深い人のめんどくささを感じた。三田村啓示の演じる挙動不審さ、船戸香里演じる突飛な女の造形が印象的だった。最後、劇中歌を出演者皆で歌ったのは余計だったかも。