2017年4月5日水曜日

0404 白蟻の巣

三島由紀夫の初の長編戯曲だそうで、切れ味の鋭いナイフで削いだようなセリフが痛いよう。ブラジル移民の大農場のオーナー夫婦とその運転手の夫婦の奇妙な三角?四角?関係。過去の過ちをうやむやにしたまま、何事もなかったように夫婦関係を続けるが、閉塞感が次第にふくらみ、緊張感が高まる。そこから逃れるのは死だけだと思いながら、結局何事も変えられない。気が弱く、妻の浮気がとがめられない主人を平田満が好演。ゆっくりとした話し方ですべてを受け入れてしまう寛容さがいらいらするくらいだ。心中未遂を起こした妻を安蘭けい、浮気相手の運転手を石田佳央。運転手の妻の村川絵梨が若くエネルギーにあふれる演技で、古い世界に属する3人との対峙が鮮やかだった。

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