2016年9月5日月曜日

0904 文楽9月公演 第二部

「寿式三番叟」 津駒の翁、呂勢の千歳、咲甫、睦の三番叟に寛治、藤蔵、清志郎、清丈ほか9枚9丁の太夫三味線が舞台後方にズラリと並んで壮観。だが、演奏は…。寛治の三味線は床が分厚くなった分、1人で演奏すると弱々しさが強調される気が。ユニゾンでの演奏もテンポが合わせにくそうで、もっと速く弾きたい人が何人かいるような感じ。 人形は千歳=文昇、翁=玉夫、三番叟=玉勢・簑紫郎が堂々と時にコミカルに。 「一谷嫩軍記」 「弥陀六内の段」 三輪・喜一郎に安定感。石塔の建立とか、青葉の笛とか、陣屋に出てくるアイテムの由来がよくわかる。 「脇ヶ浜宝引の段」 咲・燕三。 40分余りの一段を1人で語り、久しぶりの長さに回復してきたのかと思いきや、声が弱々しく、全盛期には程遠い。 いわゆるチャリ場で、「上を向いて歩く」「永六さんに聞いてみよう」「簑助、勘十郎、玉男…でなく玉織姫」などの入れ事が。百姓たちのキャラクターの語り分けは見事なのだが、テクニックに感心するもののあまり笑えない。笑いには多分、ある程度のテンションが必要なのだ。いくら上手くても6割くらいの力(←勝手な印象)で語られるとおかしみが半減してしまう。 「熊谷桜の段」 靖・富助。 普段は省かれることの多い場面なので、藤の局と相模の関係、どうして藤の局が陣屋の奥にいたのかに改めて納得。 富助と組んで、靖の語りが一段と進歩したような。 「熊谷陣屋の段」 前を呂勢・清治、後を英・団七。 呂勢は低音が甘いので、時代物はちょっと不利か。相模や藤の局はとてもよく、敦盛が討たれたと思って悲しみに沈む藤の局に対し、小次郎が無事と信じて内心安堵している相模。観客は2人の立場が後に逆転するのを知っているだけに無常観が際立つ。 英は淡々としていて、陣屋の感動が今一つ。 人形の勘十郎は大熱演だった。

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