2024年2月9日金曜日

2月9日 猿若祭二月大歌舞伎 昼の部

「野崎村」

鶴松のお光、登場シーンは嬉しさが表情からも身体の動きからも溢れ、健気で可愛い。クールな感じの化粧がもっと柔らかくなったらなおよいのでは。終盤の悲しみも泣かせる。
久松は七之助。おっとりとして頼りなさそうな色男ぶり。児太郎のお染は綺麗だが、顔立ちも身体つきもがっちりしているので、七之助と並ぶと逞しく見えてしまう。
弥十郎の久作、東蔵のお常。


「釣女」

たわいない舞踊劇なのにちっとも笑えないのは時代の変化だけではない。萬太郎の大名、新悟の上﨟は古典に則っていたけど、太郎冠者の獅童と醜女の芝翫は笑わせようとふざけているのが却って笑えない。表情で芝居しすぎだし、余計な動きが多い。時代の価値観なら合わなくなっているからこそ、何気なく演じる中におかしみがでてくるくらいに止めるのがよいのでは。


「籠釣瓶花街酔醒」

勘九郎の次郎左衛門は勘三郎を彷彿とさせつつも、より純朴な人物像。裏切りに恨みを募らせ、4ヶ月かけて復讐の準備をする執念が怖い。七之助の八ツ橋は美しく、間夫と上客の間で引き裂かれる様が哀れ。ころならずの縁切りに緊張感が漲る。
仁左衛門の栄之氶は美しく色気があり、プライドばかり高いダメ男なのに八ツ橋が惚れてしまう説得力がある。が、悪いのは松緑演じる権八だよなぁ。
九重の児太郎は野崎村に同じく。七越の芝のぶに曲輪らしさ。 

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