奥村康祐のホフマンは期待を上回るハマり役。冒頭の初老のくたびれた感じが秀逸で、友人やウェイトレスとのやり取りがまさに中年男という感じ。舞台の真ん中で踊りの見せ場が展開しているのに、上手のテーブルから目が離せないほど。
舞台が転換すると一転、若々しく、溌剌とした青年に。女性群舞にモテモテで愛想を振り撒く様がまたいい。オリンピア(奥田花純)と会ってからは喜びに溢れ、周囲に嘲笑われているのも知らず幸せそうで、騙されたと知った時の落胆ぶりが哀れ。
2幕のアントニア(小野絢子)とのグランパドドゥは、音楽に合って優雅。昨日より音楽との一体感を感じたし、小野の宙を漂うような軽やかさが際立つ。バランスなども危なげなく、乗って踊っている感じがした。
3幕のジュリエッタは米沢唯の説得力が勝る。出てきた時から妖艶な魅力に溢れて、誘惑に引き寄せられずにいられない。奥村ホフマンは抗いながらも次第に引き寄せられていく様を丁寧に描く。
現代に戻って、ステラに去られたあとの表情には寂寥感や諦め、喪失感など様々な感情が渦巻いているのが感じられ、幕が降りてからも余韻が残った。
0 件のコメント:
コメントを投稿